OSSのクラウド基盤「Eucalyptus」を使う(1)--全体構成を理解する

箕浦真(VA Linux Systems Japan)
2009-06-10 11:31:02
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 前回まで駆け足で、これから我々が作ろうとするクラウドの、いわば「お手本」であるAmazon EC2自体が持つ機能について見てきました。今回からは、いよいよオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアである「Eucalyptus」によるEC2互換クラウドの製作に入っていきます。

 4月29日 (米国時間) 付けで、クラウド基盤ソフトウェア「Eucalyptus」を用いた製品とサービスを提供する企業「Eucalyptus Systems」のローンチがアナウンスされました(リンク先はPDFファイル)。前後して、EucalyptusをバンドルしたUbuntu Linux 9.04(コード名:Jaunty Jackpole、4月23日)のリリースEucalyptusの新バージョン1.5.1のリリース(5月8日)と、Eucalyptusに関わるニュースが相次いで流れました。まさに今が旬のソフトウェアと言えるでしょう。

 Eucalyptus(*1)は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校 (UCSB) で開発されたソフトウェアで、Amazonのクラウドサービス「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」と互換性のあるインターフェースを備えたクラウド基盤です。

 2008年5月にバージョン1.0がリリースされた後、7月に1.1と1.2、8月に1.3、今年1月に1.4、そして5月に1.5.1(*2)と、短かい間隔で次々とリリースされています。この間、たとえば1.4では仮想ネットワーク機能の刷新と「Amazon Simple Storage Service(S3)」互換のストレージサービス「Walrus」の実装、1.5 ではハイパーバイザとして従来のXenに加えて、KVMのサポートとEBS(Elastic Block Store)の実装が行なわれるなど、開発の速度も目覚ましいものがあります (*3)。

 本記事では、このEucalyptusを用いて自前のクラウド基盤を構築してみたいと思います。OSとして、CentOS 5.3、Eucalyptusのバージョンは、執筆時点での最新版である1.5.1を使います。またハイパーバイザとしては、CentOS 5.3で標準サポートがなされているXen 3.0を利用します。

(*1)「Elastic Utility Computing Architecture for Linking Your Programs To Useful Systems」の略とされています。ちなみに「eucalyptus」は植物の「ユーカリ」の意味。

(*2) 1.5は、Ubuntuにバンドルされた版ということのようです。

(*3) 1.4以降の新機能は素晴らしいもので、これでようやく機能的には実用になると思わせるものなのですが、特に1.5にはどことなく拙速な実装が目立つように思います。後述するさまざまな制約も多くはここで導入されてしまったものです。4月のリリースをずらせないUbuntuに急かされたか、Eucalyptus Systemsの立ち上げに間に合わせたかったか、いずれにしても「早く出せ!」という圧力が強かったことを推測させます。資金も得たことですし、今後の改良には大いに期待したいところです。

1. Eucalyptusの構成

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