「WebLogicマルチテナント」の実力をNECがOracle OpenWorld 2016で発表! Java Cloud Serviceとの高い“可搬性”を実証。そのメリットとは?

WebLogic Channel編集部
2016-12-22 10:30:00
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NECはOracle WebLogic Server 12c R2で導入されたマルチテナント機能について、アプリケーションの「可搬性」に関する技術検証を実施。オンプレミス環境とOracle Java Cloud Service間でアプリケーションを容易に移行する方法を発表した。

WebLogicマルチテナントは企業の期待に応える技術なのか?


NEC
クラウドプラットフォーム事業部
主任 牧田雄樹氏

 Oracle WebLogic Server 12c R2で導入された「WebLogicマルチテナント(ドメイン・パーティショニング)」は、アプリケーションの「集約性」と「分離性」、「可搬性」を大きく高め、企業システムにおけるITリソース利用の最適化や運用管理の効率化、コスト削減を実現する技術として注目を集めている。

 また、WebLogicマルチテナントは、Oracle WebLogic ServerのPaaS「Oracle Java Cloud Service」と併せて活用することで、オンプレミス環境とパブリック・クラウドの間でアプリケーションを自在に行き来させられる“ハイブリッド・クラウド”の基盤となる技術としても期待が高まっている。現在、こうした環境のメリットが特に大きいと考えられているのが「開発/テスト」の用途だ。

 果たして、WebLogicマルチテナントはこれらの期待に応える十分な実力を備えているのだろうか? この疑問の答えとなる技術検証の結果を、2016年9月に米国サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2016」でNECが発表している。その発表内容について、検証作業を行った同社の牧田雄樹氏(クラウドプラットフォーム事業部 主任)と柏木直人氏(同)に聞いた。

オラクル製品による高可用アーキテクチャの構築で豊富な実績を持つNECが注目

 NECとオラクルは、エンタープライズ領域における高可用アーキテクチャの実現に向けて共同で取り組みを進めてきた。例えば、2013年以降、Oracle Databaseの「Oracle Real Application Clusters」や「Oracle Active Data Guard」とOracle WebLogic Serverの「Active GridLink」の組み合わせによる早期障害検知/可用性向上の有効性を検証し、そこから得た知見を米国オラクルの製品開発チームにフィードバックするととともに、Oracle OpenWorldにおける共同講演などを通じて共有するという取り組みを2013年から2016年まで4年連続で行っている。


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 WebLogicマルチテナントに関する共同検証も、こうした取り組みの一環として実施された。NECは早くから、今後の企業システムで重要になる技術としてWebLogicマルチテナントとクラウド(Oracle Java Cloud Service)に着目。オラクルが実施するベータ・プログラムに唯一の日本企業として参加し、主にWebLogicマルチテナントの「集約性」、「分離性」に関する技術検証を行ってきた。そして、今回実施した検証では、主にWebLogicマルチテナントの「可搬性」にフォーカスしている。

WebLogicマルチテナントでアプリケーション移行のコストを70%以上も削減できる

 NECが実施した検証の内容は、企業アプリケーションのライフサイクルを念頭に、「オンプレミス間」および「オンプレミス/クラウド間」でのアプリケーション移行が確実かつ効率的に行えるかどうかを確認するものだ。

 実際の利用シーンとしては、開発/テスト環境と本番環境の間でアプリケーションを移したり、本番環境で何らかの問題が起きたアプリケーションをオンプレミスあるいはクラウド上の別環境に移して検証作業などを行ったりするといったケースを想定している。

 具体的な検証環境は下図のとおりだ。Oracle WebLogic Serverに付属するサンプル・アプリケーション(Medrec)の移行を想定し、テスト1では「オンプレミス間」、テスト2では「オンプレミス/クラウド(Oracle Java Cloud Service)間」での移行を行った。それぞれについて、従来の「ドメイン単位」(ドメイン・テンプレートを利用、Pack/Unpack)による移行と、WebLogicマルチテナント(ドメイン・パーティショニング)を利用した「パーティション単位」での移行(Export/Import)をテストし、次の2つの項目を比較している。

  • 作業ステップ数(操作と設定コマンド実行数)
  • 入力が必要なパラメータ数

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 牧田氏は、「この検証では、従来のドメイン単位での移行よりもパーティション単位のほうが容易に移行できるか、移行元と移行先を入れ替えた双方向での移行を同じ手順で実行できるかといった点に特に注目しました」と話す。

 まず、「オンプレミス間」での移行に関する検証結果をまとめたものが次のグラフだ。


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 2つのグラフの左側のバーがドメイン・テンプレートによる移行、右側のバーがパーティションによる移行で必要となった作業量を表している。ご覧のとおり、パーティション単位で移行した場合、ドメインによる移行と比べて作業ステップ数は約71%、入力パラメータ数は約74%も削減されていることがわかる。

 パーティション単位による移行で作業ステップ数を大きく削減できる理由として、牧田氏は「リソース・グループ・テンプレート」の存在を挙げる。

 「ドメイン・テンプレートを使う場合、ホストやポート、外部リソースなどの情報を全て修正する工程があり、今回の検証環境では、これだけで70ステップ以上の操作が必要となりました。一方、パーティションによる移行では、その環境で使用している外部リソースを『リソース・グループ・テンプレート』としてまとめて管理できる仕組みが用意されています。これにより、4ステップまで操作を削減できるのです」(牧田氏)


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 作業ステップ数の削減は、単に作業時間が短縮されるだけでなく、作業に伴うオペレーション・ミスを減らす意味でも有効だと牧田氏は指摘している。

 次に検証を行ったのは「オンプレミス/クラウド間」での移行だ。このテストでは、前出のテスト(オンプレミス間)で利用したものと全く同じスクリプトを使い、クラウド上のWebLogic(Oracle Java Cloud Service)への移行、クラウドからオンプレミスへの移行の実現性が検証された。

 その結果について、牧田氏は「オンプレミス/クラウド間での移行においても、オンプレミス間での移行と同じ作業手順で実施できました」と話す。また、移行作業に要する時間は非常に短く、NECが検証を実施した環境では「クラウドからオンプレミスへの移行」、「オンプレミスからクラウドへの移行」について、のいずれも1分以内での迅速な移行が可能であった。

 なお、検証時には移行元と移行先で稼働しているWebLogicのバージョンの違いにより、パーティションに関するJSONスキーマがそのまま移行できないという事象が見られたが、オラクルの製品開発チームによれば、この問題は今後のアップデートで解消されるという。NECは「既存資産の流用」という観点でもバージョン間の互換性が重要だと考えており、引き続き検証を行って確認する予定だ。