Windowsの歴史 Windows NT 4.0編:サーバOSとしての地位を確立しビジネスを盛り上げた立役者

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-08-17 13:55:01
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 マイクロソフトは「Windows NT 4.0」でサーバOSベンダーとしての地位を確立した。現在でも単に「Windows NT」と言えば、Windows NT 4.0のことを指すくらいである。ではWindows NT 4.0のどこが優れていたのだろうか。

Windows NT 3.5の問題点

 Windows NTの「GUIで操作するサーバ」というコンセプトは斬新であった。汎用機やUnix、あるいはNetWareサーバなど、それまでのサーバはコマンドラインで管理するのが常識であり、GUIはあくまで補助的なものと考えられていた。そこへマウスを使った操作体系を持ち込んだ功績は大きい。しかし、Windows NT 3.5/3.51にはいくつかの欠点があった。

 第1にGUIのスタイルが旧式のWindows 3.1スタイルだった。サーバをGUIで管理する利点は、クライアントと同じ操作体系を使えることである。ところが、Windows NT 3.xは爆発的に普及したWindows 95とは異なるGUI体系を持っていた。これでは魅力も半減である。もちろんクライントとして使う場合は2種類の操作体系が混在することになり、問題はさらに深刻だった。

 第2に性能上の問題である。特にグラフィック回りが低速で重かった。当時のマイクロソフトにとって、Windows NTにおける速度面での性能は最優先課題ではなかった。そのため、ウィンドウを含むグラフィックは安定性を重視して、OSカーネルの外で処理していた。しかし、GUIベースのOSでGUIが遅いのは致命的な欠点である。しかも、Windows NTはGUI部分が停止するとOS全体が停止するように設計されており、本当に安定性が向上しているのかどうかも疑わしかった。

Windows NT 4.0登場

 こうした問題を解決するために登場したのがWindows NT 4.0である。Windows NT 4.0の最大の目的はWindows 95ライクなGUIの採用だった。そのため、開発の初期段階では「Shell Update Release(SUR)」と呼ばれており、カーネル部分はマイナーチェンジで済ませる予定だったようだ。

 しかし、実際の製品はカーネルに大きく手を加えたものになった。最大の変化はGUI処理がカーネルに組み込まれたことだ。これにより、原理的な安定性は低下するが、実用的な差はほとんどなく、しかもグラフィック性能は大幅に向上した。それまでWindows NTは「大きくて重い」と言われていたが、実はグラフィック処理の問題が最大のボトルネックとなっていたようだ。

 ただし、内部的なGUI処理の変更により安定度が低下したのは事実らしい。10年を経てCPU性能が大幅に向上したため、Windows Vista/2008以降は従来の形に戻っている。

 Windows NT 4.0では3.xと比べてネットワークを含む入出力回りはそれほど変化していない。Windows NTは当初からモジュール化されていたため、変更部分は意外に少なくて済んだようだ。

Windows NT 4.0のインパクト

 クライアントと同じ操作体系のサーバOSが、実用的なリソースで動作するということでWindows NT 4.0は爆発的に普及した。筆者が担当していた教育コースも連日満席だった。受講料が20万円を超える5日間の教育コースが毎週満席だったという事実からも、同OSの人気の高さがうかがい知れる。

 これだけWindows NT 4.0の人気が高まると、周辺ビジネスも活発になる。正確な数字は分からないが、マイクロソフトとパートナー契約を結ぶ企業も大幅に増えたはずだ。マイクロソフトのパートナーになるには、種類やレベルに応じて一定数の認定技術者、MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)が必要になる。Windows NT 4.0の人気とともにMCP受験ブームが起きた。筆者の勤務先は昔も今も「資格のためだけ」の講習会はしていない。しかし当時、「試験にさえ合格すれば知識は不要」「合格率だけが重要」と思っていた人がいたことは事実である。講習中も「それは試験に出ますか」と受験生のような質問を受けることもあった(実際受験生なのだが)。中でも、某大手企業グループの資格取得活動は極端だった。「Windows NTを使ったことがない」「使う予定もない」「使いたくもない」という受講者がクラスの半数を超え、単に「試験にさえ合格すれば良い」という人が大半だったこともある。

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