オンプレミスと遜色なしのスケーラビリティ! Oracle Java Cloud Serviceの実力をPSソリューションズが検証

Oracle Java & Developers編集部
2016-01-12 11:00:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

企業がクラウドに期待するメリットの1つは、柔軟な「スケーラビリティ」だ。Oracle WebLogic Serverのクラウド版「Oracle Java Cloud Service」は、期待に応えるスケーラビリティを備えているのか? ソフトバンク・グループのPSソリューションズが検証を行った。

ミッション・クリティカル・システム基盤としてのOracle Cloud Platformの実力を検証

 オラクルが国内でも本格提供を開始したパブリック・クラウド・サービス「Oracle Cloud Platform」は、「ミッション・クリティカルな用途にも堪えるPaaS(Platform as a Service)」をコンセプトの1つにしており、リリース以来、サービス/機能の拡充が続けられている。

 オンプレミスの領域において、Oracle WebLogic ServerはOracle Databaseなどとともに、ミッション・クリティカルな企業システムを支える主要なミドルウェアとして広く利用されている。オラクルはOracle Cloud Platform上でも同等の環境を提供することを目指しており、その実現に必要な機能の実装を急ぐととともに、ミッション・クリティカル・システムの構築/運用実績が豊富なパートナー企業による検証作業を支援している。

 その1社として取り組みを進めているのが、ソフトバンク・グループでITソリューションを手掛けるPSソリューションズだ。2010年9月に設立された同社は、「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンク・グループの理念に基づき、「ITソリューション事業」、「ITアウトソーシング事業」、「海外マーケティング事業」など幅広く事業を手掛ける。

 このうちITソリューション分野に関しては、ソフトバンク・グループ各社が利用するミッション・クリティカル・システムの構築/運用に数多くかかわってきた。オラクルの認定技術者制度である「ORACLE MASTER Platinum」の取得者も10名を抱え、オラクル製品/技術の活用実績も豊富だ。


PSソリューションズ エンタープライズ事業本部 エンタープライズ事業推進部 部長/チーフテクニカルエンジニアの飯泉卓也氏

 今回、Oracle Cloud Platformの検証に取り組んだ背景と検証のポイントについて、PSソリューションズ エンタープライズ事業本部 エンタープライズ事業推進部 部長の飯泉卓也氏は次のように説明する。

 「当社は、オラクル製品を用いたソリューション・ビジネス、とりわけミッション・クリティカル分野に大きな強みを持ちます。Oracle Cloud Platformは、オラクルが自ら提供するPaaSであることから、同分野で求められる性能や可用性、セキュリティ、運用管理性の面で大きく期待できると考え、検証の実施を決めました。

 私たちが、これまでオンプレミスのソリューションを手掛ける中で感じていた課題の1つは、サーバ環境の構築やソフトウェアのセットアップといった作業に手間と時間がかかり、利用開始までに長い期間を要することでした。この期間を大幅に短縮できることがクラウドの利点であり、今回はそうした点も十分に検証したいと考えました」(飯泉氏)

 PSソリューションズが検証を実施したのは、オンプレミスで利用実績のあるOracle WebLogic ServerのPaaS「Oracle Java Cloud Service」と、Oracle DatabaseのPaaS「Oracle Database Cloud Service」である。これらのサービスについて、導入スピードも含めた使い勝手と、オンプレミスと比較したスケーラビリティや性能を確認しようというわけだ。

 今回、同社が検証に用いたシステム構成は次のようになる。


※クリックすると拡大画像が見られます

 図にあるとおり、Oracle Java Cloud Serviceについては主にスケーラビリティを検証し、Oracle Database Cloud ServiceについてはオンプレミスのOracle Databaseとの性能を比較した。以下、それぞれの検証内容を説明する。

Oracle Java Cloud Serviceはスムーズにスケールアウト&スケールイン。調達期間は数カ月から数十分程度にまで短縮

 まずOracle Java Cloud Serviceに対する検証作業は、Oracle WebLogic Serverとロード・バランサ(Oracle Traffic Director)を使い、無償のクラウド版チーム開発環境「Oracle Developer Cloud Service」上の負荷ツールでワークロードを発生させることによって行った。具体的には、「ユーザー側でOracle WebLogic Serverのノード数を柔軟に増減(スケールアウト/スケールイン)できるか」、それに合わせて「ロード・バランサが正しく動作し、各ノードに均等に負荷が分散されているか」を検証している。


※クリックすると拡大画像が見られます

 全体の負荷量は変えずに、Oracle Java Cloud Service上でOracle WebLogic Serverのノード数を変化させた場合の1ノード当たりのCPU使用率を調査した結果は、次のようになる。


※クリックすると拡大画像が見られます

※クリックすると拡大画像が見られます

 このうち、1つ目のグラフはノード数を順に増やした場合(スケールアウト)、2つ目のグラフはノード数を減らした場合(スケールイン)の推移だ。これらの結果からわかるように、スケールアウトの場合、ノード数が倍になると1ノード当たりのCPU使用率は約2分の1に、4倍になると約4分の1にといった具合に正常に負荷が分散されていることがわかる。スケールインについても同様の結果が得られた。なお、検証に際しては連続的に負荷をかけ続けながら、Oracle Java Cloud Serviceの管理画面を用いてダイナミックにノードの増減を行っている。


PSソリューションズ エンタープライズ事業本部 エンタープライズ事業推進部の福田隆弘氏

 この検証作業を行ったPSソリューションズ エンタープライズ事業推進部の福田隆弘氏は、「検証時には、Javaのヒープ使用率なども確認しましたが、特に問題は生じていません。ノードの増加/減少の際にエラーが起きるといったこともありませんでした」と振り返る。

 また福田氏は、クラウドならではの手軽さにも、大きな魅力を感じたようだ。

 一般に、オンプレミス環境でアプリケーション実行基盤を用意するには、物理サーバの調達に始まり、ロード・バランサのキャパシティの確認、ネットワーク・スイッチの物理ポートの確保、既存ノードの設定変更、追加ノードの構築(OSやOracle WebLogic Serverのインストール、設定、ライセンス購入)、ネットワーク設定の変更など、非常に多くの作業が必要となる。そのため、オンプレミスでは導入を決定した後、実際の環境を整えるまでに長い期間がかかってしまう。

 「それに対して、Oracle Java Cloud Serviceでは管理画面上のボタンをクリックするだけで環境調達が完了します。特にライセンス購入やソフトウェアのセットアップ、ネットワークの設定変更といった作業が自動的に済んでしまう点は、調達に要する時間の短縮に大きく貢献すると感じました」(福田氏)

 福田氏の試算によれば、サーバ調達の期間まで含めて考慮すると、オンプレミスの場合に数週間から数カ月を要していた導入期間を、わずか数十分程度にまで短縮できる見込みだという。

 また、Oracle WebLogic Serverの管理画面などもオンプレミスと大きく変わらないため、「クラウドであることを特に意識することなく使えました」と話す。

 「今回、Oracle Java Cloud Serviceのスケールアウト/スケールインの性能を検証し、ネットワーク周辺の自動的な設定変更が非常にスムーズに行われたことに強く感心しました。同じクラウドでも、一般的なIaaSを使った場合、ネットワークの設定変更やOracle WebLogic Serverのセットアップなどをユーザー側で考えて作業する必要があり、そこで多くの手間と時間がかかってしまいます。それらが自動的に行われ、なおかつライセンス購入などの事務手続きが不要である点は、Oracle Cloud Platformならではのメリットだと言えるのではないでしょうか」(福田氏)