
Windowsの歴史 Windows 2000 Professional編:電源管理とPnPでクライアントOSとして支持集める
Windows NT 4.0により、Windowsサーバも一定の地位を確立したが、いくつかの課題も残されていた。「Windows 2000」は、こうした課題を解決するためのOSとして登場した。
Windows NTの残した課題
Windows NT 3.1以来、毎年のようにバージョンアップが繰り返されたWindows NTだが、4.0からはバージョンアップのペースが落ちついた。前回紹介した派生品(Windowsの歴史 NT 4.0の派生品編:標準サービスの試金石となった多彩なエディション)はあったものの、基本的な部分については2000年に登場した「Windows 2000」まで、大きな変更は加えられていない。
筆者は仕事柄、多くのITプロの方と接するが、彼らの話を聞くと、Windowsサーバの導入時期はWindows NT 4.0が最も多い。それだけ急速に普及したのだろう。
しかし、Windows NTには多くの課題もあった。基本的な品質、例えばメモリリークやドライバの安定性などは、修正プログラムやサービスパックが提供されるたびに改善されてはいったが、OSの基本構造に関わる根本的な部分での強化を望む声も強かった。
クライアントとしての課題
Windows NTは、4.0でグラフィック性能が大幅に向上し、クライアント分野でもCG(コンピュータグラフィックス)など、大量のメモリとCPUパワーを使う分野で普及した。
筆者が聞いたのはAlphaプロセッサを使ったWindows NT機がCG制作現場に投入された事例だ。Alphaは現在Hewlett-Packard(HP)が所有している。さまざまな事情から新規開発は停止しているが、当時は64ビットRISCプロセッサとして広く支持されていた。特にx86の弱点である浮動小数点数演算に優れていた上、MIPSやPowerPCマシンよりも入手しやすかった。
しかし、一般的なオフィスワークでは、Alphaの高速性はあまり意味を持たない。それよりも、当時普及してきたノートPCのサポートが問題だった。Windows NTにはプラグアンドプレイが実装されておらず電源管理機能もなかった。これではデバイスを接続する度に再起動が必要になり、電池駆動時間も短い。
電源管理:APMとACPI
電源管理ができなかった理由は明確である。当時の電源管理がAPM(Advanced Power Management) BIOSに依存していたためだ。APM BIOSは名前の通りBIOSベースで処理をしているため、16ビットコードで動作する必要があった。Windows NTは16ビットコードによるハードウェアアクセスを許可していない。そのためAPMの機能を使うことができない(後述するとおり、実際には全く使えないわけではない)。
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