
無償のIDE全盛の今、有償IDEの強みは「付加価値」にある--CodeGear
CodeGearが開催した「第9回 CodeGearデベロッパーキャンプ」の会場で、オープニングセッションに登壇したCodeGearのDeveloper Relations, Staff EngineerであるAnders J. Ohlsson氏に話を聞く機会を得た。
Embarcadero Technologiesとの合併によるCodeGear製品への影響、日本における開発の特徴、注目の技術などを聞いた。
合併に伴う製品の統廃合はあるか
ない。今ある製品全てをキープしていきたい。Embarcadero Technologiesの製品も、CodeGearの製品も一切変更はない。
オープニングセッションではEmbarcadero Technologiesの製品群を説明するスライドに「DatabaseGear」との記載があった。同社のDBツールはブランドを変更するのか。
そうだ。背景にはCodeGearというブランドの深い浸透がある。Embarcadero Technologiesはこれまで、たとえばDBArtisanなどのブランドで製品を展開してきたが、今後はDatabaseGearというブランドで展開するだろう。
合併によるシナジーを強調していたが、技術だけでなく製品面でもその効果が期待される。製品の統合・融合の計画はあるか。
Embarcadero Technologiesは多くの製品を保有している。顧客はもちろん(今後も)単体製品を購入することができるが、シナジーを考えればバンドルというやり方が考えられる。
あくまでも例えばの話だが、Embarcadero TechnologiesのDB設計製品「ER/Studio」が、CodeGearの「Delphi」にフィットしているので、バンドルするという方法もあるだろう。
特に価値のあるところ、シナジーがあるところでは、製品をバンドルしていくことになるのではないだろうか。
オープニングセッションで「(CodeGearの製品群の中では)日本はPHPとRubyが最もマーケットへの浸透率が高い」と発言していた。この理由は。

Rubyは元々、日本で開発された言語だからだろう。Ruby on Railsがデンマークで開発され、世界的に人気も高まった。PHPについては、推測だが、日本に著名な開発者がいるのではないか?
いずれにせよ、日本にはダイナミック言語という大きなトレンドがやってきていると考えている。
「Javaでの大規模プロジェクトが増加している現在、地方のSI事業者はなかなか案件を獲得することができない。しかし、Rails開発は中小規模企業でも可能だ。PHPも同様で、中小企業でも動的なWeb開発を受注できる。こうした日本の特殊な事情もあるだろう」(CodeGear マーケティングディレクター 藤井等氏)
では、3rdRailやDelphi for PHPは法人向けの需要が強いのだろうか。
3rdRailで言えば、日本で英語版を購入するのは個人が多かった。つまりアーリーアダプターというわけだ。3rdRail 1.1 日本語版では、先の事情から法人向けの需要が強いと感じている。Delphi for PHPは、とても多くのDelphiユーザーが飛びついた。
あなたはDeveloper Relationsという立場上、世界中の開発者会議に参加していると思う。そうした場で注目されているテクノロジーには何があるだろうか。
さまざまなトレンドがあるが、CodeGearコミュニティに限って言えば「オープンソースソフトウェア(OSS)」だ。「OSSを使いたい」「Rubyを使いたい」といった声をよく聞く。
(開発者は)多くのプロジェクトを手がけているが、これらをきちんと管理する必要がある。そこで重要になるのが(Javaの統合開発環境「JBuilder」の将来バージョンで提供される新機能)「Application Factories」だ。
いみじくも今、OSSに注目が集まっていると発言された。開発環境にはEclipseやNetBeansなどの無償で利用できるさまざまなソフトウェアがある。そのような情勢の中、有償で提供するCodeGearの製品にはどんな強みがあるのだろうか。
既存のOSSを支持し、これを(製品に)融合していく。これによって、多くのOSSのフレームワークを活用できる。つまり「付加価値」こそ強みになるといえよう。