いまある材料でLionを予想(64ビット対応編)

海上忍
2010-11-16 10:48:18
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 次期Mac OS X「Lion」では、64ビット対応の総仕上げが実施される可能性が高い。数年にわたり進められてきたこのアーキテクチャ移行計画は、いよいよ最終段階を迎えるものと考えられる。

 これまでの経緯を整理してみよう。

 まず、64ビット対応のアプリケーションが現れはじめたのは、64ビットCPUのPowerPC G5を搭載した「Power Mac G5」が発売されたMac OS X 10.2(Jaguar)のとき。ただし、アプリケーションが利用できるアドレス空間は32ビットのままで、個々のプロセスが利用できるメモリ空間は4Gバイトに制限されていた。続く10.3(Panther)も、基本的な構造は同じだ。

 システムの基盤部分で64ビット対応がスタートしたのは、次の10.4(Tiger)のとき。POSIXレイヤーとMathLibなどの数値演算ライブラリが64ビット化され、仮想メモリの理論値も16エクサバイト(EB)にまで拡大された。しかし、CocoaやCarbonといった主要APIの64ビット対応は実施されず、64ビットCPUのメリットをフルに引き出せる環境ではなかった。

 そのTigerのとき、Intelアーキテクチャへの移行が開始され、MABが技術的な支えになったことは前回書いたとおり。ここで強調しておきたいのは、AppleはMABをPowerPCからIntelアーキテクチャへの移行だけでなく、32ビットから64ビットへの移行にも活用したことだ。PowerPC 32ビットとPowerPC 64ビットの2種類のバイナリを含むMABで足りるところを、PowerPC 32ビット+PowerPC 64ビット+Intel 32ビットという構成にすればいいわけだから、移行もスムーズなものだったと記憶している。

 10.5(Leopard)のときには、PowerPCのサポートは32ビットが中心となり、結果としてPowerPC 32ビット+Intel 32ビット+Intel 64ビットという構成を多く見かけるようになった。Cocoaなど主要APIの64ビット対応が進む一方、CarbonのUI部分の64ビット対応は見送られるなど、技術の選別が始まったのもこの頃だ。

 そして10.6(Snow Leopard)では、PowerPCのサポート終了に伴い、主要APIやドライバ類、標準装備のアプリケーションの多くがIntel 32ビット+Intel 64ビットの2種類のバイナリを含むMABとなった。ついにカーネルが64ビット対応となり、設定次第では完全な64ビットOSとしての起動が可能になったことも大きなポイントだ。

 ここまで読めば、64ビット対応を巡りLionに残された課題は2つあることがわかるはず。1つはデフォルトのカーネルの動作モードを64ビットとして、完全な64ビットOSとなること。LeopardからSnow Leopardが移行のモラトリアム期間と解釈すれば、ドライバの64ビット対応も心配ないと思われる。そしてもう1つが、先週も述べたPowerPCバイナリの除去。この2つがLionで見られると予想しているのだが、どうだろう?

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