日仏で進むモデルベース開発とトレーサビリティの進化

杉山貴章(オングス)
2012-03-05 12:41:00
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 独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)と仏の原子力・代替エネルギー庁システム技術統合研究所(CEA LIST)は、2月21日から3日間にわたり、2011年10月に締結された「研究協力に関する相互協力協定」に基づく合同ワークショップを開催した。

 このワークショップは、双方の統合システムへの取り組みを把握し、今後の協力分野や具体的な方法について協議することを目的としたものである。ここでは、同ワークショップでの発表から、LISTと日本の一般社団法人TERASによる取り組みの内容をレポートする。

LISTによるモデルベースエンジニアリングへの取り組み

 LISTのプログラムマネージャを務めるArmand Nachef氏からは、複雑化するシステム開発の課題を解決するために、同研究所が注力しているモデルベース開発についての紹介が行われた。

写真1 LISTのプログラムマネージャArmand Nachef氏

 21世紀はビジネスと技術が統合された時代であり、情報システムは日を追うごとに複雑になっている。そのためシステムアーキテクトの重要性が増しているが、その中で技術の複雑性をどのようにサポートしていくかという点が大きな課題になっているとNachef氏は指摘。「その解のひとつとしてモデルベースエンジニアリングが使えるのではないか」と語った。

 モデルベースエンジニアリングでは、まず開発対象のモデルを構築し、すべてをモデル中心で考える。適切なモデリングは、開発工程の中で開発者が実装すればいいのかを明らかにしてくれる。完成したコードがなくても、モデルを評価することによってテストが行えるため、早い段階で重要な問題に気がつくことが可能となる。その結果、開発効率の向上やコストの削減、製品の品質・信頼性の向上といった効果を期待することができる。

 このモデルベースエンジニアリングには二つの原則が存在するとNachef氏は指摘する。ひとつは抽象化である。設計段階で開発対象を抽象化し、適切にモデルを作成することが重要で、このときモデリング言語が大きな役割を果たす。もうひとつは自動化だ。モデルをベースにしてコードの生成やテストの自動化を行うことで、開発効率を向上させることが可能となる。それには適切なツールのサポートが不可欠だ。

 モデルベースの開発に使う開発ツールは、単体の機能で完結する類のものではないという。大規模なシステムでは、開発する部品や工程ごとにチームが分かれていることが普通であり、チーム間で異なるツールを使っていたとしても、プロジェクトがスムーズに進行できるようにしなければならない。

 そこで重要なのが標準規格を採用すること、そしてその標準規格をベースにしてシームレスに連携できるツールチェーンを利用することだ。例えばモデリングツールと分析ツールが双方で標準のモデル言語をサポートしていれば、モデリングツールで作成したモデルをそのまま分析ツールに渡し、分析の結果をリアルタイムにモデルに反映させるといったサイクルが可能となる。

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