Enterprise 2.0の視点から見た「Google Wave」(後編)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
2009-06-15 08:00:00
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・新たなプロトコルやサーバ、データフォーマット、クライアントアプリケーションは、ウェーブに対応することが求められるようになる。Google Waveに対応するという決定により、さまざまな考慮が必要となるだろうが、そのほとんどは複雑なものとはならないはずである。また、新たなソフトウェアが必要になるものの、それらはすべて実行時にブラウザ上にロードされ、終了時に破棄されるものであるため、クライアント側へのインストールは不要なのである。このことは、コードや管理、監視の統合化が可能になるということを意味している。そして素晴らしいことに、すべてがしっかりドキュメント化され、オープンなものとなっているため、あらゆる組織に対してウェーブコミュニティへの門戸が開かれ、(常に考慮しなければならなかった)ロックインの回避が可能であるとユーザーに感じさせることになるのだ。また、そういった結論を導き出せるようGoogle自身も努力を惜しんでいないのである。さらに、Googleは企業独自の実装も含めて、クライアントやサーバのコンポーネントに対する代替実装にも力を入れており、クライアントコンポーネントに関しては前述の講演でもデモンストレーションを行っていた。

・ウェーブによってECMやSOA、マッシュアップといった数多くのエンタープライズサービスを統合する最適な場が提供される。Googleはリアルタイムの会話をサーバ側で連続的に処理するための強力なプロトコルを定義することにより、われわれのITシステムと日々の仕事を結びつけることのできる1つの大きな世界を生み出したのである。そして、参加者が入力を行い、コラボレーションを行っている最中にも、ウェーブはHRMやCRM、ERPといったバックエンドシステムの力を借りて、データやコンテキスト、その他の情報を適宜提供できるのである。さらに、顧客データや注文データといった業務データのシームレスな統合により、多大な恩恵を受ける企業も数多くあるはずである。また、従業員のコラボレーション作業によって直接生み出される、ビジネスプロセスという観点からの大きな可能性については言うまでもないだろう。筆者は、これまでも企業におけるITシステムとWeb 2.0のコンバージェンスについて執筆してきている(関連英文記事)が、こういったコンバージェンスをより自然なかたちで行える環境がGoogle Waveなのである。

・組み込み機能やエクステンションによってウェーブの幅広い配布と利用が可能になる。Googleはユーザーによるウェーブの配布をシンプルなかたちにモデル化するとともに、サーバ側エクステンションの開発も容易にしている。前者によって、大企業はいずれウェーブを採用せざるを得なくなるはずである。また後者によって、ローカルにあるデータソースとの統合が簡単になるとともに、前述した言語翻訳機能に代表されるような、有益なエクステンションの流通する大きな市場が形成されるはずである。Google Waveは、ビジネスの世界における主要なアクティビティの1つ(コラボレーションを可能にすること)を売りにしているため、職場レベルでのコンシューマライゼーションが進むに従って、企業は外部とのやり取り、特にパートナーやクライアントとのやり取りにおいてウェーブを使わざるを得ない状況に直面することになるだろう。このため少なくとも企業は、ウェーブによってインターネットへの情報の流れが多様化していくことを理解したうえで、SaaSサービスやソーシャルネットワーク、その他の外部アプリケーションの場合と同様に、ウェーブの導入にあたっての企業ポリシーを策定しておく必要があるのである。また、ウェーブの採用にあたってはセキュリティも問題となってくるものの、ウェーブによるすべての会話を企業のアーカイブロボット経由でECMシステムにバックアップできるようになることを考えると、Web 2.0ツールやECMとの統合といったことはかつてないほど容易になると言えるだろう。

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