アジャイル系プロジェクト管理--そのルーツを探る

文:Rick Freedman(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
2009-06-24 08:00:00
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 さらにこの調査の後、IBMの高名な研究者であるWatts Humphrey氏が「Requirements Uncertainty Principle」(要件における不確実性原則)という論文を発表しており、その中で以下のことを主張している。

 「ソフトウェアシステムの新規開発において、システムの要件はユーザーがそのシステムを使用する時になるまで完全に明確化されることがない」

 そして、カリフォルニア大学のHadar Ziv氏がその後まもなく、「Uncertainty Principle in Software Engineering」(ソフトウェアエンジニアリングにおける不確実性原則)という論文を執筆し、以下のことを主張している。

 「ソフトウェア開発プロセスやソフトウェア製品には不確実性が内在しており、それを無くすことはできないのである」

 こういった考え方と、アジャイル系プロジェクト管理における基本的思想の関係は明白であるはずだ。ユーザーは何らかのシステムを手に入れるまで、自らの望むシステムを知ることができないという点や、大規模ITプロジェクトの予測や計画通りの遂行が不可能であるという点、開発途中の仕様変更を避けることはできないという点が事実なのであれば、既存の「ウォーターフォール」手法が前提としている考え方には明らかな欠点があり、プロトタイプをベースにしたインクリメンタルな手法によって大きな利点をもたらすことができるはずなのである。

 インターネットの普及によって、IT業界に革新的な波が生み出されるとともに、実験的な風土がもたらされることになった。ハーバードビジネススクールの助教授であるAlan MacCormack氏と、同氏の同僚2人は、革新的なインターネット企業が採用しているソフトウェア開発手法に関する調査を実施した。2001年にMacCormack氏が執筆した「Evolutionary Model of Software Development Methods」(ソフトウェア開発方法論における進化的モデル)という有名な論文では、ITにおける開発方法論の歴史を概観するとともに、以下のモデルについて解説している。

  • ウォーターフォール:逐次的なプロセスに従って開発を行い、ドキュメントのトレーサビリティを管理する。
  • ラピッドプロトタイピング:顧客要件を明確化するために、使い捨てのプロトタイプを作成し、顧客に提示する。
  • スパイラル:ユーザー要件を徐々に組み込みながら、一連のプロトタイプを配布していく。
  • インクリメンタルな、すなわち段階的な納品:プログラム群を機能単位に分割し、顧客に対して段階的に納品していくことで、最終的に完全なシステムを作り上げる。
  • 進化的な納品:実際に使用するソフトウェアを顧客がテストしていくことで、反復的なアプローチを実現する。
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