Herokuで拡がるスタートアップビジネスの可能性 - スタートアップ on Heroku Demo Day

五味明子
2012-07-27 16:54:00
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 7月17日、東京・赤坂で行われたサンブリッジ グローバルベンチャーズ(サンブリッジGV)主催による「スタートアップ on Heroku Demo Day」では、サービス基盤にHerokuを活用した国内スタートアップ5社による斬新なWebサービスが、デモンストレーション形式で紹介された。

 この5社はサンブリッジGVが支援するプログラム「スタートアップ on Heroku」にノミネートされた企業で、2012年5月から7月までの期間、Heroku対応サービスのローンチをめざし、開発を行ってきた。その成果発表が今回のデモンストレーションとなる。

 彼らはHerokuでどんな斬新なWebサービスを開発したのだろうか。以下、5社が行ったデモの内容を簡単に紹介したい。

Wantedly - Facebookを活用したソーシャルリクルーティングサービス

Wantedlyを紹介するウォンテッドのCTO(最高技術責任者)川崎禎紀氏
Wantedlyを紹介するウォンテッドのCTO(最高技術責任者)川崎禎紀氏

 最初のサービスはウォンテッドによるソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」だ。Facebookを活用したリクルーティングプラットフォームだが、「ガチガチの求人サイトではなく、まずは気軽な“デート”から始めようというのが狙い。釣書のような求人条件で選ぶのではなく、Facebookを利用して中の人の話を聞くことからスタートする」というラフな紹介スタイルを採っている。

 スタートアップの場合、即戦力となる優秀な新規メンバーを1人入れることができれば、その後のビジネスの展開が大きく変わる。しかし、求人をしようにも既存のリクルーティングサービスではスタートアップにはなかなか人が集まらないし、資金的にもかなりの負担となる。だが、ソーシャルグラフの力を使えば、これまで出会えなかった人材に出会える可能性がぐっと高くなる。そしてそれは求職者側も同様だ。ソーシャルを通せば、これまで知らなかったけれど自分に適しているかもしれない会社を見つける機会が増えることになる。

 「本当にいい会社なら、周囲からどんどん応援されるはず」という仮説を立ててこのサービスを構築したというウォンテッド。同社代表の仲暁子氏が独学でゼロからRuby on Railsを勉強して立ち上げたWebサービスとして、ローンチ当初はソーシャル界隈でちょっとした話題になった。「アイデアと情熱さえあれば、開発者でなくても信じられない低コストでWebサービスを始めることができる。それがRubyとHerokuのすごいところ」だという。Ruby on Railsを学び始めてからわずか数カ月という驚異的なスピードでサービスを開始できたのも、Herokuがサービスの基盤となる環境をすべて整えてくれたことが大きいと振り返る。同社自身もスタートアップであるため、スタートアップが市場に出るときはできるだけサービスの開発に時間と労力を割くべきで、開発効率こそ何より重要だという持論をもつ。Herokuといえどもクラウドである以上、事故が起こらないという保証はどこにもない。だが、自分たちでサーバを管理していても落ちるときは落ちる。それよりはクラウドのメリットを最大限活かすほうに集中したほうがスタートアップには向いている。

 8月1日には新しい機能をリリースするというWantedly。Herokuのチカラを使いながら、しばらくは新しいビジネスの価値を生み出すことに集中していく。

Dozens - クラウド時代に対応したDNS管理サービス

Dozens代表の松田顕氏
Dozens代表の松田顕氏

 2つ目は、クラウド利用時のDNS管理を容易にするサービス「Dozens」。Dozens代表の松田顕氏が説明を行った。

 スタートアップを含む小さな企業にとって、DNSを自分で管理運用するのはかなり面倒な作業となる。Dozensは「Webまわりの面倒なことをユーザーに代わって肩代わりする」を掲げ、いくつものドメインのDNSを集約して管理する。登録可能なドメイン数は無制限、さらに12レコードまでは無料で提供している。ドメイン数ではなくレコード数で制限を設けている点が大きな特徴だ。管理画面もWebベースのわかりやすいインターフェースが利用できる。

 Webまわりのサービスといっても、DNSはある意味インフラに近い部分であり、止まると大きな支障をきたす。したがってDozensでは世界4カ所のマルチロケーションでサーバを多重化しており、どこかで大きな天災や事故が起こったとしても別のロケーションにあるサーバが肩代わりするしくみを構築している。また、REST APIの提供やGoogle Appsの簡単設定機能などもDozensのサービスを差別化している。

 「スタートアップはコアビジネスに集中してもらいたい。そのためにこのサービスを立ち上げた」という松田氏。その考え方はDozensのベースとなっているHerokuの理念と通じるものがある。スタートアップが提供するスタートアップのためのサービス基盤には、Herokuが最適ということを示す好事例といえるかもしれない。

 とはいえ、Herokuで開発するにあたってうまくいかなかったこともある。サードパーティが提供する多彩なアドオンはHerokuの特徴のひとつだが、Dozensもアドオン開発に挑戦したものの、結果としてうまくいかなかった。その理由として、日本語のマニュアルが少ないことに加え、DozensがよくあるWebサービスではなく、DNSのサービスだったことが大きい。「Herokuのアドオンは、Webサービス以外はプライオリティが下がるのでは。まだ時期尚早なのかもしれない」と松田氏。これはHerokuにとってもDozensにとっても今後の課題のひとつとして残る。

 これからも開発者の面倒を解決していく手伝いをしたいというDozens。「May Dozens be with you.」を掲げ、サービスの拡充をめざす。

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