金融サービスにFinTechの波。これからのシステム開発に求められるテクノロジー/システム基盤とは?

Oracle Java & Developers編集部
2016-04-19 11:00:00
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国内大手銀行が高い性能要件を満たすシステム基盤としてEngineered Systemsを採用


日本オラクル クラウド&テクノロジー事業統括 Fusion Middleware 事業統括本部の松崎展晃氏

 川島氏に続いて登壇し、金融業界におけるオラクルの最新テクノロジーの活用事例を紹介したのは、日本オラクルの松崎展晃氏(クラウド&テクノロジー事業統括 Fusion Middleware 事業統括本部)である。

 松崎氏は初めに、国内大手銀行が実施した顧客情報を管理するCRMの集約化事例を紹介した。これは複数のCRMを1つに統合しつつ、併せてシステムを刷新することによって付加価値の増大やビジネス機会の拡大を目指すというプロジェクトである。


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 松崎氏によれば、同行が新システム基盤に対して課した性能要件は、非常に厳しいものであった。

 「初期システムのデータ規模は50億レコードで、それが5年間で200億レコードまで増えると想定されていました。この膨大なデータの処理をスムーズに行える高いパフォーマンスを備えたシステム基盤が求められたのです」

 検討の末、オラクルの垂直統合型システムであるEngineered Systemsを採用する。具体的には、データベース基盤として「Oracle Exadata」を、分析処理に特化したBusiness Intelligence基盤として「Oracle Exalytics」を、そしてアプリケーション基盤として「Oracle Exalogic」を導入した。これによってレスポンスタイムが飛躍的に改善するなど高速化を実現したほか、OLTPとバッチ処理の平行稼働が可能になるなど、運用の柔軟性も高めている。

 この事例において、特にパフォーマンス面で大きな効果を発揮したのが、Engineered Systemsが採用している内部ネットワーク技術「Infiniband」である。

 「Engineered Systemsでは、I/Oバスに40Gbpsの広帯域幅を持つInfinibandを使用しています。この高速/低遅延のネットワークをインフラのバックボーンとして利用してEngineered Systems同士を接続することにより、全体として高いパフォーマンスを備えたシステムを構築できたと高くご評価いただいています」(松崎氏)

国内信販会社はOracle MAAで高可用性システムを構築

 2つ目の事例として紹介されたのは、国内の信販会社におけるホスト・コンピュータからオープン系システムへの移行事例だ。

 このプロジェクトでは、COBOLプログラムをJavaに変換するツールを利用して、ホスト上のシステムをOracle Exalogic上で動作するOracle WebLogic Serverの上へと移行した。ツールを活用した移行作業の自動化により、開発コストを削減したわけだ。


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 また、このプロジェクトでは、クレジットカードに関する情報の保護を目的に定められたPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への対応も必要とされていた。

 「このお客様は業界のセキュリティ標準を順守するという方針を掲げており、プロジェクトではPCI DSSへの対応が目的の1つとされました。オラクルのEngineered SystemsはPCI DSSへの準拠を前提に開発されているため、この要件にもスムーズに対応できたのです」(松崎氏)

 松崎氏がもう1つのポイントとして挙げるのが、高可用性システムを実現するオラクルのベスト・プラクティス「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」の活用である。この信販会社では、ホスト・コンピュータ以上の高い可用性を確保するために、Oracle ExadataとOracle Exalogicを各2台用いてシステムを多重化するなど、Oracle MAAの考え方に沿ってシステムを構築し、信頼性の高いシステムを実現している。

 Engineered Systemsの採用は、海外の金融機関でも進んでいる。例えば、ルーマニアのバンカ・トランシルバニア銀行(Banca Transilvania)は、既存のオープン系システムをOracle ExadataとOracle Exalogicを組み合わせたシステムに移行し、旧システム比で4倍の高速化を果たしたほか、運用効率が大幅に改善したことで、システム管理者の数を20名から4名へと大幅に削減したという。


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 また、中国のあるネットバンクでは、百数十台のPCサーバーをわずか2台のOracle Exalogicに集約したが、アプリケーションのデプロイにおいてもOracle Exalogicの機能を有効に活用していると松崎氏は話す。

 「Oracle Exalogicにはロード・バランサが組み込まれているほか、Infinibandのネットワーク内で仮想ネットワークを構成することが可能であり、それによってネットワークを集約してシステムのトータル・コストを削減することができます。このお客様では、それらによって投資対効果を飛躍的に改善されました」(松崎氏)


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ハードとソフトの最適化で従来基盤の性能を大きく凌駕

 これらの事例で共通に採用されているEngineered Systemsの1つがOracle Exalogicである。これは極めて高いパフォーマンスを誇るアプリケーション実行基盤だが、その速さの秘密を松崎氏は次のように説明する。

 「Oracle Exalogicは、Infinibandを採用しているだけでなく、OSや仮想化レイヤ(Oracle VM)、Oracle WebLogic Server、Oracle Coherenceといったソフトウェアがハードウェアに最適化されていることも重要なポイントです。これにより、ハードウェアとソフトウェアをベスト・オブ・ブリードで組み合わせた場合と比べて数倍の性能を実現しているのです。これも、他社のシステム基盤製品にはない大きな強みだと言えます」(松崎氏)


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 なお、Oracle Exalogic上のOracle WebLogic Serverには、実際に使用しているCPUコア数分だけのライセンス料金を支払うライセンス・モデル「Trusted Partition」が適用される。例えば、インテル系CPUが32コア搭載されているモデルの場合、通常ならば0.5の係数を乗じた16プロセッサ・ライセンスが必要となるが、実際に使用しているのが12コアであれば、わずか6コア分(12コア×0.5)のライセンス費用で済むわけだ。Oracle Exalogicの導入を考える際には、ぜひ併せて活用したいライセンス・モデルである。


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 松崎氏は最後に、Oracle Exalogicの活用、およびOracle MAAによる高可用性システムの構築に関して、TISが多くのノウハウを蓄積していることを紹介して講演を終えた。

 TISはオラクルと約20年間にわたって協業を続けており、システム基盤からアプリケーションのレイヤまで、全ての領域でソリューションの導入と活用を支援する体制を整えている。Oracle Exalogicをはじめとする最新ソリューションを取り揃えた検証環境も構えており、そこでPoC(Proof of Concept:導入前実機検証)を実施して自社システムにおける導入効果を確認し、そのうえで本格的なプロジェクトに着手するといったことも可能だ。オラクル製品の導入効果を最大化したいという企業にとって頼もしいパートナーとなるだろう。


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 以上、ここではTISと日本オラクルの共催によるセミナー「今後の金融・カード業界に求められるシステム基盤と可能性」の要旨を紹介した。今日、金融業界が直面している「スピード開発と高可用性の両立」という課題は、いずれ他の業界でもIT施策の重要テーマとして浮上するはずだ。これに対応可能なシステム基盤と開発手法の検討は、全てのIT部門が今すぐに着手すべき課題だと言えよう。

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