アジャイル開発の恩恵とは

文:Lana Kovacevic(Builder AU) 翻訳校正:石橋啓一郎
2008-11-28 08:00:00
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 私は最近、IBMのRationalソフトウェアのアジャイル開発プラクティスリーダーであるScott Ambler氏に、アジャイル開発手法の利点について話を聞いた。

 Ambler氏は、アジャイル開発がいくつかの従来の手法よりもなぜ優れているのかを説明してくれた。また、同氏はアジャイル開発に関する伝説を打ち砕いてくれ、いくつかの方法論について議論し、アジャイル開発へのスムーズな移行を行うためのアドバイスをくれた。

--アジャイルがいくつかの従来の手法よりも優れているのはなぜだと考えていますか。

 アジャイル開発の主な恩恵は、品質、規律、ビジネス上の利害関係者と密に連絡を取りながら作業を進められること、定期的に機能するソフトウェアを提供できることなどに焦点を当てられることです。これは、単にわれわれが現実世界からベストプラクティスを取り入れたものであり、われわれは積極的にものごとを改善しようとしています。私はそれがわれわれと従来の開発コミュニティとの違いだと思います。

--アジャイル開発の方法論にはどんなものがありますか。

 方法論のレベルでは、例えばエクストリームプログラミング(XP)、プロジェクト管理の方法論であるスクラム、モデリングと文書化のためのアジャイルモデリング、そして、XP、スクラム、アジャイルモデリング、どちらかというと総合的な開発の方法論であるRUP(Rational Unified Process)、Crystal Clearの基本的な組み合わせであるオープンなエンタープライズプロセスなどがあります。

--アジャイル開発は、かなりの批判を受けています。これはなぜでしょうか。

 多くの批判があるのは、多くの人が何が起こっているかを理解しておらず、見ているものも分かっていないからです。誤った情報が何度も繰り返し流れています。

 アジャイル開発によって脅かされる人がいるとすれば、アジャイル開発のメッセージの一部に、人々は生産しなくてはならず、目に見える計測可能な形で付加価値を付けなくてはならないということが含まれているからです。そして、従来の開発コミュニティの多くの人たちは、本当には付加価値を高めたいとは思っておらず、彼ら自身がそれを知っているからです。

 われわれは文書化を行わないとして批判されることも多いのですが、これは完全に間違っています。文書化していないシステムを納品することなどできません。そんなことはあり得ません。

 こういう種類の批判は、従来の開発コミュニティの偏見に基づくものです。それで彼らは自分たちのやり方を変える必要はないという言い訳ができるのです。

--分散したチームの成功率は低いと発言されたことがありますね。これはなぜですか。

 チームが分散していると、コミュニケーションのリスクが生じます。

 その場合、顔を突き合わせてコミュニケーションすることができませんから、体の動きや表情など、多くの社会的な手がかりを失い始めます。他の人がどんなことをやりとりしているかもわかりにくくなります。最悪のコミュニケーション方法は、文書によるものです。これは基本的に一方向のコミュニケーションです。質問もできず、詳しい確認もできません。

--アジャイル開発でもっとも難しいことはなんですか。

 私が考えるアジャイル開発でもっとも難しいことは、文化の違いです。これは実際には技術の問題でも、領域の問題でもありません。人々はこれを変化しないことへの言い訳に使います。なぜなら、変わるのは大変だからです。

 これは技術的な問題ではなく、文化の問題です。アジャイル開発ではより多くの規律を設ける必要があります。もっとも大きな文化に関する課題は、従来の開発コミュニティが官僚制度と規律を混同していることにあります。官僚制度と規律は違うものであり、われわれはそれを理解しなくてはなりません。書類を書かされたりチェックリストをやらされたりという官僚制度が強力なところでは、アジャイル開発のような、品質や価値を追求していく動きは困難でしょう。

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