WebLogic 12cR2とOracle Database 12cのマルチテナント機能でアプリケーションの可搬性が大きく高まる─NTTデータ先端技術が技術検証

Oracle Java & Developers編集部
2016-08-30 16:30:00
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NTTデータ先端技術は先頃、「Oracle WebLogic Server 12cR2」と「Oracle Database 12c」のマルチテナント機能について“可搬性”の観点から技術検証を行った。クラウドとの高い親和性を備えるこの機能を、同社はどう評価しているのだろうか。

WebLogicマルチテナントの可搬性の効果を3つの観点で検証


NTTデータ先端技術 オラクル事業部 第二技術担当 クラウドビジネス推進グループ チーフエンジニアの山田精一氏

 本サイトでも紹介してきたように、オラクルのアプリケーション・サーバ製品の最新版「Oracle WebLogic Server 12c Release 2(R2)」の最大の特徴は、ドメイン・パーティショニングによって実現される「マルチテナント機能(WebLogicマルチテナント)」の導入である。Oracle WebLogic ServerとOracle JVMの協調動作により、アプリケーション単位でのコンパクトなテナント化を可能にしており、従来のサーバ仮想化技術や軽量コンテナ技術と比べて、より高い集約率と運用管理性を実現する。

 Oracle WebLogic Server 12cR2は2015年10月より国内での提供が開始されたが、2016年4月にはOracle WebLogic Serverのパブリック・クラウド・サービス「Oracle Java Cloud Service」でも同バージョンが利用可能となった。オンプレミスとクラウドの双方でOracle WebLogic Server 12cR2が利用できるようになったことで、オラクルが指向する“ハイブリッド・クラウド”の利用価値がさらに高まったわけである。

 これを受け、日本オラクルのパートナー企業であるNTTデータ先端技術は先頃、Oracle WebLogic Server 12cR2におけるマルチテナント対応に関して技術検証を行った。同社オラクル事業部 第二技術担当 クラウドビジネス推進グループ チーフエンジニアの山田精一氏は、「当社では近年、パブリック・クラウドの活用領域の拡大とお客様への提案の強化に力を入れています。Oracle WebLogic ServerのPaaSであるOracle Java Cloud Serviceについても積極的な提案を計画しており、今回はその準備として、Oracle WebLogic Serverのマルチテナント化による管理性の向上や適用拡大の可能性について検証を行いました」と話す。

 WebLogicマルチテナントの主な特徴としては、アプリケーションの「集約性(集約度の向上)」、「分離性(テナント間でのリソースやセキュリティ要素の分離)」、「可搬性(テナント化されたアプリケーションの容易な移動)」の3点が挙げられる。山田氏は、「今後ニーズが高まると予想される“オンプレミスとクラウドの併用”を考えると、これら3つの中でも、特にアプリケーションの『可搬性』が重要になる」と説明する。そこでNTTデータ先端技術は今回、特に「WebLogicマルチテナントにおけるアプリケーションの可搬性」に着目して検証を行ったという。その具体的な検証項目は次のとおりだ。

  1. ドメイン・パーティションのExport/Importによる移行と、従来のPack/Unpackを使った移行の比較(仕組み、工数、手順の比較)
  2. 「Domain To Partition Conversion Tool(DPCT)」を利用した旧バージョン(12.1.3)から新バージョン(12.2.1)へのドメイン移行
  3. Oracle WebLogic SeverとOracle Databaseのマルチテナント機能を利用したオンプレミス/クラウド間およびクラウド間のアプリケーション移行

 以降、それぞれの検証内容と結果を紹介していく。

ドメイン・パーティションのImport/Exportでアプリケーション単位での移行が容易に

 1つ目のExport/Importによるドメイン・パーティションの移行だが、山田氏は「Oracle WebLogic Server 12cR2では『仮想ターゲット』が導入され、アプリケーションとリソース情報を統合したリソース・グループをドメイン・パーティションの単位でExport/Importできるようになりました。アプリケーションの可搬性向上に関しては、これが大きなポイントとなります」と話す。

 従来のOracle WebLogic Serverでは、アプリケーションが置かれたドメイン単位でのPack/Unpackが可能であったが、この場合はドメインに固有の情報がアプリケーションとともにパッケージ化される。そのため、パッケージ化したアプリケーションを他の環境で実行する場合は、同一のドメインに置かれた全てのアプリケーションの設定情報などを事前に確認しなければならず、作業工数が膨らむ傾向にあった。また、ドメイン単位でのパッケージ化となるため、パッケージ(ZIPアーカイブ)のファイル・サイズは大きくなり、移行作業も移行元と移行先のサーバ環境上でコマンドライン・ツールによって行う必要があり、難易度が高いという問題があった。

 一方、12cR2で導入された仮想ターゲットでは、ドメイン・パーティション単位でのExport/Importが可能となり、ドメイン・パーティションに含まれるリソース・グループ(アプリケーションとリソース情報)だけをエクスポートすることができる。あらかじめ移行先にドメインや仮想ターゲットを作っておけば、移行元で作成したZIPアーカイブを移行先の管理コンソール上でインポートするだけで移行作業が完了する。


※クリックすると拡大画像が見られます

 NTTデータ先端技術による検証では、10個のアプリケーションに対して旧バージョン(12.1以前)のPack/Unpack、および12cR2(12.2)のExport/Importによって移行作業を行い、必要となる操作ステップ数などを比較した。その結果、操作ステップ数は平均で約70%削減されることがわかったという。

 「従来のPack/Unpackは、ドメイン全体を別サーバに移行するための手段でした。それに対して、12cR2におけるドメイン・パーティションのExport/Importは、生成されるファイル・サイズが小さく、作業もシンプルであるため、開発環境とテスト環境、あるいは本番環境間のアプリケーション移行などでも手軽に利用できると感じました」(山田氏)


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 なお、Oracle WebLogic Server 12cR2では、ドメインごとの管理者を設定できるだけでなく、ドメイン・パーティションごとに個別に管理者を設定することもできる。近年、開発者と運用担当者が緊密に連携し、リリース・サイクルを短縮しながらアプリケーションの改善を進める手法としてDevOpsが注目されている。「用途と責任範囲に応じて、ドメイン全体を移行する従来のPack/Unpackと、アプリケーション単位でシンプルに移行できるExport/Importを使い分けることで、プロジェクト関係者がより効率的に連携してDevOpsのサイクルを回せるようになるでしょう」と山田氏は話す。