企業ITのクラウド化と多様化するPaaS

林田宏介 (アクセンチュア株式会社)
2012-07-31 09:00:00
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 本連載「HerokuではじめるPaaS開発」では、これまでHerokuとはどういうサービスかという観点から、実際の活用方法や基幹システムへの導入などについて、Q&A形式で解説してきました。

 最終回となる今回は、クラウドサービス全体の中におけるHerokuを含むPaaSの位置づけや、企業のクラウド化の今後の展望について書いていきます。

クラウドを取り巻く環境の変化

 ここ数年でクラウドをめぐる状況は一変しました。提供されるサービスも多様化し、もはや「ITのサービス化」の流れには、あらがえない時代となっています。

 それに伴い、日本でもクラウドを導入したり導入を検討している企業も増えてきています。

 CNET Japanの「クラウドみんなのかわら版」では、CNET Japanの読者を対象に実施した「クラウド導入に関する意識調査(2012年2月6日~2012年3月15日)を公表しています。ここでも、「クラウドを導入(一部導入も含む)している」または「導入を検討している」と回答した企業は全体の54%となっており、「導入の予定はない」と回答した企業(全体の46%)を上回るなど、SaaS、IaaS/HaaS(パブリック/プライベート)を中心に関心の高さが伺える結果となっています。

 実際に当社のお客様との会話の中で、数年前にはパブリッククラウドのセキュリティリスクに対する悲観的な意見を聞くことが多かったのですが、最近では実際に導入したときにセキュリティをどう担保できるのかといった、クラウド導入を前提としたポジティブな意見が増えてきました。

 その背景には、利用者の増加だけではなく、クラウドベンダーやネットワークベンダーが専用線サービスなどのセキュリティ対策のサービスを開始したことや、クラウド向けの保険(例:自社に非のない情報漏えいなどに対応するクラウド向けの保険)なども出てきて安心感が増してきたこともあります。

PaaSの現状と問題点

 SaaS、IaaS/HaaSを導入または検討する企業が増えている一方で、PaaSの領域については、なかなか導入が増えていないのが現状です。

 このことは前述のCNET Japan「クラウドみんなのかわら版」のクラウド導入に関する意識調査からも明らかになっています。クラウドを既に導入していると答えた企業の中でPaaSを利用していると回答した企業は全体のわずか10%に留まっており、SaaSの49%、IaaS/HaaS (プライベートクラウド)の45%と比較しても利用率が低い結果となっています。

 この問題の背景にはPaaSで何ができるのかということをユーザー企業がイメージしづらいという点があります。Force.comのようにSaaSと密接なPaaSを除けば、一般的にはASPやホスティングサービスの延長と考えられるSaaSやIaaS/HaaSと違って、実際の活用イメージを持ちにくいのがPaaSなのです。

 また、HerokuやWindows AzureのようなPaaSの活用方法について考えたとき、どうしてもWebアプリケーションの実行環境という印象が強くなり、開発環境やステージング環境といったシステム開発向けの用途として利用される傾向が強いといえます。

 しかし、PaaSはそれ単体で目的を達成するものでなく、サービス(道具)を作るためのプラットフォーム、つまり二次道具としての色が強いので、その特徴をきちんと理解することがPaaSを上手く使うためのポイントです。

二次道具としてのクラウド利用の考え方へ、PaaSの活用方法

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