CitrixとXenコミュニティとの間で高まる緊張
実際に何が起こっているのか?
大局に立って考えてみると、x86アーキテクチャで利用可能な仮想マシン技術は現在少なくとも4種類あり、いわば選り取りみどりである。こういった技術の例として、VMwareのESX ServerやMicrosoftのHyper-V、Xen、KVMを挙げることができる。そしてこれらの技術それぞれに長所と制約が存在している。当然のことながら、こういった技術同士の競合は激しいものとなってきている。VMwareとMicrosoftはそれぞれ、自社の技術を全面に押し出してきている。これに対して、XenとKVMはともにコミュニティによる努力が推進力となっているのだ。
Xenコミュニティに目を向ければ、CitrixやVirtual Ironの他に、Red HatやNovell/SUSEといったLinuxディストリビューションのサプライヤ、Sun、Oracleといったサプライヤが存在している。これらの技術的な貢献者は、x86ベースのハードウェアおよびソフトウェアの紳士録というものがあるとしたら、そこに掲載されるべき存在なのだ。しかし、上記で述べた中傷合戦から判断すると、このコミュニティは現在「共存競合」モードに突入しつつあり、Citrixはそれを完全な競合モードに移行させようとしているように見受けられる。私の考えでは、これはCitrixにとっても、コミュニティ全体にとっても、真に有益なものとはならないはずである。
実際に何が起こっているのかといえば、多額の資金を投じてXenSourceを買収したCitrixが、その投資に見合うだけの収益を得る方法を見つけ、投資額を回収しようと悪戦苦闘しているということである。仮想化ソフトウェアはもはや一般的な製品となってきているため、Citrixは、自社製品にプレミアム価格を設定するVMwareのやり方を真似ることができないのだ。また、Microsoftの価格体系を考慮した場合、VMwareですら現在のやり方を継続できるとは限らないのである。
Xen技術のその他のサプライヤは単に、仮想化ソフトウェア技術であるXenを自社のOSに搭載したり、ハードウェアに組み込んだり、自社の管理/統合/自動化製品にバンドルして提供するなどしている。こういったサプライヤは、Xen技術のみからではなく、これによって顧客のシステム環境に付加される価値すべてから収益を得ようとしているのである。
Citrixは、Xenコミュニティの他のメンバーをすべて「打倒」し、最後に自社だけが生き残れば、独自にプレミアム価格を設定できるようになるだろうと考えたようである。後世の歴史家が今の時代を振り返った時に、CitrixがXenのオープンソースコミュニティを敵に回すという危険を冒してまで、この時期に戦いの火蓋を切ることが賢明な判断だったと考えるかどうかは疑わしい。
日本から輸出されたコンピュータゲームである「Zero Wing」中に登場する奇妙な英語を気に入っている人々には悪いが、CitrixはXenコミュニティに対して「All your Xen revenues are belong to us」(訳者注:これは同ゲームの冒頭に登場する珍英語である「All your base are belong to us」をもじったものであり、「Xenによってもたらされる収益はすべてCitrixがいただいた」という意味である)と言っているようなものなのである。この動きはCitrixの人間から見れば優れた戦略に見えるかもしれないが、結局はMicrosoftとVMwareの思う壺なのである。Xenコミュニティは、互いに争うことで限られたリソースを無駄にするよりも、団結した方がずっと良い結果をもたらせるはずなのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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