UMLとVisual Studioの連携がIT市場の進化を促す--OMG会長がtech daysで来日

柴田克己(編集部)
2009-01-28 18:47:01
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 マイクロソフトは1月27日、28日の両日にパシフィコ横浜でITプロフェッショナル向けカンファレンス「Microsoft tech days Japan 2009」を開催。初日となる27日には、標準化団体であるObject Management Group(OMG)の会長兼CEOであるRichard Mark Soley氏が来日し、「モデル駆動開発におけるUMLの新たな役割」と題したスペシャルセッションを行った。

 これは、2008年9月にマイクロソフトがOMGに加盟し、次期統合開発環境である「Visual Studio 2010」において、標準規格であるUMLのサポートを強化するという発表を行ったことを受けて実現したものだ。

 上流工程においてモデリングを利用したシステム開発がもたらすメリットについては以前より認識されており、実際に近年ではJava開発プロジェクトを中心にして、仕様記述言語としてのUMLの利用は広がりを見せている。実際にモデリング言語としてのUMLは、世界で71%のシェアを占めるという調査結果もあるという。一方で、.NET Frameworkベースの開発プロジェクトにおけるUMLの利用や、設計、開発から管理までを包括した企業システムのアプリケーション開発ライフサイクル全体を見据えた活用といった側面では、まだ発展の余地が残されている印象もある。

 かつてのVisual Studioには「Visual Modeler」と呼ばれる「Rational Rose」(現在はIBMの製品)のサブセットとなるモデリングツールがバンドルされていたが、同製品がスイートから外れてからは、Officeアプリケーションとしても知られる「Visio」によるサポートとなり、統合環境であるはずのVisual Studioにおいて、モデリングの存在は若干「浮いた」イメージがあったことも事実だ。

 しかしながら、2008年9月の発表には、モデル駆動型アーキテクチャによる開発を前提に、Visual StudioとUMLがより緊密に連携する何らかの機能、もしくは製品を同社が提供すると同時に、業界ごとのさまざまなワーキンググループに参加するという、より積極的な取り組みも含まれる。

 このステートメントが、Visual Studio 2010や新たなモデリングプラットフォームである「Oslo」(コード名)に具体的にどのようにインプリメントされるのかについては、現時点で不明な部分も多い。しかし、.NET環境でのモデル駆動型開発を推進しようとするマイクロソフトにとって、OMGに参加し、モデリング言語のスタンダードであるUMLへ積極的にコミットすることがメリットとなるであろうことは間違いない。また、Soley氏も「OMGのオープンスタンダードとMicrosoftの使い勝手の良い開発ツールの組み合わせによって、UMLの利用がさらに拡大することを望んでいる」と歓迎の意向を示している。

 こうしたOMGとMicrosoftの関係を目の当たりにして感慨を覚える人もいることだろう。両者は90年代半ば、分散オブジェクトモデルの標準化において、OMGが推進する「CORBA(Common Object Request Broker Architecture)」と、Microsoftが定めた独自の仕様であった「DCOM(Distributed Component Object Model)」との間で、対立を深めたからだ。

 Microsoftは特に近年、各分野での「相互運用性」や「標準化」への取り組みを積極的にアピールするようになった。こうした動きに対して、Soley氏はOMG会長としての立場で「カスタマーの標準に対する要求が高まっていることを、(Microsoftが)よく理解しての動きだと感じている。IT市場がこれからさらなる拡大を見せるためには、標準化の作業が極めて重要。現在のMicrosoftは、開発の標準化の重要性について、非常に深く理解していると感じている」と評価する。

 また、Soley氏はMDAにおいて「実際のインプリメントを具体的にどの技術ベースで行うかはユーザーが多くの選択肢の中から選び出すことができる」とも言う。それは、CORBAであっても、.NETであっても良いわけだ。「昨日の敵は今日の友」ではないが、かつての対立から10年近くを経て、より上位のレイヤである「モデル駆動型開発の発展」というテーマにおいて、両者は共同歩調で歩み出した。

tech days Japan 2009 Microsoft tech days Japan 2009会場にて。OMG会長兼CEOのRichard Mark Soley氏(向かって左から2番目)。マイクロソフト、デベロッパー&プラットフォーム統括本部カスタマーテクノロジー推進部部長の平野和順氏(右から2番目)。アーキテクチャーエバンジェリストの野村一行氏(右端)。デベロッパービジネス本部、デベロッパー製品部マネージャの近藤和彦氏(左端)。
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