IoT時代の主役に! コミュニティとともに、Javaの進化はさらに続く──Java Day Tokyo 2014基調講演レポート

Oracle Java & Developers編集部
2014-06-04 17:20:00
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コミュニティの声も反映して機能強化が続くJava EE。クラウド対応のJava EE 8は2016年にリリース予定

米国オラクル プロダクトデベロップメント担当シニアバイスプレジデントのキャメロン・パーディ氏
米国オラクル プロダクトデベロップメント担当シニアバイスプレジデントのキャメロン・パーディ氏

 ラマーニ氏に続いては、米国オラクル プロダクトデベロップメント担当シニアバイスプレジデントのキャメロン・パーディ氏が登壇し、エンタープライズ・システム向けの標準Java仕様であるJava EEの現状と今度について語った。

 Java EEの最新バージョンは、2013年7月リリースされたJava EE 7だ。パーディ氏によれば、同バージョンで大きく改善されたポイントは、「開発生産性の向上」、「HTML5への対応」、「エンタープライズ・ニーズへの対応」の3点である。

 Java EEは当初、企業システムの開発技術に求められる機能の拡充に力点が置かれたが、その結果として仕様の肥大化が進んだ。そこでJava EE 5以降では、スリム化、シンプル化が図られるとともに、最新の開発技術を積極的に取り込むことで、より開発生産性の高いフレームワークへと生まれ変わった。

 Java EE 7では、HTML5への対応というかたちでWebアプリケーションに対するエンタープライズ開発者のニーズに応えるとともに、生産性も向上。そして2016年第3四半期のリリースが予定されているJava EE 8では、コミュニティの意見を取り入れながら、Web開発機能の強化や生産性向上といった方向性を一層推し進めるとともに、マルチテナンシーなどクラウド対応を実現すべく仕様策定が進められているという。


 「Java EEは、Javaコミュニティの声やユーザーからのフィードバックに応えながら、さらに進化していきます。一方で、Java EE 7や、それに準拠したGlassFish 4.0などの実装は、すぐにダウンロードして現場で使える状態にあります。ぜひそれらを利用して最新のJava EEのメリットを享受するとともに、今後Java EEをより良くしていくためにフィードバックをお寄せください」(パーディ氏)

ロボットに手作りタブレット、そしてチェス・ロボット──どこでも動くJavaが、あらゆるデバイスを動かす

米国オラクル Javaテクノロジーアンバサダー、JavaOneコンテンツ・チェアのスティーブン・チン氏
米国オラクル Javaテクノロジーアンバサダー、JavaOneコンテンツ・チェアのスティーブン・チン氏
セグウェイのように自立走行するデューク・ロボット。レゴ マインドストーム EV3に 組み込まれたLeJOS上のJavaプログラムで制御されている
セグウェイのように自立走行するデューク・ロボット。レゴ マインドストーム EV3に 組み込まれたLeJOS上のJavaプログラムで制御されている

 基調講演はさらに続く。パーディ氏の次に登壇したのは、米国オラクルのJavaテクノロジーアンバサダーであり、JavaOneのコンテンツ・チェアも務めるスティーブン・チン氏だ。氏は昨年、米国サンフランシスコで開催されたJavaOne 2013でも大きな話題となった、Java 8 Embeddedを利用したテクノロジー・デモンストレーションをいくつか披露した。

 最初に登場したのは、ブロック玩具の「レゴ」で組み立てられたデューク(Javaのマスコット・キャラクター)のロボットである。ロボットの心臓部に当たるのは、教育向けに販売されている「レゴ マインドストーム EV3」のインテリジェント・ブロックだ。CPU(ARM9/300MHz)にメモリ、ADコンバータ、モーター、センサー向けのポート、USBポート、無線通信機能などを備えたこのブロックには「LeJOS」と呼ばれるJava実行環境が組み込まれており、Javaで書いたプログラムを実行することができる。

 デューク・ロボットでは、ジャイロ・スコープを含むセンサー類、足に見立てた2つの車輪を動かすためのモーター、無線通信機能が使われている。ネットワーク経由で起動すると、ちょうど「セグウェイ」のように前後にバランスを取りながら静止したり、障害物を避けて移動したりといった動作を行う。これらの動作を制御するプログラムはJavaで書かれているという。

DukePadを紹介するチン氏。Java SE、Java FXで動作するJavaタブレットだ
DukePadを紹介するチン氏。Java SE、Java FXで動作するJavaタブレットだ

