LGPL対応で勢いづくQt 4.5--3年後に10倍規模のコミュニティ形成を目指す

海上忍
2009-06-25 19:05:01
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WebKitとの統合が進められたそうですが

 佐相:今度のWebKitでは、新エンジン「SquirrelFish」によりJavaScriptの高速化も行われています。NetScapeプラグイン(NPAPI)のサポートにより、FlashのコンテンツもQtアプリケーションからハンドリング可能になりました。HTML 5もサポートされ、ズームやCSSアニメーションといった機能も利用できます。

Windows CEのサポートも強化されているようですね。

 佐相:Qt 4.5では、Windows CEがフルサポートされました。前バージョンでは、Windows CE向けのみマルチメディアAPI「Phonon Multimedia Framework」と、WebKitのサポートが見送られていましたが、Qt 4.5では他のプラットフォームと同等です。先ほど話したとおり、OpenGL ES 2.0のサポートによる3D描画性能の向上も挙げられます。

Mac OS Xの対応状況について、詳しく教えてください。

 朝木:Mac OS XでQt 4.5を利用する場合、Cocoa / 64bitがサポートされます。QtのC++ベースのコードから意識することなく、Mac OS Xネイティブな64bit対応アプリを開発することが可能になりました。

 開発にはQt Creator、もしくはXcode Toolsを利用します。プロジェクトファイルはXcodeの画面から新規作成するのではなく、qmake(Qt標準のビルド支援ツール)を利用します。Windows向けには、Visual Studioからqmakeを呼び出せるアドインを提供していますが、Mac OS X / Xcode向けには現在のところ未提供です。

新たに投入された「Qt Creator」の位置付けは?

 佐相:Qt Creatorは、先進的な機能を備えたクロスプラットフォーム対応のC++向けコードエディタです。プロジェクトとビルドの管理ツールとしての機能にくわえ、フォームのデザイン機能やヘルプシステムを備えつつ、軽い動作を実現しています。

 ただし、現状では他の開発ツールを補完する実験的な製品であり、たとえばVisual Studioなどとの競合はないと考えています。

ライセンスの変更(LGPLの採用)に対する反応はいかがでしょう?

 佐相:Qt 4.5では、ライセンスが「商用」と「GPL」、そして新たに加えられた「LGPL」の3本立てになりました。技術サポートは商用ライセンス向け限定となり、今後は切り離したうえで有償にて提供することになります。ライセンス収入は減りますが、Qtのプレゼンスとユーザ数は増すはずです。

 業界の反応ですが、概ね好意的に受けとめていただけているようです。これまではロイヤリティが発生していたため二の足を踏んでいた企業からも、すぐにでも採用したいと評価をいただいています。

 デジタル家電などの組み込み向けに、企業の直感的なUIに対する需要は増していますから、今回のQt 4.5のリリースはまさに時宜を得ていると考えています。

Qt 4.5はどの方面で利用されるでしょうか?

 佐相:我々は「Qt everywhere」を合言葉に、開発環境のクロスプラットフォーム化を提案していきます。すべてのソフトウェア開発にQtをお使いいただき、機器間に存在する垣根を取り払うお手伝いをさせていただきたい、と考えています。3年後にコミュニティを10倍の規模にすることが目標です。

 その意味で、今回ライセンスにLGPLを加えたことはチャンスと捉えています。特に、携帯電話やデジタルテレビなど家電分野での需要増に期待しています。デスクトップに比べるとまだわずかですが、米国ではNetflix(注:米国のオンライン動画配信企業)のSTBにQtが採用されるなど実績もあります。

ESEC 2009のQt Softwareブースに展示されていた「Qt for S60」(端末はNokia 5800 XpressMusic) ESEC 2009のQt Softwareブースに展示されていた「Qt for S60」(端末はNokia 5800 XpressMusic)

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