WebLogic+Coherence+TopLink―Oracleのミドルウェア新戦略の鍵

大野晋一(編集部)
2008-09-24 05:30:00
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 Oracle OpenWorld 2008におけるキーノートやセッションへの参加を通じて得た、同社のJavaミドルウェア戦略の大きな変化をお届けする。

 今回は、BEA Systems買収後初のOpenWorldということもあり、ミドルウェア分野でのメインのメッセージはBEAの顧客やパートナーへの歓迎だ。BEAから手に入れたもので大きな意味を持っているのはアプリケーションサーバーの「WebLogic」とJVMの「JRockit」。このふたつは明らかに、Oracleミドルウェアの競争力を高める戦略技術と位置づけられている。そして、様々な製品への組み込みが急速に行われている。たとえば、開発ツールである「JDeveloper 11g」はWebLogicへの対応をすでに終えている。

買収によって何を手に入れたのか

 一方、Oracleがすでに持っていたアプリケーションサーバー「Oracle Application Server(OAS)」に関するメッセージはほとんど無い。Oracleから正式なアナウンスがあったわけではないが、筆者は中長期的にWebLogicがOASを置き換え、メインのアプリケーションサーバーと位置づけられるのではないかと見ている。もっとも、Oracleとしてはこの置き換えに時間をかけるざるを得ない。E-business SuiteやAIAといったビジネスアプリケーション分野の製品や技術がOASを基盤としているからだ。

 OracleがBEA以前から持っていたもうひとつの重要な技術がO/Rマッパーの「TopLink」。こちらはBEAの買収を経た現在でも明らかに戦略技術のひとつだ。今後も積極的な投資が続けられるだろう。(もっとも、TopLinkも買収した技術だ)

 さて、Oracleが買収によって手に入れ、戦略技術となったもう一つの技術が「Coherence」。これはデータグリッドと呼ばれる技術で、複数のデータソースをまとめて仮想化し、アプリケーションやミドルウェアに対してひとつに見せるというものだ。ミドルウェアのデータ操作にGridを適用したものと考えればよいだろう。BEAの陰に隠れがちではあるが、Coherenceは明らかに今回のOpenWorldの主役の一つだ。TopLinkとの統合も進んでおり、JavaアプリケーションからTopLinkを通じてCoherenceを使うことができるようになっている。つまり、JPAなどによる標準的なデータ操作でCoherenceのスケーラビリティを利用することができるわけだ。これはJava開発者にとって大きなメリットだろう。また、Coherenceに関してはOpenWorldにあわせて公開されたバージョン3.2でC++での利用も可能となっている。

 ここまで紹介した戦略技術を組み合わせると今回のOpenWorldで重要な発表となったApplication Gridとなる。つまり、Application GridはWebLogic(JRockit含む)+Coherence+TopLinkの組み合わせだ。この組み合わせはそのまま、Oracleのミドルウェア戦略の根幹となってくるだろう。Application Gridについては先だって掲載した記事も参考にしていただきたい。

 来たるFusion Middleware 11gは、WebLogic+Coherence+TopLinkの組み合わせの周辺にSOAやBPMといった技術を組み合わせたものとなるはずだ。Fusion Middleware 11gは仮想化、Gridに完全対応した新世代のミドルウェアとなるだろう。

 さらに、Fusion Middleware 11gが出るということは、E-business SuiteやAIAもこの上で動作することになる。つまり、Fusion Middleware 11gが出るとOASは完全にWebLogicに置き換えられ、メンテナンスモードに移ることができる。

 さて、おさらいすると、現在のOracleのミドルウェアの根幹は、買収によって手に入れたWebLogic、JRockit、Coherence、およびOracleのTopLinkとなっている。さらに、OASについては、Fusion Middleware 11gの登場を持ってメンテナンスモードに移るだろう。後者については筆者の予想ではあるが、OpenWorldで得られた情報として是非開発者の皆様にお伝えしておく。今後の技術選定の基準として役立てていただければ幸いだ。

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