Windowsの歴史 Windows NT 4.0編:サーバOSとしての地位を確立しビジネスを盛り上げた立役者

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-08-17 13:55:01
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 この時は、あまりにも人数が多いので複数の教育会社が関わった。「あれはひどかった」と今でも語り草である。MCP取得の号令をかけたトップはそれなりのビジョンを持っていたのだが、途中で趣旨がすり替わったようである。筆者は、責任者の方と何度かお会いしているが、決して「資格ありき」と考えている人ではなかった。ある種のコミュニケーションミスなのだろうが、不思議なものである。

 MCP試験は現在でも実施されているが、あの頃ほど異常なブームはない。「せっかく勉強したからその成果を示すために」「知識の整理のため」という人が多い。ただし、問題の質はWindows NT 4.0時代が一番高かったように思う。特に上位試験の内容が良かった。下位レベルのMCP試験は、特定の機能の動作と実装方法が出題されるが、上位レベルでは「特定の問題に対してマイクロソフトがどのようなソリューションを提供するか」が問われる。ソリューションを実現するためには、一般的な原則から外れることも許される。筆者は問題を解きながら「そうか、この機能はこんな時にはこういう使い方をすればいいのか」と感心したことを覚えている(守秘義務があるので具体的に書けないのが残念だ)。

ユーザーコミュニティ

 Windows NTはそれまでのOSとは違う構造をしている。中心となって設計したDavid Cutlerの影響で、彼が以前担当したVMS(現在のHPが開発した独自OS)に近いという説もあるが、実際にはコンセプトが似ているだけで実装はそれほど似ていない。Unix系のOSの影響も受けているがUnixとは別物だ。OS/2とももちろん違う。Windows NTを導入した組織の担当者はずいぶん戸惑ったようだ。

 そうした中で、自然発生的にユーザーコミュニティが生まれた。例えば、Windows NT 3.5時代に誕生した「Windows NT Committee」である。NT Committeeは方針の違いにより「日本Windows NTユーザー会(JWNTUG)」と「NT Committee 2」に分離した。JWNTUGは会員数が大幅に増えたが、その分事務作業が増えたせいか、いつの間にか消滅した。一方、NT Committee 2(COM2)は現在でも勉強会活動を継続している

 COM2が主催する勉強会には誰でも参加できるが、運営を担当するコアメンバーは公募していない。ある種の閉鎖性が長続きする秘けつなのかもしれない。筆者は一般参加者としても講師としても何度か関わっているが、ちょっと変わった組織である。

 ユーザーコミュニティはWindows NT 3.5時代に生まれたが、最も活発に活動していたのはWindows NT 4.0時代である。インターネットはまだ一般的ではなかったし、ブログもなかった。Googleも存在しなかったのでインターネットから得られる情報は限られていた。ユーザーコミュニティは技術者同士が情報交換をする貴重な場だった。

 現在でもコミュニティ活動は盛んだが、当時のような熱気は薄れているように思う。それだけ情報が行き渡り、製品が成熟してきた証拠だろう。

Windows NT 4.0の課題

 このように、4.0で爆発的に普及したWindows NTだが、問題点もあった。特にクライアントであるWindows NT Workstationには多くの不満が聞かれた。その理由は大きく2つある。1つは互換性の問題で、もう1つはプラグアンドプレイの制限だ。

 Windows NTとWindows 95は実装が異なるため、同じAPIでも動作が異なる場合があった。ただし、決められた規格に従えば互換性問題はほとんど発生しない。互換性問題はアプリケーションのバージョンアップとともに解決すると考えられた。

 深刻なのはプラグアンドプレイである。電源管理機能もなかった。そのため、ノートPCにWindows NT 4.0をインストールすることは難しかった。インストールはできるのだが、休止などの機能が使えない上、デバイスの追加をする度に再起動が必要だったのだ。

 こうした問題の解決には、次期バージョンである「Windows 2000」を待つ必要があった。

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