破壊者になるためのクラウド

怒賀新也 (編集部)
2015-02-24 12:57:00
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 米IBMは米国時間の2月22日から26日まで、ネバダ州ラスベガスでユーザーイベント「InterConnect2015」を開催している。世界各地から2万人が集まった。業界など既存の枠組みを破壊する「Disruptor」をキーワードに挙げ、それを実践するためにハイブリッドクラウドが重要な役割を担うと強調した。

 オープニングの基調講演に登壇した米IBMのシニアバイスプレジデント、Robert Leblanc氏は「破壊される側になるより破壊する側になる方がいい」と切り出した。スマートフォンがデジカメ市場を切り崩したことなどを例に、今後さまざまな市場で「Disruption」(破壊)が起きると言われる。IBMは、クラウド基盤を中核に、既存の市場を横断するようなビジネスアプリケーションをすばやく構築できる環境を提供していく考えだ。

「Digital Transformation」を強調した米IBMのシニアバイスプレジデント、Robert Leblanc氏
「Digital Transformation」を強調した米IBMのシニアバイスプレジデント、Robert Leblanc氏

 最大のメッセージは「ハイブリッドクラウドを大企業の現実解へ」というもの。オンプレミスやプライベートクラウド、パブリッククラウドなどあらゆる形態のシステムを、可視性が高く、コントロールでき、セキュリティを確保した状態でつないでいく。

 中核となるのが、IBMが提供するPaaS「BlueMix」だ。ユーザー企業として登壇した金融大手Citiの“最高顧客体験責任者(Chief Client Experience)”、Heather Cox氏は、「最近は他行ではなく、UberやFitbitといった全く関係ない企業を見ている」と話す。

 具体的には、IBMと協力して、チップを含めて飲み会の割り勘精算などができるアプリケーション「Joint Pay」を開発しているという。支払いに「Citi eWallet」が使えるようにした。広く普及すれば、決済での収益が得られる。Joint Payでは、ローカルビジネスのレビューサイト「Yelp」などBlueMix上に公開されているさまざまなアプリケーションをAPIを通じて組み合わせた。有効なビジネスのアイデアをすばやく形にして見せる手法だ。Citiは「イノベーションのやり方自体を変えていくことで、従来は見えなかったビジネス機会をとらえていく」としている。

CitiとIBMが開発している決済アプリ
CitiとIBMが開発している決済アプリ

 IBMは、企業がAPIで連携できる最適なアプリケーションを探し出すための環境として「API Harmony」を今後提供すると発表。同様に、開発者向けの機能として、パブリッククラウドと既存の自社システム間などで、安全にデータを連係させる仕組みとして「Secure Passport Gateway」を提供。BlueMixをセキュリティ上の理由からファイアウォールの内側に設置したい企業向けに「BlueMix Local」を将来的にリリースすることも明らかにした。

PaaSが戦場に

 エンタープライズ向けクラウドへの取り組みにおいてIBMは「Microsoft Azure」を強く意識しているという。Salesforce.comなどもPaaSに力を入れており、大企業向けITの主戦場がPaaSになりつつある。

 同社は、2016年までにエンタープライズITを持つ組織の65%がハイブリッドクラウドにコミットすると指摘。それを受け、従来は個人が小規模にアプリケーションを開発する環境というイメージが強かったBlueMixを、エンタープライズ向けにも提供していくための施策を強化しているとのこと。重点が、顧客との関係性を強化するための考え方である「System of Engagement」に移りつつあることを示している。

「New Hybrid Cloud」を打ち出す
「New Hybrid Cloud」を打ち出す

Dockerサポート

 オープンであることにもかなりの労力を割いている。「New Hybrid Cloud」として打ち出した中核基盤として、BlueMixだけでなく、昨年提携したコンテナサービス「Docker」をベースにした「IBM Enterprise Containers」を発表。開発者は、Docker APIを用いることで、クラウド環境につくったアプリケーションをオンプレミス上で実行するなど、持ち運べるようになるという。また、OpenStack、Cloud Foundryなども選び、ハイブリッドクラウドのシステムを構築できるようにしている。

 このほか、データのクレンジングなどを実施するETLの役割を担うサービス「DataWorks Services」など、システム全体の質を担保する機能も随時提供することを明らかにした。

シドニーにデータセンター

 また、この日、インフラであるIaaSの観点からは、SoftLayerのデータセンターを新たにオーストラリアのシドニーとカナダのモントリオールにも開設すると発表した。IBM Power SystemsやOpenStackをサービスとして提供するとしている。

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