Windowsの歴史 Windows NT 3.51編:急速な「成長」が求められた幼年期のOS

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-08-04 21:48:01
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NetWareサポート

 Windows 95とともにインターネット時代が幕を開けたとはいえ、企業内LANの分野では依然としてNetWareとIPX/SPXが広く使われていた。Windows NT 3.51ではNetWareの機能をWindows NTに取り込むことでNetWareの優位性を相対的に下げていった。

 「インターネットと同じプロトコルを社内で使うと侵入の恐れがあるからTCP/IP以外を使う」という意見もあった。TCP/IPを使わずにルーティング環境を実現するにはIPX/SPXが必須だ。

 余談だが、マイクロソフトのウェブプロキシ製品「Proxy Server」はクライアントのIPX/SPXをTCP/IPに変換してインターネットにアクセスするゲートウェイ機能を持っていたため、社内でIPX/SPXを使いながらインターネットにアクセスすることもできた。本来、この機能はセキュリティ目的ではなく、単に社内で使っているプロトコルを統一するための機能だと思うが、セキュリティ目的で使用していた組織も多かったようだ(ただしProxy ServerはWindows NT 4.0用で、Windows NT 3.51の時代には登場していない)。

・RIP for IPX

 IPXはルーティング可能なプロトコルである。しかし、アドレスを明示的に指定しなければならないのはサーバだけで、クライアントのアドレスはMACアドレスから自動生成される。IPv6に似た仕組みだ。DHCPを含め、サーバに頼らずにアドレスを構成できるため、ネットワーク管理者からは歓迎された。IPXルータも広く使われていたため、NetWareサーバを捨ててもIPX/SPXは残したいと考える人も多かった。

 Windows NT 3.51ではIPXサポートの一環として、従来からのIPXルーティング機能に加えて、ルーティング情報の交換プロトコル「RIP for IPX」を実装した。これにより、IPXルータとしてWindows NT 3.51を導入できるようになった。

・FPNW

 前回紹介したとおり、Windows NT 3.5ではGSNWによってNetWareサーバとのゲートウェイ機能を実現した。さらにNetWareサーバ機能そのものをWindows NT 3.51に実装したのがFPNW(File and Print Services for NetWare)である。FPNWは別売りの製品だったが、NetWareからWindowsへの移行過程で広く使われた。

Windows NT 3.51とは何だったのか

 Windows NT 3.5とWindows NT 3.51の機能面での差は小さい。Windows 95互換APIについても、その違いはわずかである。現在であれば、Windows NT 3.51は「Windows NT 3.5 Service Pack 1」と呼ばれたかもしれないくらい、その差は小さい。

 そういえば、筆者はWindows NT 3.5のMCP資格試験を受験していない。手元のMCP資格リストには以下の履歴が記載されている。

42 Implementing and Supporting Microsoft Windows NT Workstation 3.51 (July 12, 1995)
43 Implementing and Supporting Microsoft Windows NT Server 3.51(July 12, 1995)
40 Microsoft Windows NT 3.1 Exam (November 04, 1994)
41 Microsoft Windows NT Advanced Server 3.1 Exam (November 04, 1994)

 仕事の都合で、Windows NT 3.1の試験を受けるのは少し遅くなったが、Windows NT 3.51の試験は早期に受験した。その間、8カ月である。8カ月の間にWindows NT 3.5の試験が行われたのか、あるいは日本では試験実施がスキップされたのかは覚えていない。いずれにしてもWindows NT 3.5と3.51の間隔が極めて短かったことは確かだ。

次回は「Windows NT 4.0」

 Windows NT 4.0までは、Windowsサーバの幼年期であり、急速な進化が求められた。それは、Windows NT 3.1以来、毎年バージョンアップが繰り返されていたことからも分かる。

 しかし、成熟期に入ったOSに頻繁なバージョンアップは好まれない。次回は成熟期に入ったWindows NT「Windows NT 4.0」について紹介する。

  • コメント(3件)
#1 anonymous   2009-08-18 11:02:37
> 日本で販売されていた非インテル系のWindows NTマシンは事実上DEC Alphaのみだった

この認識は誤りです。
日本国内では DEC Alpha 以外に、NEC からは MIPS搭載のPCサーバが、IBM から PowerPC搭載のPCサーバが販売されていました。
決して DEC Alpha だけでは無いです。
#2 anonymous   2009-10-06 07:22:25
PowerPCを積んだIBMのAS/400でWindowsNT3.51がインストールされたマシンがありました。
#3 anonymous   2009-12-12 00:28:22
> 「話題のWindows NTはDEC固有のOSであるVMSを参考に作られた」
そういえば、”VMS”を1つ進めると”WNT”になる、ってのを当時何かで読んだ覚えが…
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