クラウドコンピューティングとオープンソースの対決

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
2009-06-29 08:00:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 このことは、Eucalyptusを搭載したUbuntu(関連英文記事)に代表される製品ではクラウドサービスを提供できないということを意味しているわけではない。そういったことは可能なのだ。しかしこういった製品は最終的なソリューションを構成するパーツというわけではなく、特定の状況において内在している経済的なメリットや技術的なメリットを生み出すようなエコシステムを作り出すわけでもないのである。というのも堅牢で皆に受け入れられるコンピューティング環境を構築するためには、インフラや管理、研究開発、サポートを含めた強力かつ完成度の高いソリューションを作り上げることが重要となるためである。こういったものすべてが、十分に包括的なサービスを作成するために1つにまとめ上げられることでコンピューティングが可能になり、さらにはアウトソーシングにふさわしい効率的な環境にもなり得るのである。コンピューティングのエコシステムがそれに依存する複数の利害関係者によって構成されている場合、コストと労力を彼らに分散させることが可能になる。顧客の数が増えるほど、そのクラウドのプロバイダーと顧客にとってより良い結果がもたらされるのである(この行き着く果ては「大き過ぎてつぶせない」という状態になる。これはクラウドコンピューティングが抱えるまた別の問題であり、重要ではあるものの、本記事では扱っていない)。

 結局のところ、クラウドのプロバイダーはたいていの場合、2つの利点を市場にもたらすことができるのだ。その利点とは、ものごとを行うためのより優れた方法を提供するということと、コストを引き下げるということである。規模の経済を適用することで(例えば、インフラのコストや研究開発はすべての顧客に分散させることができる)、クラウドはオープンソース単独では成し得なかったような完成度の高い強力なソリューションを提供できるようになるのである。

 クラウドコンピューティングがあなたのビジネスを変革するという主張とその理由については、「クラウドコンピューティングがビジネスを変える8つの方法」を読んでみてほしい。

 規模の経済を実際に適用することで生み出されるリターンと、理論的に算出される理想的なリターンの間で差が生じるのは、大規模なクラウドデータセンターや、研究開発に特化した専門施設などに対する投資のような巨額の固定費が現実世界における規模の経済に大きな影響を与えるためである。古典的なミクロ経済理論では、投資を集約しても経済状態が向上することはないため、固定費が存在する場合には規模に応じたリターンの増加は見込めないのである。このため、企業がオープンソースを自社内で利用することは、クラウドを利用することに比べると明らかに不利になるのである。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]