Windowsの歴史 Windows NT 3.51編:急速な「成長」が求められた幼年期のOS

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-08-04 21:48:01
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 「Windows NT 3.51」はバージョン番号から分かるように、前回紹介した「Windows NT 3.5」のマイナーチェンジ版である。英語版の3.51は、3.5から1年とたたずにリリースされた。なぜ、そのタイミングで新版を出す必要があったのだろうか。そこにはWindows 95との互換性の問題があった。

Windows 95サポート

 Windows NT Workstationは一般家庭向けの製品ではなかった。Windows 3.1の真の後継となったのは「Windows 95」である。

 Windows 95の発売は1995年。Windows NT 3.5の発売は1994年だから、まだWindows 95は存在しなかった。しかし、意図的なものも含めて多くの情報がリークされていた。うわさの中には「Windows 95はWindows NT互換となる」というものがあった。これは、どちらも「Win32」と呼ばれるAPIを使っていたからである。

 しかし、実際にはWindows NTとWindows 95の間では一部の機能に互換性がなかった。マイクロソフトは、Windows 95とWindows NTの互換性を維持するためにWindows NT 3.5に手を加え、Windows NT 3.51として発売することにした。1995年、Windows 95発売の直前である。

 Windows NT 3.51発売前に「Windows NT 3.51はWindows 95互換らしい」といううわさが急速に広まった。既にWindows 95でGUIが一新されることは公開されていた。筆者も含め多くの人が、当然「互換」の意味にGUIが含まれると考えていたのである。

 しかし、実際の「互換性」はアプリケーションのためのプログラムインターフェース(API)の互換性を意味しており、GUIはWindows NT 3.5と変わらなかった。しかもプラグアンドプレイも実装されず、マニアの多くは失望した。

 Windows 95のプラグアンドプレイはかなり不安定で、ベータ版のデモでもトラブルを起こしていたが、目玉機能ではあった。それが標準装備されなかったのだから、筆者もがっかりしたことを記憶している。

PowerPCサポート

 CPUとして、従来のインテルx86とDEC Alpha、MIPS R4000に加え、PowerPCをサポートするようになったのもWindows NT 3.51からである。連載第9回(Windows NT編:今のWindowsの礎が築かれるまでの道程)でも書いたように、当時は「インテルのCPUは性能上の限界にある」とされており、インテルx86以外のCPUが注目されていた。

 しかし、インテルは1995年の「PentiumPro」で大幅な性能向上を実現したためRISCプロセッサブームは終わった。

 Windows NT 3.5と同様、Windows NT 3.51も製品候補版が雑誌の付録についた。そこにはインテルx86に加えて、DEC Alpha、MIPS Rシリーズ用のバイナリも含まれていたのだが、いったいどれくらいの人がインテル以外のCPUを使ったのだろうか。

 製品版ではPowerPCのサポートも追加された。しかし、MIPSベースのPCもPowerPCベースのPCも大手ベンダーからは発売されておらず一般的ではなかった(MacintoshはPowerPCベースだったがARC仕様ではない)。日本で販売されていた非インテル系のWindows NTマシンは事実上DEC Alphaのみだったが、ディジタル・イクイップメント(DEC)はWindows NTの販売にそれほど熱心ではなかった。

 筆者は当時DECに勤務していたが「教育部」という傍系の部門にいた。主流部門にいた多くのDEC社員は「話題のWindows NTはDEC固有のOSであるVMSを参考に作られた」「Windows NTの開発リーダーは元DEC社員だ」ということを自慢げに話していたが、ビジネスに結びついているようには思えなかった。そもそも、Windows NTの開発リーダーであるDavid Cutlerは、彼のプロジェクトが何度もキャンセルされ、怒りと失望を持ってDECを去ったことを知っていたのだろうか。

Windows NT 3.51 OEM版Windows NT 3.51のCD。対応システムに「PowerPC」の文字が加わった

NetWareサポート

  • コメント(3件)
#1 anonymous   2009-08-18 11:02:37
> 日本で販売されていた非インテル系のWindows NTマシンは事実上DEC Alphaのみだった

この認識は誤りです。
日本国内では DEC Alpha 以外に、NEC からは MIPS搭載のPCサーバが、IBM から PowerPC搭載のPCサーバが販売されていました。
決して DEC Alpha だけでは無いです。
#2 anonymous   2009-10-06 07:22:25
PowerPCを積んだIBMのAS/400でWindowsNT3.51がインストールされたマシンがありました。
#3 anonymous   2009-12-12 00:28:22
> 「話題のWindows NTはDEC固有のOSであるVMSを参考に作られた」
そういえば、”VMS”を1つ進めると”WNT”になる、ってのを当時何かで読んだ覚えが…
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