アジャイル系プロジェクト管理--そのルーツを探る

文:Rick Freedman(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
2009-06-24 08:00:00
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 本記事では、アジャイル系プロジェクト管理の歴史を簡単に振り返っている。歴史を紐解き、そこに横たわっている基本的な思想を見つめ直すことで、アジャイル手法がどういった課題や難問を解決するために考え出されたものなのかを深く理解できるようになるはずである。

 筆者はアジャイル系プロジェクト管理に関するコラムを執筆しており、最近ではプロジェクトの規模計画見積もりといったことに焦点を当ててきている。今回はもう少し大きな観点から、アジャイル系プロジェクト管理ムーブメントの背後にある理論に目を向けていきたい。

 ITプロジェクトマネージャーやソフトウェア開発者であればたいてい、アジャイルムーブメントの礎となっているアジャイル宣言(Agile Manifesto)という文書の存在を知っているだろうが、多くのITプロフェッショナルはこういったムーブメントの基盤となる思想についてよく知らないでいるのだ。アジャイルによる開発やプロジェクト管理を支える思想は、アジャイル宣言に署名した人々の頭の中から自然発生的に生まれ、体系化されたというわけではない。この思想は、学術的な研究と現実世界での経験の積み重ねに基づいているのである。こういった基盤となる思想を知ることで、アジャイル方法論の背景を理解したうえで議論を深めることができるようになるはずである。

 まず、標準的なプロジェクト管理手法には、一般的にも広く知られている問題が存在している。このことをまず確認しておこう。米Standish GroupのCHAOSレポートによると、数多くのITプロジェクトがスケジュールや原価予測を守れず、見込まれていたメリットを実現できなかったものもかなりあったという。こういった問題は、米国防総省(DoD)を含むさまざまな機関の調査でも確認されている。DoDによると、同省は1995年にソフトウェア関連で357億ドルを費やしており、そのうち納品時点で使用できたものはわずか2%であったという(関連英文記事)。DoDは、開発されたソフトウェアのうちの75%が1度も使用されなかったか、納品前に開発が中止されたことを明らかにしている。

 また、その他の学術研究でも、ITの一般的な開発やプロジェクト管理に対して疑問の目が向けられている。1998年にハーバードビジネススクールの研究者であるRobert D. Austin氏とRichard L. Nolan氏によって、大規模ソフトウェア開発プロジェクトに関する調査が行われた。この調査ではITの開発やプロジェクト管理におけるさまざまな基本的思想についての再評価が行われ、以下のようなことが明らかにされた。

  • 「第1の誤った前提は、大規模プロジェクトを計画通りに遂行することが可能であるというものである」
  • 「第2の誤った前提は、プロジェクト後半における仕様変更を避けることが可能であるというものである」
  • 「第3の誤った前提は、大規模なプロジェクトほど早期に仕様を凍結することが理に適っているというものである」
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