仮想化によるコスト削減を見える化:オンラインTCOカリキュレータ

山下竜大
2008-05-09 19:00:00
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 IT専門調査会社であるIDC Japanが2007年12月に発表した「国内仮想化ソフトウェア市場規模予測」では、VMwareやXenなどを使用したサーバ仮想化市場は2006年に大きく成長し、対前年比64.9%増の58億3000万円と報告されている。

 さらに2006年〜2011年の年間平均成長率(CAGR)は39.8%で拡大し、2011年の市場規模は311億8100万円に達する見込みという。

 サーバ仮想化市場が急成長している理由をIDC Japanでは、仮想化がITコストの増大やコンプライアンス経営の導入、セキュリティ/災害対策、ITシステムの省電力化など、企業が抱える課題を改善できる技術であるためと分析している。

 このように仮想化技術が注目され、導入が促進される理由はさまざまだが、仮想化を導入する企業が共通して期待している効果のひとつにデータセンターにおけるTCO(総保有コスト)の削減がある。

 前回、First American Corporationが、BEA Systemsの提唱する仮想化2.0を実現することで、サーバの導入から運用管理までに関わるコストを50%削減した事例を紹介した。こうしたTCOの削減効果はどのように算出すればよいのだろうか。

 BEAでは、仮想化環境を導入した場合のコスト低減効果を分析するTCOインパクト試算モデル「オンラインTCOカリキュレータ」を独自に開発し、同社ウェブサイトで公開している。基本的には英語版だが、企業情報をウェブサイトから登録することで無料で利用することができる。

仮想化2.0でTCOを3分の1に

 BEAがユーザー企業と共に仮想化環境を構築してきた経験とノウハウに基づき開発し、ウェブサイト上に公開しているオンラインTCOカリキュレータでは、3つのモデルに関するTCOについて比較検討することができるようになっている。コスト低減効果を比較できる3つのモデルは、次のとおり。

  • 非仮想化モデル
  • 仮想化OSモデル(仮想化1.0)
  • LiquidVMモデル (仮想化2.0)

 非仮想化モデルは、いわゆる仮想化を全く使用しない従来型のシステム構築アーキテクチャで、1台のサーバ上にひとつのアプリケーション動作環境を構築し、アプリケーションを動作させるモデルを想定している。

 また仮想化OSモデルは、VMwareやXenなどを使用する一般的なサーバ仮想化モデルで、1台のサーバ上で複数のゲストOSを稼働し、それぞれのOSの上でさまざまなアプリケーションを動作させるモデルを想定している。

 さらにLiquidVMモデルは、BEAが提供する「BEA Virtualization 2.0」を使用することで、OSを利用することなくソフトウェアアプライアンスとしてJavaアプリケーションをVMware上で直接動作させるモデルを想定している。

 オンラインTCOカリキュレータでは、この3つのモデルについて「データセンターの設置スペース費」「電力/冷却コスト」「想定外のサーバダウンタイム」「ソフトウェア管理」「ソフトウェアのライセンスとサポート」「ハードウェアのライセンスとサポート」の6項目についてコストを算出することが可能になっている。

 このとき、大規模なJavaアプリケーション環境を1年〜5年の期間運用した場合に必要な物理的コストや運用サポート費など、データセンターの維持に必要なすべてのコストを算出し、そのコスト削減効果を比較検討することができる。

 同ツールを使用してBEAが行った試算では、シングルコアプロセッサを2個搭載したサーバ50台で構成された非仮想化モデルのシステムを、4ウェイのデュアルコアプロセッサ搭載サーバに刷新することで13台に集約。これにより非仮想化モデルに比べ49%のコスト削減が実現できる。

 さらに同じ環境をLiquidVMモデルに移行することでサーバを10台に集約。これにより、非仮想化モデルに比べ66%のコスト削減が可能になる(詳細は、BEAのホワイトペーパーを参照)。

より詳細なTCO測定サービスも提供

 このオンラインTCOカリキュレータによる分析では、仮想化を実現することで「想定外のサーバダウンタイム」において最も高いコスト削減効果が期待できることがわかる。一方、「ソフトウェア管理」だけのコストを見てみると、仮想化2.0を実現することでコスト削減効果が得られるが、仮想化1.0では逆にコスト高になってしまうことも見て取れる。

 これは、オンラインTCOカリキュレータがサーバのプロセッサ数とコア数以外のパラメータについてはデフォルトで設定してあるためだ。しかし、実際のTCO効果測定では、サーバのプロセッサ数とコア数以外の条件を考慮することも必要であり、これらのパラメーを変更することでTCO削減効果はまったく違った結果になることが予想できる。

 そこで日本BEAシステムズでは、ユーザーごとにより詳細な仮想化によるTCO削減効果を分析できるTCOカリキュレータを使用したコンサルティングサービスを提供。ユーザー企業ごとに最適な仮想化環境を提案できる取り組みを実施している。

 次回は、仮想化Java環境のための適応型メモリ管理について紹介する。

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