ユー・エス・イーがe-Gov連携ソリューション「Charlotte」の提供基盤に「Oracle Java Cloud Service」を活用。それによって得たメリットは?

Oracle Java & Developers編集部
2017-01-20 11:00:00
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Java開発に精通したシステム・インテグレーターがソリューションの提供基盤に「Oracle Java Cloud Service」を選んだとき、いかなるメリットが得られるのか? e-Gov連携ソリューション「Charlotte」に採用したユー・エス・イーの事例に学ぼう。

クラウド・ソリューションの開発/提供プラットフォームにOracle Cloud Platformを全面採用


ユー・エス・イー サービスイノベーション事業部 事業部長の北野文章氏

 これまでシステム・インテグレーションやパッケージ・ソフトの導入などを手掛けてきたシステム・インテグレーターが、顧客への付加価値として自らクラウド型のソリューションを提供する動きが活発化している。この際、提供基盤として理想的なのは、システムの実行環境や開発環境、および付随するデータ連携機能やデータベース機能などを備えたクラウド・プラットフォームであろう。

 先頃、企業の社会保険労務業務を効率化するクラウド・ソリューション「Charlotte」の提供を開始したユー・エス・イーは、同ソリューションの提供プラットフォームとして「Oracle Java Cloud Service」をはじめとする「Oracle Cloud Platform」のサービス群を全面的に採用した。Charlotteの開発を主導した同社の北野文章氏(サービスイノベーション事業部 事業部長)は、「クラウド・ソリューションの開発としては初のプロジェクトでしたが、Oracle Cloud Platform にはCharlotteの実現に必要な機能が十分に備わっていただけでなく、開発効率やコスト、拡張性など、さまざまな面でメリットが得られました」と話す。同社はなぜOracle Cloud Platformを選び、どのような効果を得たのか──北野氏らプロジェクト・メンバーに聞いた。

 1970年に福岡県久留米市で創業したユー・エス・イーは、公共企業や官公庁向けのシステム開発に強みを持つ独立系のシステム・インテグレーターだ。現在は「システム・インテグレーション(SI)」、「ERP」、「クラウド・サービス」、「運用保守」の4つを事業の柱としている。

 同社は2000年に現Oracle PeopleSoftの取り扱いを開始したのを機に、オラクルとの協業をスタート。以降、さまざまなSI案件を通じて「Oracle WebLogic Server」や「Oracle Database」のほか、SOAやBPM関連のミドルウェア製品を扱う中でオラクルとのパートナーシップを深めてきた。「Oracle PeopleSoft Award Excellent Evangelist」や「Oracle Award 2009 Consulting Collaboration Award」といったオラクルのパートナー・アワードを受賞しているほか、BPMに関しては国内で3社目となる「BPM Specialization」認定を取得するなど、オラクル製品の取り扱いに関して豊富な実績を持つ。

 そんなユー・エス・イーが手掛けるシステム開発案件の多くは基盤技術にJavaを利用しており、在籍する開発者の約7割がJava開発者だという。今回のCharlotteについても、開発を担当したのは日頃からSI案件などでJava開発に従事していたチームとなる。

企業の人事/労務関連の申請業務を効率化するために──e-Gov連携システム「Charlotte」が求められた背景

 Charlotteは、政府の電子申請総合窓口である「e-Gov電子申請システム」への人事/労務関連の各種申請業務を効率化するクラウド・ソリューションである。

 一般に、従業員を雇用する企業では、複数の関係省庁窓口に対して社会保険、労働保険などに関連した労務関連の申請や届出を行う業務が発生する。多数の従業員を抱える企業にとって、この社会保険/労働保険手続き業務は大きな負担であり、社会保険労務士の支援を受けながら関連業務を行っているケースも多いだろう。

 e-Gov電子申請システムは、そうした申請業務をオンラインで電子的に行えるように政府が提供している電子申請システムだが、その使い勝手は、特に多くの申請を行う企業の担当者にとって「必ずしも使いやすいものではない」というのが一般的な評価である。例えば、申請内容や届出先に応じたデータの加工に手間がかかったり、申請後の進捗確認や従業員ごとの申請内容の検索がしづらかったりといった具合だ。結果として、業務の属人化や新たな作業負担の増大を招いている現場もあると聞く。

