IT業界のバブル構造をブチ壊すのはクラウドコンピューティング

冨田秀継(編集部)
2009-02-04 21:19:02
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

IT業界のバブル構造

 講演で中村氏が示した資料が下の画像だ。

IT投資の構造を示す図(画像をクリックすると拡大します) IT投資の構造を示す図(画像をクリックすると拡大します)

 この図でいう左側が「コンピュータ業界のバブル構造」(中村氏)だ。棒グラフはそれぞれのシステム開発手法で求められる保守運用コストで、棒グラフの天井からオレンジ色の線までが新規サービスの開発に回せるコスト。「個別レガシーシステム」では保守運用で全体の75%程度のコストがかかっていることを示した図だ。

 資料によれば、図の右側は「既存システムを意識せず、To-Beモデルでシステムを構築して順次拡大するアプローチ」。タイトルにもあるとおり、Googleもスタートは10台のサーバからスタートし、現在、その実態は不明ながら300万台とも400万台ともいわれる規模のサーバを世界中のデータセンターで運用している。

 さて、図の右側がクラウドコンピューティングモデルであることは容易に想像できるが、ここでオープンソースソフトウェアが果たす役割とはどのようなものであろうか。

オープンソースソフトウェアの強みはライセンス

 多くの論考や記事を待つまでもなく、クラウドコンピューティングではリソースの配置を最適化する仮想化技術が重要になる。しかし、中村氏によれば、クラウドではオープン化を徹底しなければいけないという。

 その理由は前ページで示した事業モデルで説明できる。

 クラウド環境を構築するにあたって、商用の仮想化製品を購入するという行為は、事業モデルとしてどうであろう。「サン・マイクロシステムズのサーバを購入し、どこかのベンダーのデータベースを買って」の次に、「なんとかの仮想化製品を買って」を付け足し、最後に「さらにそれ”ら”はCPU1個につきいくらで」を置けば、そのナンセンスさがわかる。

 「ライセンス課金(という事業モデル)を取ると、提供料金が高くなる。高いサービスは結局使われない」とは中村氏の言だ。

 そこで登場するのが無償で利用できるオープンソースソフトウェアだ。利用にあたっては、それこそライセンスごとにさまざまな要件がある。しかし、無償でサービスをスタートできるという強みは、利用率課金という理念から大きく逸れない料金設定を実現するだろう。

 また、事業者側の視点でみると、オープンソースソフトウェアのライセンス体系が魅力になるだろう。詳しくは、同じくオープンソースカンファレンス2009 Sendaiで行われたNECの姉崎章博氏による講演「オープンソースをライセンス的に正しくつかうための11のチェックポイント」を参照してほしいが、オープンソースソフトウェアにも多くのライセンスと制限がある。

 しかし、フリーであるという前提を踏まえれば、それだけ多くの利用モデルに対応できるライセンス体系が構築されているともいえるのだ。

新たな利用モデルの登場に伴い、システム開発で利用されるソフトウェアも変わる(画像をクリックすると拡大します) 新たな利用モデルの登場に伴い、システム開発で利用されるソフトウェアも変わる(画像をクリックすると拡大します)

クラウドは開発者のステージ

 従来の事業構造を守ろうとする企業、組織、集団、個人は現れる、あるいは既に現れているだろう。しかし、中村氏は集まった開発者たちに、次のように呼びかけ、励ましている。

 「大手ベンダーにとってはかなりキツい時代になる。しかし、クラウドコンピューティングでは、現場で開発しているエンジニアのステージになるのだと考えてほしい」

  • コメント(1件)
#1 anonymous   2010-01-06 15:38:48
クラウドはIT業界の提供する選択肢

A)クライアントが買い取り、運用する
B) ITベンダーがすべてを請け負う

の2つまたは その亜流から選択するしかなかった時代から
げんざい「クラウド」とよばれる様々な提供形態から、クライアントは、「賢く」選択することができるようになる。

オープンソースは現状 上記の2つの亜流しかないが、 プラットフォーム提供型のクラウドサービスとオープンソースが合体したとき新しい選択肢になりますね。
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]