 次に紹介されたのは、Java SEによるタブレット・デバイス「DukePad」だ。デバイスそのものは「少し大きな透明の弁当箱」といった印象だが、驚くべきは、これがRaspberry Piをベースにして、ホームファクタの設計からすべて手作りで制作されたタブレットであるということだ。ユーザー・インタフェース部を含むアプリケーションはJava SEやJava FXを使って実現されており、メディア・プレーヤーや3Dチェスなどのソフトウェアが動作する。もちろん、操作はディスプレイのタッチで行える。

昨年のJavaOneでも話題をさらったChess Robot。 DukePad上の3Dチェス・ゲームの対戦内容をリアルな盤上で再現する
昨年のJavaOneでも話題をさらったChess Robot。 DukePad上の3Dチェス・ゲームの対戦内容をリアルな盤上で再現する

 最後のデモは「Chess Robot」である。これは物理的なチェス盤上でロボットアームを使って駒移動を行うというもの。先ほどのDukePad上の3Dチェス・ゲームで駒を動かすと、実際の盤上でロボットアームが駒の配置を再現してみせる。盤上の駒をつまみ上げ、移動先へと運び、そこに敵の駒があれば取り除いたうえで入れ替えるといった複雑な動作を行う。これらの動きの制御はJava ME Embeddedによるプログラムで行っているという。

 サーバやPCクライアントだけでなく、産業機械や家電製品、携帯電話やポータブル機器、ターミナルなど、あらゆるデバイスで利用できる汎用性は、1995年のJava誕生当初から一貫して守られてきた最重要のコンセプトだ。今回チン氏が披露したデモは、IoTの時代を迎え、Javaの当初のコンセプトが再び高く評価される時が来たことを強く感じさせた。

Javaの革新の原動力はコミュニティ

日本Javaユーザーグループ(JJUG)会長の鈴木雄介氏
日本Javaユーザーグループ(JJUG)会長の鈴木雄介氏

 今回のJava Day Tokyoでも、Javaが今後も開発者のニーズに最適なかたちで進化し続けていくための核心的な要素として「コミュニティ」の重要性が繰り返し強調された。基調講演には、日本Javaユーザーグループ(JJUG)の会長を務める鈴木雄介氏も登壇し、最近のJJUGの活動状況を報告した。

 2014年5月現在、JJUGの会員数は2290名に上る。5月18日には勉強会イベントとして「JJUG CCC 2014 Spring」を開催し、367名の参加を得たという。また、毎月第4水曜日の19時からは定例の「ナイトセミナー」を開催しており、毎回、Javaに関連したさまざまな技術やツールに関するテーマを設け、多くの参加者で賑わっているという。

 JJUGではそのほか、"女性Javaエンジニア限定"の勉強会の開催、地方への講師派遣、オラクルとの協業によるイベント運営など、日本におけるJavaコミュニティの活性化と技術向上を目指した活動を精力的に続けている。鈴木氏は、JJUGに関する情報収集の手段として「メーリング・リスト」、「Webサイト」「Twitter」、「Facebook」などのチャネルが用意されていることを紹介し、より多くのJava開発者や関連企業の参加を呼びかけた。

 「Javaは、単なる"無料で使えるプラットフォーム"ではなく、そこにエコシステムが存在しているところがユニークな点です。開発者は、与えられたプラットフォームを使うことだけで満足するのではなく、ぜひ積極的にコミュニティに参加しましょう。まだJJUGに参加していない方は、メーリング・リストの購読から始めて、イベントにも遊びに来てください。すでに参加している方は、JJUGのセミナーで講演したり、幹事会に参加したりするなど、活動のレベルをステップアップしましょう。さらに、Javaにかかわるビジネスを行っている企業は、コミュニティへの支援を、Java開発者へのアピールの機会として利用してください」(鈴木氏)

 以上、ここでは5月22日に開催されたJava Day Tokyo 2014の基調講演の要旨を紹介した。IoT時代を支えるテクノロジーとして、仕様やAPIの整備も進めながら、Java開発者の活躍の場をさらに広げるべく発展を続けるJava。Java SE 8では長年の懸案であったラムダ式も導入され、開発言語としてもさらに使いやすくなった。読者もぜひ、Java SE、Java EE、Java MEの最新バージョンを活用し、そのメリットを開発現場やビジネスで生かしていただきたい。

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