 こうした課題を解決するために開発されたのがCharlotteである。同サービスが提供する機能について、北野氏は次のように説明する。

 「Charlotteは、PeopleSoftなどの人事給与システムとe-Gov電子申請システムとの間を橋渡しし、申請業務に必要なデータ変換と提出作業を自動化するサービスです。また、申請番号などが従業員IDとひも付けてデータベースで管理されるため、従業員ごとの申請内容や申請の進捗状況の確認などが、よりわかりやすく簡単に行えるようになります」

 これらの機能により、人事労務業務にかかわる担当者の作業負担を大幅に軽減しようというわけだ。

Charlotteの開発コンセプト Charlotteの開発コンセプト
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 ユー・エス・イーがCharlotteの開発を決めたのは、同社のPeopleSoftユーザーからの相談がきっかけであった。その企業では、オンプレミスで運用しているPeopleSoft上の1万件を超える人事情報を申請業務の都度、手作業でデータ加工して紙に出力し、各窓口に提出するというプロセスをとっていた。多数の従業員を抱えていることから当然、申請担当者には多くの作業負担がかかる。この負担の軽減策を相談されたユー・エス・イーは、クラウドによるソリューションの提供を決意。申請業務を熟知する社会保険労務士事務所の協力も得て、より使いやすく、担当者の業務を効率化できるソリューションの開発を目指すこととなった。

Oracle Cloud Platform採用の決め手は「コスト」と「システム連携」

 社外向けにインターネットで提供するソリューションであることから、ユー・エス・イーは当初から提供基盤としてクラウド・プラットフォームの活用を念頭に置いていた。その選定では、Amazon Web Services(AWS)とデータ変換ミドルウェアの組み合わせも候補に挙がったという。だが、最終的に「ミドルウェアのライセンス・コスト」や「システム間連携のしやすさ」などが決め手となり、Oracle Cloud Platformの採用を決める。同社が導入したOracle Cloud Platformのサービスは次のとおりだ。

  • Oracle Java Cloud Service:アプリケーションのユーザー・インターフェース(UI)や処理ロジックの開発などで利用
  • Oracle Integration Cloud Service:人事給与システムから出力したデータの変換に利用
  • Oracle Database Cloud Service:申請履歴情報などの保存に利用

 「現状はさまざまな人事給与システムとの連携が可能ですが、当初はPeopleSoftとの連携を念頭に置いたシステムだったこともあり、オラクルの技術に統一して作り上げるのが効率的だろうと考えました。他社のクラウド・サービス、特にIaaSを使った場合、連携部分の検証やミドルウェアより上位層におけるセキュリティの確保などに多くの工数がかかりますが、Oracle Cloud Platformのサービスで揃えれば、それらを削減できることも大きなポイントでした。もちろん、当社がJavaをはじめとするオラクルの技術/ソリューションを得意としていること、そして現在、オラクルがOracle Cloud Platformに注力していることも採用に踏み切った大きな理由です。」(北野氏)

Charlotteのサービス構成 Charlotteのサービス構成
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 開発プロジェクトは2016年2月にスタート。Oracle Cloud Platformの評価も並行して行いながら設計/開発が進められた。Charlotteで中核となるのはデータ変換を行う部分だが、「評価の結果、Oracle Integration Cloud Serviceは要件を満たす機能を備えており、将来の機能拡張にも十分に対応できることを確認できました」と話すのは、同サービスの評価に当たった横田伸悟氏(サービスイノベーション事業部 ビジネス推進 技師)だ。


ユー・エス・イー サービスイノベーション事業部 ビジネス推進 技師の横田伸悟氏

 「他社のデータ変換ミドルウェアは、変換に使うアダプタを最初の段階で決めて購入する必要があります。これに対して、Oracle Integration Cloud ServiceにはRESTアダプタをはじめ、さまざまなデータ変換アダプタが標準で豊富に用意されており、必要に応じて自由に選べるという点で使い勝手の良さを感じました。将来、データ変換機能を拡張する際に新たなアダプタが必要になった場合でも、即座に対応できると思います」(横田氏)

 開発作業は4、5名の体制で4月より本格化し、テストなどを経て9月にベータ・リリースが行われた。現在もベータ・テスターとして協力する企業からのフィードバックを基に、機能強化やUIの改善などを継続して行っている。