JavaOne 2014で見えたJavaの現在、そして未来──Javaエバンジェリストの寺田佳央が総括

Oracle Java & Developers編集部
2014-11-21 16:00:00
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Java EE──開発生産性のさらなる向上、Web開発機能の強化、クラウド対応を軸に発展

 続いてJava EEですが、こちらも引き続き世界中で活発なコミュニティ活動が繰り広げられています。最新版のJava EE 7は昨年7月にリリースされましたが、その詳細は本サイトの記事でも度々紹介したとおりです。Java EE 7は次の6つを重視して開発されました。

  • 開発生産性の向上
  • HTML5への対応
  • 企業ニーズへの対応
  • スケーラビリティの向上
  • コミュニティ・ドリブン
  • 業界標準への準拠

Java EE 8は2016年秋のリリースを目指して仕様策定がスタート

 Java EEの今後の計画ですが、業界のトレンドを注意深く観察し、市場のニーズに合ったものを取り入れるべく検討が続いています。世界中のJava開発者にアンケートを取り、皆さんが求めている機能は何かを調べるといったことも行いました。その結果も踏まえ、JavaOneの直前に承認されたJava EE 8の仕様案(JSR 366)では、次のような新機能が予定されています。

●HTML5への対応:Web層に対する機能強化として、JSONバインディングやJSONプロセッシング、Server Side Event、アクション・ベースの新たなMVCモデルの導入、HTTP 2.0のサポートなどが検討されている

●開発容易性のさらなる向上:開発容易性(Ease of Development)をさらに高めるために、セキュリティ・インターセプタ、CDI(Contexts and Dependency Injection)を使ったメッセージング、JAX-RSのインジェクションの整備、WebSocketへのスコープの導入などが検討されている

●クラウド・インフラとしての機能強化:クラウドの稼働インフラとしての機能を強化すべく、Java EEコンテナに対する運用管理用RESTインタフェースの提供などが検討されている

 このほか、セキュリティ強化のために、アノテーションをベースにした認証/認可のための新たなフレームワークの導入が計画されています。

 Java EE 8の開発は、まさに今始まったところです。JavaOne 2014では、「日本Javaユーザーグループ(JJUG)」が「Adopt a JSR」に参加することが発表されました。Adopt a JSRとは、各国のJUGが仕様策定チームに対して要望やフィードバックを届けるためのプログラムです。Java EEに自分たちのニーズを反映し、よりよいものにしていくために、ぜひ日本の皆さんもJJUGを通してJava EE 8の開発に参加してください。

Java EEのリリース・ロードマップ

 Java EE 8のロードマップですが、JSRは承認されたので、今後はドラフトを策定して何段階かのレビューを経て、最終的には2016年秋頃のリリースを目指しています。同じタイミングでReference ImplementationであるGlassFish 5のリリースも予定されています。


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Java Embedded──組み込みJavaの現在とこれから

 Java Embeddedに関しては、昨年のJavaOneでIoTというテーマを大きく取り上げましたが、この1年間でIoTに関して多くの実績が生まれました。SDKは50万回以上ダウンロードされ、各種デバイスへのポーティングが進みました。他分野で培ったJavaのノウハウを容易に生かせる仕組みを作るために、組み込みデバイス・メーカーなども巻き込んでJava Embeddedを核にしたコラボレーションが業界全体に拡大しています。オラクルが提供しているオンラインの学習サイトについても、83カ国から2400名以上が登録し、Java Embeddedについて学んでいるそうです。


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 JavaOne 2014では、Java Embeddedに関して次のような発表がありました。

【JavaOne 2014開催に合わせた新製品のリリース】

●Oracle Java ME Embedded 8:Java SEのAPIが完全にサブセット化され、最小128MBのメモリで動作する組み込み用Javaプラットフォーム。モバイル系のAPIをサポートし、ネットワーク処理との高い親和性を備える。開発環境やエミュレータ上でネットワーク・メモリをモニタリングするツールが無償で利用可能

●Oracle Java ME Embedded 8.1 EA:ARM Cortex M3/M4のサポート、Freescale FRDM-K64/mbed(Arduino互換)対応のデベロッパー・プレビュー版、Raspberry Pi向けバイナリの改善などが含まれるJava Embedded最新バージョンの早期試用版

iOS、AndroidでJava SE 8を!──コミュニティも加わり対応プラットフォームを拡充

 また、JavaOne 2014では、「Javaとモバイルのイノベーション」というテーマで、次の4つの取り組みが発表されています。

  • Oracle Mobile Application Framework(MAF)
  • RoboVM
  • Java Card
  • Java for Trusted Execution Environments

 このうち、Oracle MAFはオラクル製品として提供されるもので、Javaで開発したアプリケーションをiOS、Androidデバイス上で動かせるようにする技術です。モバイル・アプリケーションの実装にはOracle Application Development Framework、CSS、JavaScriptなどを使うので、Java開発者はこれまでに培ったノウハウを基に、iOS向け、Android向けのアプリケーションを作れるわけです。デバイス固有の機能はApache Cordovaを介して使用します。

 一方、コミュニティ側でも、類似したコンセプトの製品としてiOS上でJavaFXアプリケーションを動かすための技術「RoboVM」と、Android上で動かすための技術「Lodgon」が提供されています。いずれも、アプリケーションを開発するための環境を実行環境も含めて提供します。JavaOne 2014では、RoboVMとLodgonのコミュニティが協力し、Java SE 8、JavaFX 8によるアプリケーション開発に対応していくことが発表されました。今後は、iOS、Androidの環境でも、Java SE 8のラムダ式などが使えるようになるのです。

Java Embeddedのリリース・ロードマップ

 Java EmbeddedはJava SEと言語仕様/APIレベルでの統合化が進められており、次のバージョンは基本的にJava SE 9と同じタイミング、つまり2016年後半のリリースが予定されています。


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 以上、ここではJavaOne 2014の基調講演で発表された内容を中心に、Javaの最新動向を紹介しました。JavaOneは開発者向けのイベントとしては世界最大の規模を誇り、1995年から19年間も連続して開催されているという点でも、ITの世界では特別なイベントです。開発者から経営者まで、また初級者から熟練者まで、さまざまな立場の方が、いろいろな目的で参加し、多様な情報を吸収できる場として発展してきました。単に情報を入手するだけでなく、Javaの仕様策定をリードするオラクルの技術者や経営幹部、さらにはJavaコミュニティのリーダーたちと直接会い、意見交換ができる場所です。ぜひ来年も日本から沢山の方にお越しいただければと思います。

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