Metro UIへのFlash配信方法も模索を続ける--アドビ

柴田克己
2011-09-28 16:54:00
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 アドビシステムズが、Flash Platformの新たなランタイム環境「Flash Player 11」および「AIR 3」を説明した。両製品は、いずれも10月初旬の公開が予定されている。HTML5への注目が高まるなか、Flash不要論を叫ぶ声に対して明確に反対する姿勢も打ち出した。

 説明会は米国とのボイスミーティング形式で行われ、米Adobe Systems デジタルイメージングプロダクトマーケティングディレクターのAnup Murarka氏が、開発コンセプトの説明と日本からの質問への回答を行った。

 Flash Playerのメジャーリリースは約2年ぶりとなる。「10をベースにしたマイナーアップデートは、FlashをBlackBerryやAndroidといった新たなOSに対応させることを目標としてきた。今回リリースされる新バージョンは、新たな機能を開発者に提供するものだ」(Murarka氏)という。

 Murarka氏は、Flash Platformの進化の方向性に影響を与えた要因として、コンテンツの作成、管理、モバイル対応、収益化というコンテンツ開発のワークフロー全体に、アドビがこれまで以上に深く関わるようになっている点を指摘。新機能の実装にあたっては、「モバイル環境でのアプリ利用の拡大と期待度の高まり」「ゲームアプリケーションにおける高品質へのニーズ」「ビデオ品質向上へのニーズ」などへの対応を図ったとする。

 既報のとおり(関連記事:アドビ、「Flash Player 11」と「AIR 3」を発表)、これらのランタイムには、「グラフィック機能の強化」「ネイティブ拡張」「HDビデオ対応、コンテンツ保護の強化」「セキュリティの強化」といった新機能が含まれている。

 新機能のひとつであるネイティブ拡張とは、磁気センサ、光センサ、バイブレーション制御、デュアルスクリーンなど、新たに発売されるデバイスに実装される最新のハードウェアや機能を、Flash開発者がActionScriptから利用できるようにするもの。これにより、最新ハードの機能を生かしたアプリケーションの開発が独自に可能になるという。

 Murarka氏は、開発者がFlash Platformを利用するメリットとして「デスクトップ、スマートフォン、タブレット、テレビといった、あらゆるクライアント環境にアプリケーションを配信できる」点を改めて強調。スマートフォン向けのトピックとして、グリーがアドビとの協力のもと「Adobe AIR 3.0 Plugin for GREE SDK」を提供することを発表したことに触れ、Flash開発者がこれまでの資産を使ってビジネス機会の拡大している市場へ容易に進出できる点をアピールした。

各プラットフォーム向けに配信されているAIRで開発されたアプリケーションの例(一部)※クリックで拡大画像を表示
各プラットフォーム向けに配信されているAIRで開発されたアプリケーションの例(一部)※クリックで拡大画像を表示

「FlashがHTMLに置き換えられることはない」

 一方で、ここ数年のトピックとして多く取り上げられる「HTMLの進化によるFlash不要論」に対し、Murarka氏は明確に「ノー」を表明する。

 「Flashテクノロジは、これまでもウェブでの最先端の体験をけん引してきた。HTMLは確かに大きく進化しているが、同様にFlashも進化を続けている。Flashは、ゲーム、メディア、データ駆動型アプリケーション構築の最善の手段であることを、これからも維持していく」(Murarka氏)

 直近では、MicrosoftがWindows 8のMetro UIで動作する「Internet Explorer 10」(IE 10)においてプラグイン機能を廃止することが明らかになり、これによりFlash PlayerもMetro UI上では動作しないことが話題となった。これについて、Murarka氏は「Metro UIのIE上で現状のFlash Playerプラグインが利用できないのは確か。しかし、通常のデスクトップ環境ではFlashは引き続きサポートされる。Windows 8でもデスクトップ環境は引き続き使われていくと考えている。また、Metro UIへのFlashコンテンツ配信についても、Microsoftと共同で最善の方法を模索していきたい」とした。

 例えば、Flash Playerが利用できないiOSデバイスに対して、アドビはFlashコンテンツを配信するためのいくつかの方策を提供している。動画については最新の「Flash Media Server 4.5」でフォーマット変換による配信を可能にしている。

 また、アプリケーションについては、AIRのランタイムをアプリケーションと一緒にパッケージ化することで配布可能にしており、現在のApp StoreではAIRを使って開発された多数のアプリケーションを実際に入手できるようになっている。今回のAIR 3では、これまでiOS向けに用意されていたこの「キャプティブランタイム」の機能をAndroid、Windows、Mac OSといった他のOS向けにも拡張する。

 Murarka氏は、これらの方策を使ってWindowsのMetro UI向けにFlashコンテンツを配信可能とすることは難しくないとみているという。

「Windows 8のMetro UIにもFlashコンテンツを配信可能にすることにより、コンテンツを作りやすくする手伝いをしていきたいと考えている。開発者とユーザーのニーズにより、FlashとHTMLの両方のテクノロジは使われ続けるだろう」(Murarka氏)

アドビが考えるFlashとHTMLそれぞれのユースケース※クリックで拡大画像を表示
アドビが考えるFlashとHTMLそれぞれのユースケース※クリックで拡大画像を表示
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