Xenプロジェクト創始者、ユビキタス化する仮想化技術を解説

杉山貴章(オングス)
2008-11-27 19:48:01
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 VA Linux Systems Japanは11月19日、Xen Conference Japan 2008を開催した。本稿ではXenプロジェクトの創始者であり、現在もプロジェクトのリーダーを務めるIan Pratt氏による基調講演の様子をお伝えする。

次世代の仮想化を目指すXenServer

 Pratt氏は基調講演で、Xenプロジェクトのミッションを「オープンソースハイパーバイザーのスタンダードを構築すること」と規定。その実現のために、高いパフォーマンスや安定性、堅牢なセキュリティを実現することが重要だと語っている。特にパフォーマンス面ではハードウェアとソフトウェアの双方で各ベンダーと協力して開発を進めており、業界において一歩リードしていると自信をみせている。

 Xen自体は仮想化エンジンのリファレンススタンダードであり、各ベンダーはこれを自由に利用し、独自の仮想化製品を構築することができる。そのひとつとして同氏はCitrixのXenServerを紹介し、Xenの持つポテンシャルの高さをアピールした。

 例えばXenServerではリソースプールを利用することで、仮想マシン(VM)を物理サーバの枠を越えて管理することができる。これによって物理サーバに障害が発生した場合でも瞬時にVMを他の物理サーバに移動することなどが可能となり、高い可用性が保たれるという。また、リソースプール自身を管理するサーバそのもの動的に変更することが可能だという。

関心を集めるクライアント仮想化

 続いてPratt氏は、最近になって大きな関心を集めつつあるクライアント分野における仮想化技術について説明した。

 Xenプロジェクトでは「Xen Client Initiative」としてクライアントの仮想化に関する様々な試みを行っているが、同氏はクライアントマシンに対する仮想化はサーバと目的が異なってくると指摘する。

 「クライアントマシンを仮想化する目的は、サーバマシンのようなリソースの有効活用というよりは、セキュリティや管理性、サポータビリティなどの向上にあると考えています。例えばひとつのラップトップ上で複数のVMを動かしている場合、個々のVMごとに完全に独立した環境を構築することができます。したがって、あるVMのセキュリティポリシーと別のVMのセキュリティポリシーを完全に分けて設定することが可能なわけです」

 講演ではXenの上でWindows VistaやWindows XPを動作させ、それぞれが通常の(仮想化されていない)環境と全く同様に動作する様子、お互いのVMが完全に独立しており、セキュリティ面も含めて一切干渉しない様子などが紹介されている。

XenDesktop上でWindows Vistaが稼働。通常の環境と何ら変わることなく動作している XenDesktop上でWindows Vistaが稼働。通常の環境と何ら変わることなく動作している
画面上のWordはVistaとは別のVM上のWindows XPで動作している。Vistaはキーロガーに感染しているが(左上)、Wordは影響を受けていない 画面上のWordはVistaとは別のVM上のWindows XPで動作している。Vistaはキーロガーに感染しているが(左上)、Wordは影響を受けていない

 さらに、上記の技術を応用した「Secure Corporate Desktop」や「Secure Corporate Application」などの興味深い試みにも取り組んでいるという。

 これはデータセンターにVMを用意し、必要に応じてクライアントマシンにダウンロードして使用するというもの。クライアント側のVMに加えられた変更は、データセンター上のVMに反映される。これによって重要データはVMごとデータセンターで管理できるほか、ユーザはPCを選ばずに常に同じ環境を利用できる。Secure Corporate Desktopの方はこれをデスクトップ環境ごと行うものであり、Applicationの方はアプリケーション単位で行うものだという。

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