Railsで月間2.8億PV--COOKPADのリニューアル

大野晋一(編集部) 富永恭子(ロビンソン)
2008-10-23 08:00:00
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 455万人のユーザーを擁する世界でも有数、日本最大のレシピコミュニティーサイト『COOKPAD(クックパッド)』。これを運営するのが、クックパッドだ。同サイトは、今年10周年を迎え、7月には大規模なリニューアルを実施した。

 このリニューアルにあたっては、Rubyを採用、月間2.8億PVの大規模サイトをRuby on Railsに乗せている。Railsサイトとしては世界でも有数の規模だ。シーネットネットワークス エンタープライズ・メディア 統括 兼 ZDNet Japan編集長の大野が、今や日本最大のRailsサイトとなったCOOKPADの佐野社長に、その運営と今後の計画について聞いた。
聞き手:大野晋一、構成:富永恭子(ロビンソン)

大野:

 そもそも、今回のリニューアルの狙いはどこにあったのでしょうか?

佐野氏(以下、敬称略):

 一言でいえば、今後の中長期的な成長を想定しての改善が一番の目的でした。改めてユーザーを見据え、プロダクトを作る体制を整えるためのリニューアルと理解してもらえればいいと思います。

大野:

 私自身、サイトリニューアルの経験が数回ありますが、コンテンツの改善は容易でも、その器となるサイトの改善は、コンテンツやビジネスの形も変えなくてはならないことも多く、かなり難しいと認識しています。今回は、そのリスクをおしてのリニューアルでしたが、具体的にどんな改善を実施したのでしょうか?

佐野:

 今回のリニューアルでは、機能も含め、できる限り不要なものをそぎ落とす方針で改善をめざしました。機能のシェイプアップは、サービス本来の価値を高める上でも非常に重要です。そのために徹底的にサービスとユーザーの動線を見直し、データを基に検証した結果を持ち寄って、何度も議論を重ねました。

 その成果があって、かなりのシェイプアップが果たせました。

 なかには失敗もあります。従来からあった機能のひとつに「最近見たレシピ」という過去の閲覧ログがありますが、利用ユーザー数が全体の2%と少数だったため、検討した結果、これを切り捨ててしまったのです。しかし、実際には、この2%の中に多くのヘビーユーザーが含まれていたのです。もちろん、すぐに対応して改めて付加しましたが、リニューアル直後、この機能を削除したことへの意見が殺到したときには驚きました。

 ユーザーと実際に対話しながらプロダクトを完成させることがきるのが、Webのいいところであり、強みでもありますが、このときは、機能のシェイプアップの難しさを実感しましたね。

大野:

 機能そのものの取捨選択は、現状のマーケットに適応するためでしょうか?

佐野:

 そうです。また、以前のリニューアルから2年が経ち、サービスの規模が大きくなってきたのに対して、当時、採用したテクノロジーの能力が不足して、現状の負荷に耐えられなくなってきてもいました。そのため、少しパフォーマンスを変えただけでも全体に及ぼすインパクトが大きすぎて、そのままでは何も改善することができない状態でした。これもリニューアルに踏み切った大きな理由のひとつです。

 そもそもサイトの設計思想は、2年消却で考えています。テクノロジーの世界では、2年先の動向がわかりません。したがって、通常、基本的には2年経てばリニューアルすることを見越してサイトを設計します。前回のリニューアルでは、数量と期間の2つの指標を立て、それを目安としましたが、それがこの2年で、完全に超えてしまったわけです。今後、さらにサービスとプロダクトの品質を向上させていくためには、リニューアルは必然の施策でした。

大野:

 今回のリニューアルでは、Ruby on Railsが採用されましたが、これが非常にチャレンジブルなこととして注目しています。クックパッドは、これまでにもさまざまな試みを実行して、その上で最適なものを残していくという開発形態をとっていますが、そのスタイルにRubyが合っていたということでしょうか?