Oracle OpenWorld 2012で見えた、WebLogic Server進化の3つのポイント

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2013-07-26 11:20:00
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クラウドのバックエンドとしてWebLogic Serverが果たす役割


日本オラクルFusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部製品戦略部担当シニアマネジャーの新井庸介氏

 新井氏によれば、今回のOpenWorldで見えてきたWebLogic Serverの今後を方向付けるキーワードは、「クラウド」、「モバイル(HTML5)」、「Oracle Databaseとのさらなる統合」の3点である。それぞれのキーワードについて詳細を見ていこう。

 OpenWorld 2012では、米国オラクルCEOのラリー・エリソン氏が、同社のクラウド・サービス「Oracle Cloud」について、昨年来のSaaS、PaaSに加えてIaaSのサービスも提供すると発表した。

 オラクルが提供するクラウド関連の製品/サービスのポートフォリオにおいて、アプリケーション実行基盤としてのWebLogic Serverが重要な役割を果たすことは、これまでも繰り返し強調されてきた。企業がプライベート・クラウドを構築する際に核となるワンボックスのソリューション「Oracle Exalogic Elastic Cloud」に中核ミドルウェアとして搭載されているのに加えて、オラクル自身が提供するクラウド・サービスの基盤としても重要な役割を果たしている。

 新井氏は、「企業がプライベート・クラウドやパブリック・クラウドの活用を進めていくにあたって、運用管理をより合理的に行うための機能が、WebLogic ServerとOracle Enterprise Managerを通じて提供されていく方向にある」と説明する。

 「クラウド運用管理の合理化」には、クラウドの一般ユーザー、クラウド・システムの管理者、ネットワークやインフラの管理者といったクラウドへのかかわり方(ロール)に応じて必要な機能を、扱いやすいユーザー・インタフェースで提供していくというアプローチが含まれる。

 例えば、プライベート・クラウド上のリソースを必要に応じて利用したい一般ユーザー向けには、セルフサービスによる環境構築のための機能が用意される。構築したい環境がJava EE開発環境なのか、本番運用のためのアプリケーション・サーバなのか、Oracle E-Business Suiteのようなアプリケーション・サービスなどかといったニーズに応じて、必要な仮想マシン、ミドルウェア、アプリケーション、データベースを容易に選択できるテンプレートも用意される。

 同様に、クラウド環境の管理を担うアドミニストレーター向けにはリソース・プールの管理ツールが、またネットワークなど、よりインフラに近い部分を担当する管理向けには、利用しているネットワーク帯域をはじめとするインフラ管理のための環境が用意される。

 「WebLogic ServerやOracle Enterprise Managerをパッケージ化したExalogicは、これまでハイパフォーマンスなシステムやシステム・コンソリデーションを推進するためのプラットフォームを求める企業で採用されるケースが多かった。そうした用途に加えて、今後は企業が展開するクラウドの基盤としても積極的に提案していける機能を備えていることが、今回のOpenWorldで改めて示された。Exalogic上には、クラウドの構築で必要となる機能や、構築/運用を効率化するさまざまな機能が整備されつつあり、これまでWebLogic Serverを使ってきた企業にも安心して使っていただけるクラウド基盤に仕上がっている」(新井氏)

 なお、日本での提供時期は未定だが、OpenWorld 2012では、Java開発者向けの「Oracle Developer Cloud Service」も発表された。これは、ソース・コード管理ツール、構成管理ツール、コラボレーション・ツール、テスト・ツールなど、開発作業に必要な各種ツールをオラクルがパブリック・クラウド・サービスとして提供するものだ。このサービスの登場により、Java開発者は開発作業からテスト、実運用までのすべてのライフサイクルをクラウド上で完結させられるようになる。もちろん、この環境の中でも、クラウド対応が進むWebLogic Serverが中心的な役割を果たすことになる。

WebSockets、SSEへの対応を次期Java EEに先行して実現?

