クライアントにプロジェクトの成功度を示すには

文:Tom Mochal 翻訳校正:石橋啓一郎
2008-10-03 08:00:00
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ジレンマ

 Maryは前のプロジェクトマネージャが辞任したため、金融部門のプロジェクトに配属された。これは難しい役割だったが、Maryは見事な仕事をしてプロジェクトを完了に導いた。だが、ソリューションは完璧に実現されたにもかかわらず、プロジェクトが成功だったかということについてはいくつかの疑問が残った。

 私はこのプロジェクトの総括ミーティングに出席したが、そのミーティングはMaryが期待していたようには進まなかったことが見て取れた。Maryは一連の指標を準備して臨んだのだが、クライアントはそれを額面通りには受け入れなかったのだ。

 「Mary、このプロジェクトのファクトについて、意見が異なっていたようだが」と、私は切り出した。「君はファクトに基づいた議論を始めようとした。なぜそれがうまくいかなかったのだと思う?」

 「プロジェクトの過程で、多くの感情が積み重なっていた」とMaryは答えた。「私はプロジェクトに加わったのが遅かったので、一部の人たちが感じていた不満の水準を理解していなかった」

 「どうやら彼らは君の持ち込んだ数字の一部について、それらの正当性や適切さについても異議があったようだが」と私は言った。「例えば、君はプロジェクトはスケジュール通り完了したと言ったが、クライアントはこのソリューションの実装には十分な検証が不足していると言っていた」

 「それはそうかもしれないし、そうでないかもしれない」とMaryは答えた。「とにかくわれわれは、まず実装して、問題があれば動きながら修正していくと言うことで合意した」

 「そのとおりだ。しかし、クライアントは今月の財務サイクルに間に合わせないといけないので、その判断に追い込まれたと言っていた」

 私はこの例を使って、将来に向けてのアドバイスをした。「Mary、君はプロジェクトに関する指標について正しい考え方を持っていた。やっていることをきちんと評価すれば、プロジェクトが全体として成功したか、失敗だったかについて、事実に基づく議論をする上で有利な立場に立てる。しかし、君は重要なことを2つ忘れている」

メンターの助言

 ファクトと統計を区別することは重要だ。統計、あるいは指標は、プロジェクトやソリューションが持つ性質の無数の組み合わせから作ることができる。

 しかし、それを使ってプロジェクトの成功や失敗を定義する時には気を付ける必要がある。まず、クライアントとの間に、成功を定義する一連の指標についての合意する必要があるということだ。そして、それらの指標は、プロジェクトで本当に起こっていることを表すことができるだけの、バランスが取れた十分幅広いものでなければならないということだ。

 もし集める指標とその意味について異論があれば、ただちに問題が生じることになる。狭い範囲の有利な指標だけを示してプロジェクトが成功であったと主張しようとすれば、すべての信用を失ってしまう危険を冒すことになってしまう。

 それが、プロジェクトの総括ミーティングでMaryに起こったことだ。彼女のクライアントは、プロジェクトの運営方法に満足しておらず、実装されたソリューションにも満足していなかった。従って、彼らがプロジェクトが成功だったことを示す一連の指標を受け入れたいと思わなかったとしても不思議ではない。より幅広い指標には、次のようなものがあり得るだろう。

  • 費やされた実コスト対当初予算、実際の納品日対当初のスケジュール。
  • ソリューションの成果を測る定量的な指標、これには応答時間や不具合の数などが含まれる。
  • ソリューションに対するクライアントの満足度を測る定性的指標、これには使いやすさ、ルック&フィールなどが含まれる。
  • プロジェクトチームの振る舞いに対するクライアントの満足度を測る満足度フィードバック、チームの問題に対する対処の早さ、コミュニケーションの上手さ、協力体制はうまく取れたかなどが含まれる。

 Maryはコスト、スケジュール、ソリューションの性能、チームの振る舞いなどを含む、一連の全方向的な指標を提案すべきだった。そして、その後クライアントとの間でプロジェクトの成功を測るためにどのようにそれらの指標を用いるかという合意をしっかり行っておくべきだったのだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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