開発環境の整備とクロスプラットフォームに注力--エンバカデロが新たな製品戦略

海上忍
2010-06-18 20:29:02
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 データベース製品と開発ツールを展開するエンバカデロ・テクノロジーズ(エンバカデロ)は6月11日、都内ホテルにおいて新戦略、新製品発表会を開催した。同社が得意とするデータベース分野および開発ツール分野における製品戦略と、新製品「Delphi Prism 2011」について説明が行われた。

開発にまつわる「非生産的なコスト」を排除

 エンバカデロ、アジアパシフィックセールス&テクノロジーシニアディレクターのMalcolm Groves氏は、アプリケーション開発者とデータベースプロフェッショナルがエンバカデロの注力分野であり、そこへフォーカスしたことが世界で320万以上の顧客を獲得した要因だと、業務のポートフォリオを分析する。

 取引先の動向については、「従来とは違う動きを感じる。たとえば、製品開発者であれば生産性向上に注力し、技術者であればデータベースの品質向上に専念していたものだが、聞こえてくる声は『ソリューションが見つからない』というものだ」と指摘。混乱の原因のひとつとして、ソフトウェア環境の管理不備を挙げた。

 管理不備の例としては、「ライセンス管理やアプリケーション管理におけるコストコントロールがうまくいっていない。顧客と話をして驚くのは、然るべきデスクトップに然るべきソフトウェアが載っているかどうかの状況さえ把握できていない」として、非生産的な部分にコストがかかっている企業が多いことを指摘した。環境の複雑化によるあらゆる面でのデータ量の急増と、企業間の合併などに起因するプラットフォームの多様化や複雑化も、課題としてあげられた。

 エンバカデロはこの動きに対し、2つの製品戦略を有しているという。1つは「管理オペレーションの最適化」で、ライセンスやソフトウェアの配布、更新に対するソリューションを提供するというもの。その例として、リッチデスクトップアプリケーションに数秒程度でアクセスできることが挙げられた。

Malcolm Groves氏 エンバカデロ・テクノロジーズ、アジアパシフィック セールス&テクノロジー シニアディレクターのMalcolm Groves氏

 2つめとしては「ヘテロな環境に対する開発のサポート」である。さまざまな環境、プラットフォームが混在する企業においても、一貫性があり生産性が高い開発ツールを提供していくという。Groves氏は「ソフトベンダーは、これまでマルチプラットフォーム対応をアピールしつつ、実際はプラットフォームの選択を顧客に強いてきた。数年後にどのプラットフォームを使うのか、事前に決めるよう顧客を追い込んできた」とし、選択の裁量は本来顧客側にあるべきだと主張した。

 エンバカデロでは、1つめの戦略に対応した製品として「Embarcadero ToolCloud」を提供する。ライセンスの一元管理とソフトウェアプロビジョニングが機能の柱であり、ソフトウェアの運用に関したコストの削減とアクセス制御の集中管理が可能になるという。新たに展開するデータベースツール製品「XE」シリーズでは、OracleやDB2、Microsoft SQL Serverなど主要なデータベース製品をサポートし、1ツール1ライセンスでマルチデータベース環境を管理できるとのこと。

 2つめの戦略については、マルチプラットフォーム対応の開発ツール「Delphi Prism」を展開する。開発ターゲットとしてWindowsだけでなくLinuxとMac OS Xをサポートするもので、Delphiと.NETのリソースやスキルも生かせることが利点だという。7月には、CodeGear製品のチーフエバンジェリストを務めるDavid Intersimone(David I)氏が来日し、開発ツールに関する詳細な説明を行うことも明らかにした。

クロスプラットフォーム指向の.NET開発環境「Delphi Prism 2011」

 5月に発表されたばかりの「Delphi Prism 2011」については、エンバカデロ日本法人代表の藤井等氏から説明が行われた。

藤井等氏 エンバカデロ・テクノロジーズ、日本法人代表の藤井等氏

 この製品は、基本的には.NET向け開発ツールだが、加えてネイティブ開発とスクリプト言語による開発という計3つのエリアにフォーカスしているという。藤井氏は、.NETなどマネージドコードの分野では、そこで展開されているフレームワークが重要な意味を持つとしたうえで、「C#やVisual Basicといった.NETベースの開発はすでに普及しているが、Visual StudioやDelphiなど、ネイティブな開発ツールへの需要もある。そこへクロスプラットフォーム指向の.NET開発環境として機能を提供していこうというのが、Delphi Prism 2011のコンセプトだ」と説明した。

 Windowsプラットフォームのサポートについては、「Delphi Prism 2011はVisual Studioのプラグインとしてインストールされるため、これまでVisual StudioとC#で開発してきたユーザーは、そこへ.NETのクロスプラットフォーム環境を付加できる。新たに開発を始めるユーザーも、Visual Studio 2010 ShellベースのIDE(統合開発環境)を利用できる」として、既存のテクノロジを活用できるメリットをアピールした。

 Prism言語については、「Visual Basic.NET並の簡単さでC#同等のパフォーマンス、プラス先進の機能」(藤井氏)を保ちつつ、並列プログラミングや拡張メソッド定義の新構文を取り入れたという。コピー&ペーストで、C#のコードをPrismのコードへ自動変換する機能など、既存のリソースを生かす取り組みも紹介された。

  • MonoTouchを導入すればiPhoneアプリの開発も可能

 マルチプラットフォーム対応に関しては、「.NET互換のオープンソース技術『Mono』を取り入れたことにくわえ、統合開発環境『Mono Develop』を収録し、Mac OS Xも開発プラットフォームとして活用できるようになった」と説明。Novellが販売する『MonoTouch』を導入すれば、iPhoneアプリの開発が可能になるなど、モバイルプラットフォームにも対応できることをアピールした。

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