de:code 2018基調講演--クラウドやAIが浸透した社会で組織や個人の能力拡大を

阿久津良和
2018-05-23 07:54:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本マイクロソフトは5月22日から2日間、都内で開発者向けカンファレンス「de:code 2018」を開催している。冒頭を飾った日本マイクロソフト 執行役員 常務 デジタルトランスフォーメーション事業本部長 伊藤かつら氏は「クラウドは当たり前になり、ビジネスシーンや生活の各所へAI(人工知能)が姿を見せるようになった」と述べ、既にクラウドが技術的な単語ではなく、社会を構成する概念になりつつあると語る。

 その概念構築を担うソフトウェア技術者に対して、「今年のテーマは『LOVE to CODE』。個人や組織が持つ潜在的な可能性を解き放つエンパワーを実感してほしい」(伊藤氏)と力強く投げ掛けた。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 デジタルトランスフォーメーション事業本部長 伊藤 かつら氏
日本マイクロソフト 執行役員 常務 デジタルトランスフォーメーション事業本部長 伊藤 かつら氏

 日本マイクロソフトは、技術の核を構成する要素として「ユビキタスコンピューティング」「AI」「マルチセンス(多様な感覚)&マルチデバイス体験」を掲げている。既にコンピューターやデバイスが日常のあらゆる場面に存在し、IoTデバイスから取得したデータをトリガーにイベントドリブン(駆動型)する世界は実現した。またAIも、バズワード化するなど目新しさを感じなくなっている。筆者が気になったのは最後のマルチデバイス体験だ。

 以前からMicrosoftは「One Windows」などデバイスにとらわれないユーザー体験を掲げてきたが、日本マイクロソフトは「OSを再定義」(伊藤氏)するためのシナリオだと説明する。既にWindowsデバイスだけを使用するシナリオは現実的ではなく、現状に即したマルチデバイス体験を提供する第一歩として、Windows 10 バージョン1803が備える「タイムライン」機能をiPhoneやAndroidデバイスで実現する「Timeline on Phone」を披露した。

 また、2018年9月頃リリース予定の機能更新プログラムで実装する「Your Phone」は、「スマートフォンの機能をシームレスにPCでも利用可能にするアプリ(アプリケーション)」(伊藤氏)。UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリとして、スマートフォンで受信したSMSをPC上の同アプリで返信し、受け取った画像ファイルをPowerPointなどに張り付ける機能を備えると紹介した。

 Timeline on PhoneやYour Phoneだけでデバイスをまたいだ体験を実現できるとは考えにくい。だが、ベンダーロックインならぬデバイスロックインという観点から見れば、ファイルはクラウド上にあり、特定デバイスの利用から解放されるのは事実だ。好意的に見れば、新たなシナリオに即した第一歩と言えるだろう。

スマートフォンで受信したメッセージに対してPCによる返信を実現する「Your Phone」。2018年9月以降リリース予定の次期Windows 10で利用可能となる
スマートフォンで受信したメッセージに対してPCによる返信を実現する「Your Phone」。2018年9月以降リリース予定の次期Windows 10で利用可能となる

 今回のイベントで特徴的なのが、後に登壇する日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏を除いて皆女性という点。Microsoft CVP, Azure Marketing, Julia White氏はMicrosoft Azure関連機能、Microsoft CVP, Developer Division, Julia Liuson氏は開発環境、Microsoft CVP, Mixed Reality Studios General Manager, Lorraine Bardeen氏はMR(複合現実)について、それぞれアピールした。ただし、いずれの内容もMicrosoftが2018年5月7日(現地日時)から3日間、ワシントン州シアトルで開催した「Build 2018」と重複するため、本稿では要約して紹介する。

 White氏はMicrosoft Azureを実現する100以上のサービス群を「コンテナ+サーバレス」「IoT」「データ」「AI」の4分野に分け、それぞれ新機能をアピールした。イベント駆動型を実現するため、1秒間に数百万レベルのイベント処理を可能にする「Azure Event Grid」や、コンテナを利用したアプリ展開を可能にする「Azure IoT Edge」、グローバルで数ミリ秒という低レイテンシを実現するCosmos DBの「Multi Master write」に関するデモンストレーションなど披露。

 また、AIの文脈では、「Azure Search」と「Azure Cognitive Services」を統合し、画像や動画、PDFなどのインデックス化を可能にするサービスを紹介。NBA(ナショナルバスケットボールアソシエーション)は、インジェスト(映像データの移動)からアーカイブ処理までを同サービスで実現し、ビジネスの最適化や顧客の信頼性を勝ち取ったとビデオメッセージで語った。

Microsoft CVP, Azure Marketing, Julia White氏
Microsoft CVP, Azure Marketing, Julia White氏

 Liuson氏の説明によれば、Visual Studioの利用者数は700万人、Visual Studio Code利用者数は360万人を超えたそうだが、同氏はBuild 2018でも話題になった「Visual Studio Live Share」を紹介した。本機能は開発者がOSや環境を問わずにリアルタイムでコード開発の支援を可能にするというもの。ちょうどOffice 365の共同作業に近いものだが、一方の環境で作成したローカルホストを相手と共有して、実行結果の共有なども行える。

 この他には、Build 2018で発表したモバイルアプリ環境を支援する「Visual Studio App Center+GitHub」や、CI/CD(継続的インテグレーション&継続的デリバリ)開発環境を実現する「Azure DevOps Projects」、Kubernetesの開発効率性を向上させる「DevOps project with AKS(Azure Kubernetes Service)」「Dev Spaces for AKS」「.NET Core 3」のロードマップや「Windows Desktop on .NET Core 3.0」の発表も行った。

Microsoft CVP, Developer Division, Julia Liuson氏
Microsoft CVP, Developer Division, Julia Liuson氏
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]