間もなくJava SE 9、Java EE 8が登場! それによってJava開発はどう変わるのか?──Java Day Tokyo 2017基調講演レポート

Oracle Java & Developers編集部
2017-08-03 11:00:00
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Java EE 8により、モダンで高速なアプリケーションをシンプルに構築できるようになる


米国オラクル プロダクト・マネジメント シニアディレクターのウィル・ライオンズ氏

 次に登壇した米国オラクル プロダクト・マネジメント シニアディレクターのウィル・ライオンズ氏は、Java SE 9と同じく今年リリースが予定されている「Java EE 8」の新機能を紹介した。

 ライオンズ氏は、まず1999年にリリースされたJ2EE 1.2から2013年にリリースされたJava EE 7までの歴史を振り返り、「エンタープライズ開発に求められる堅牢性」、「Webサービスへの対応」、「開発容易性」、「ライトウェイト化」、「生産性向上とHTML5対応」といった各時代のニーズにJava EEが順次対応してきたことを説明した。

 「これまで、企業のさまざまなニーズに対応してきたJava EEは、今日ではクラウドとオンプレミスの双方で成功を収めたとプラットフォームとなりました。統合されたプラットフォームとして成功しただけでなく、Java EEのAPI群はさまざまなオープンソース・プロダクトのベースとしても活用されています」(ライオンズ氏)

 その最新の成果となるJava EE 8のコンセプトは、「モダナイゼーションとシンプリファイケーション」だ。これはクラウドの活用やマイクロサービス化など、近年のエンタープライズ・アプリケーション開発におけるトレンドに対応したものだとライオンズ氏は説明する。


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 このコンセプトの下、Java EE 8ではServer Sent Events(SSE)、REST、JSONといったプロトコルへの対応が強化されるのに加えて、「Enhanced CDI」、「Bean Validation 2.0」、「Security」といった新機能を活用することで、セキュリティ・レベルが高くモダンなビジネス・アプリケーションを、よりシンプルに開発できるようになるという。


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 ここで、Java EE 8の新機能を使うことによってどのような効果が得られるのかについて、旅行代理店のスマートフォン向けWebアプリケーションを例にとったコンセプト・デモが披露された。このデモ・アプリケーションは、バックエンドで動作する複数のマイクロサービスからデータを取得し、条件に合致した情報をリアルタイムに一覧表示するというものだ。Java EE 8の新機能を使うことで、こうしたリアクティブRESTクライアントを容易に開発し、高いパフォーマンスで動作させられるのだという。


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 「Java EE 7までのアプローチでは、同期処理と非同期処理によってクライアント/サーバ間のリアルタイム通信などの要件に対応していました。しかし、同期処理のコードはシンプルに書けるもののレスポンスが遅く、非同期処理ではレスポンスが速い代わりにコードが複雑になるという課題がありました。Java EE 8では、その両方のメリットを満たしたアプリケーションを容易に開発できるようになります」(ライオンズ氏)

 Java EE 8のリファレンス・インプリメンテーションである「GlassFish 5.0」は仕様確定後のリリースが予定されており、商用製品では2018年にリリース予定の「Oracle WebLogic Server 12.3.1」などが対応する。パブリック・クラウド・サービス「Oracle Java Cloud Service」における対応インスタンスの提供は、その後に計画されているとのことだ。


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ますます活気を増す国内Javaコミュニティ。交流や貢献の方法はさまざま


米国オラクル JCPチェア兼ディレクターのヘザー・バンキューラ氏

 基調講演の最後には、海外および国内でJavaコミュニティの活性化に取り組むリーダーたちが、それぞれの立場からJava標準化プロセスおよびJavaコミュニティへの参加を訴えた。

 Javaの進化が今後もJCP(Java Community Process)を通じて行われていくことを強調したのは、JCPのチェア兼ディレクターを務めるヘザー・バンキューラ氏だ。氏は、JCPへの参加を通じて、開発者個人は最新のJavaに関する知識やスキルを習得しつつ、楽しみながらJavaの進化に貢献できること、また企業の開発者はJava市場でイニシアチブをとりながら、ビジネスに有益な情報をいち早く得られるといったメリットがあることを説明し、「企業か個人かにかかわらず、Java開発者ならば、ぜひJCPに参加してください」と呼びかけた。

 次に登壇したのは、米国オラクルでJavaコミュニティ・マネジャーを務めるスティーブン・チン氏と、ドイツのフリーランスJava開発者でJava Championのセバスチャン・ダシュナー氏である。両氏は2016年、日本全国を巡って各地のJUG(Java User Group)と交流する「Night Hacking Tour」を敢行したが、今年は5月中旬に静岡県下田市でJava開発者によるアンカンファレンス「JOnsen」を開催するなど、国内Javaコミュニティの交流を促す活動を精力的に行っている。両氏は各イベントの様子を記録したビデオを紹介しながら、今後の企画への積極的な参加を呼びかけた。


スティーブン・チン氏(写真左)とセバスチャン・ダシュナー氏

日本Javaユーザーグループ会長の鈴木雄介氏

 また、日本Javaユーザーグループ(JJUG)会長の鈴木雄介氏も壇上に上り、JJUGの登録者数がこの2年で約2倍に増えたことを紹介し、「コミュニティが非常に活発な状況になっている」と報告。Java開発者がコミュニティに参加することのメリットとして「技術的な悩みについて一緒に考えてくれる仲間と出会える」、「スゴ腕エンジニアのやり方を知ることができる」、「自分が学んだことを情報発信し、コミュニティに還元することで自分自身の理解を深められる」といった点を挙げた。

 JJUGは常時会員を募集しており、現在はDoorkeeperのコミュニティに参加することで登録が行える。また、TwitterアカウントFacebookグループをフォローすることで最新のイベント情報などが入手できる。鈴木氏は、「JJUGではクロスコミュニティ・カンファレンスや平日夜に開催するナイトセミナーなど、年間を通じて沢山のイベントを開催しています。より多くのJava開発者の皆さんとイベントでお会いできることを楽しみにしています」と呼びかけてJJUGの紹介を終えた。

 以上、ここではJava Day Tokyo 2017の基調講演の要旨を紹介した。今回の基調講演では、間もなく登場するJava SE 9とJava EE 8が開発者にどのようなメリットをもたらすのか、またそれ以降のバージョンでJava/Java EEがどのように発展していこうとしているのかが米国オラクルの責任者によって具体的に示された。また、そうしたJavaの発展に日本人開発者も大きく貢献していることや国内Javaコミュニティの活発な活動状況が紹介されたことも印象的であった。「マイクロサービスやクラウドなどの普及によりシステム開発が新たな時代を迎える中、今後もJavaをメインストリーム技術として日本人開発者とともに進化させていく」──今回の基調講演には、Javaの開発を主導する米国オラクルの責任者らのそんな強い思いが込められていたのだろう。