エンタープライズJava開発の標準仕様であるJava EEは現在、次期バージョンであるJava EE 7の仕様策定作業が佳境に入りつつある。バージョン7以降のJava EEでは、クラウド対応に加えて、モバイル・アプリケーション開発への対応に力が入れられており、その実現にあたって重要な要素技術として「HTML5」と、その周辺技術への対応が強化される見込みだ。

 その方針に合わせて、Java EEへの完全準拠をモットーとするWebLogic Serverでは、次期バージョンの12.1.2において、Java EE 7での対応が予想されるWebアプリケーション向けの通信プロトコル「WebSockets」や、HTTPベースのイベント通知技術「Server Sent Events(SSE)」などを先行して実装する方針で開発が進められていることがOpenWorld 2012で明らかにされた。WebSocketsやSSEへの対応により、大量のクライアントからのアクセスがあるWebアプリケーションにおいて、通信帯域幅の削減やサーバ負荷の軽減による性能向上やアプリケーションのユーザビリティの向上が実現される。

 なお、WebLogic Serverの次期バージョンは2013年前半のリリースが予定されており、Java EE 7と前後して登場してくる見込みだ。オラクルは、Javaの標準化動向を常にキャッチアップしながら、標準仕様と整合性のとれたかたちでWebLogic Serverの新機能を実装することを目指しているという。

 また、WebLogic Serverとデータベース間の通信に関しては「Oracle TopLink DataService」が用意される。この機能を使うと、データベースの変更内容をXMLやJSONなどの形式で通知することができる。サーバ側のJava開発に詳しくないクライアント・アプリケーション開発者でも、データベースと密接に連携したアプリケーションの開発を、コンフィギュレーション・ベースで従来よりも容易に行えることを目指すという。

Oracle Databaseとの統合はさらに緊密に

 WebLogic Serverを他のアプリケーション・サーバから大きく際立たせている特徴の1つが、Oracle Databaseとの緊密な連携である。もちろん、OpenWorld 2012で言及された次期版Oracle Databaseへの対応も、今後進められていくことになる。

 WebLogic Serverでは、「Oracle Real Application Clusters(RAC)」環境での可用性や管理性、パフォーマンスを最大限に高めるための機能として「Active GridLink for RAC」を提供している。この機能では、単なるラウンドロビンではなく、ノードの利用状況に応じて負荷分散を行ったり、キャッシュ・フュージョンを抑制したり、Oracle RACからの障害通知を検知してリクエスト・タイムアウトが発生しないよう、アクセスするノードを制御したりといった具合に、Oracle RACとの高度な連携を実現する。

 OpenWorld 2012では、このActive GridLink for RACのさらなる機能強化の方針も明らかにされた。これらは、現時点で「Application Continuity」といった名称で呼ばれている。

 「例えば、アプリケーション・サーバがリクエストを投げた先のOracle RAC環境でノード障害などが発生していたとする。この場合、通常はアプリケーション側にエラーが返され、再度リクエストを投げることになるが、Application Continuityを使うと、JDBCドライバのレイヤでエラーをキャッチし、正常稼働しているOracle RACノードに対して自動的にリクエストを投げて値を取得するといったことが可能になる。現在、Oracle Coherenceが似たような仕組みを提供しているが、こうした機能をアプリケーション・サーバに実装するのは初の試みだ」(新井氏)

 このような機能強化は、「ミッション・クリティカルなエンタープライズJavaプラットフォーム」というWebLogic Serverの価値をさらに高めるものになる。

 一方、前出の「クラウド」、「モバイル」に対する新たな取り組みは、よりライトウェイトな開発/運用環境を望む開発者のニーズに対して、WebLogic Serverが積極的に対応していく姿勢を示すものと言えるだろう。

 「ミッション・クリティカルなエンタープライズ・システムにおいて、すでにJava EEは必須の技術となっている。OpenWorld 2012で明らかにされたWebLogic Serverの進化の方向性は、そうした分野で求められている機能の拡充を加速すると同時に、よりライトウェイトな環境を求めるニーズに向けてJava EEが新たに提供しようとしている機能についても、WebLogic Serverが積極的にサポートすることを示している。この進化により、Java EEの適用領域がさらに広まり、Java EEが企業にもたらす価値はより高まっていくと期待している」(新井氏)

 エンタープライズ・システムのプラットフォームとして、その適用領域をさらに広げようとしているJava EE。今後もWebLogic Serverが、その進化の方向性をいち早く具体的に示していくことになるだろう。