ビジネスサーバとして強化が続くLiveCycleとColdFusion--Adobe MAX 2009基調講演レポート(後編)

柴田克己(編集部)
2009-10-13 17:04:01
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 ColdFusion 9は2009年春にパブリックベータが公開されていた製品の正式リリース版である。新たにEclipseをベースとしたIDE「ColdFusion Builder」、Flash Platformとの連携を前提とした開発を容易にするFlash Builder向けプラグインなど、特に開発環境における他製品との整合性が高められた点が特徴となっている。

 2009年内の完成を目指して開発が進められている「LiveCycle ES2」については、プレリリース版が発表された。こちらもColdFusionと同じくFlash Builder向けのプラグインが含まれるほか、モバイル環境向けのワークスペース、新たにAIRアプリとして開発されたLiveCycleアプリの起動ウィジェット「LiveCycle LaunchPad ES2」などが含まれる。

 ColdFusionとLiveCycleの双方について、開発者がそれぞれで作成したアプリケーションをクラウド上に展開できる仕組みが提供されるというのも今回のトピックのひとつだ。

 これは、2009年1月に発表された「Adobe LiveCycle ES Developer Express」の発展版にあたる。Adobe LiveCycle ES Developer Expressは、LiveCycle ESの機能をAmazon EC2サービスのサーバインスタンスとして提供するもので、開発者はこれを利用することでサーバ本体の構築を行うことなく、クラウド上の環境でプロトタイプの作成や検証を迅速に行える。Adobeでは、2010年早々をめどに、LiveCycle ES2をベースとした9製品のホスティングを行う予定としており、インフラまわりのサポートと合わせて、サブスクリプションベースの課金で提供を開始したいとしている。(関連記事:アドビ、「Adobe LiveCycle Enterprise Suite 2」を発表--クラウド対応を強化

 加えてフロントエンド寄りの新機能として発表されたのが「Adobe LiveCycle Mosaic ES2」だ。Mosaicは、LiveCycleファミリーに位置づけられたユーザーインターフェースのフレームワークであり、ユーザー側からはiGoogleのような、複数のウィジェットを並べたポータル画面のように見える。Mosaicでは、Flash、HTML、Ajaxなどで作られたアプリケーションをカプセル化し、個別に枠の用意された「タイル」としてワークスペース上に配置することができる。既存のディレクトリサービスなどと連携して、ユーザーごとに違ったワークスペースを提示、保存することも可能だ。

Mosaicのユーザーインターフェース LiveCycle Mosaic ES2を使って構築されたワークスペース。PDFクライアントなども埋め込んで、タイルと連携させられる。

 タイルが配置されるワークスペースはFlash PlayerやAIRをベースとした「コンテナ」と表現される。ワークスペースの機能としては単なるウェブウィジェットの配置にとどまらず、サーバとの通信を行わずにコンテナを経由した「タイル」同士での情報のやり取りが可能となっている。例えば、「カレンダー」機能を持つタイル上で加えた変更が、サーバを経由せずに「タスクリスト」機能を持つタイルにも即座に反映される(それぞれの変更は後でサーバ側のデータと同期できる)といったアプリケーションの構築が可能となっている。もちろん、サーバとの通信は必要に応じて行われるが、アプリケーションに必要とされる要件に応じて、クライアント側で処理を完結させることも可能な仕組みが提供される。

Mosaic開発環境 LiveCycle Mosaicの開発環境。タイルを配置し、それぞれの関係をフロー図の形式で定義できる。

 クライアント側にロジックを保持しておいて、サーバとの通信の傍ら必要に応じて実行する仕組みという点ではAjaxアプリケーションの作り方に似た部分も多いが、Mosaicでは、タイルの作成やタイル間での情報のやり取りについて、GUIのチャート形式でわかりやすく定義できる点が特徴だ。また、アプリケーションをウィジェット形式で提示するにあたって必要な基本的な機能が、ライブラリとしてMosaicのフレームワークの中で提供されている点で、開発生産性も高くなるとしている。いわば、Flashデスクトップ上でさまざまなアプリケーションをマッシュアップするための共通ウインドウシステムとして機能する。

MosaicとLiveCycle LiveCycle Mosaicは、Flash、PDF、HTML、Ajaxなどをすべて取り込むUIフレームワークとして提供される。

 LiveCycleについては、バックエンドのデータベースとフロントエンドのFlashテクノロジーの間に立ち、データハブとアプリ配信を受け持つよりインテリジェントなアプリケーションサーバとしての役割が今後も強まりそうだ。

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