Windowsの歴史 Windows NT 3.5編:弱点を克服し実質的な評価が始まった「Daytona」

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-07-28 14:51:01
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 Windows NT 3.1の翌年には早くも新バージョン「Windows NT 3.5」(コード名:Daytona)が発売された。Windows NTの実質的な評価はここから始まったと言ってもよい。

Windows NT 3.1の欠点

 Windows NT 3.1は、マイクロソフトの意欲こそ評価されたが、製品としての評価はそれほど高くなかった。そのため「Windows Nice Try!」と呼ばれたりした。Nice Tryは「よく頑張った(けど残念な結果に終わった)」という意味で、失敗した者をなぐさめる言葉だ。

 Windows NT 3.1が商品として成功しなかった要因は数多くあるが、ここでは以下の5つを上げておこう。

大きくて重い

 将来性を考えて拡張可能なアーキテクチャを採用した結果、消費メモリが増えた上、動作が低速だった。ただし、最初から将来を見据えたアーキテクチャを採用したおかげで、初期バージョンが登場してから現在に至るまで、基本的な構造を変更する必要がなかったことは賞賛すべきである。

TCP/IPが低速

 Windows NT 3.1ではLAN内でのみ利用可能なNetBEUI、NetWare互換のIPX/SPX(ただしアプリケーション層が実装されていなかったため、NetWareサーバのファイル共有にはアクセスできない)、およびTCP/IPが標準で実装されていた。

 ところがTCP/IPは低速だったため、ルーティングが必要な場合はIPX/SPXを使うのが普通だった。Windows NTの開発がスタートした当時はTCP/IPがそれほど重要ではなかったためだ。しかしWindows NT 3.1の登場とほぼ同時期にGUIベースのウェブブラウザ「NCSA Mosaic」が登場し、インターネット時代の幕が上がろうとしていた。そんな状況でTCP/IPが低速だったことは致命的だった。ちなみにMosaicはInternet ExplorerとNetscape Navigatorの共通の祖先である。

 TCP/IPが低速な原因は、汎用プロトコルサポート層であるSTREAMSを使っていたためとされている。

製品の位置付けが不明確

 第9回(Windowsの歴史 Windows NT編:今のWindowsの礎が築かれるまでの道程)でも書いたように、クライアントなのかサーバなのかはっきりしない製品だった。

適切なクライアントが不在

 Windows NT 3.1のクライアントはMS-DOS LAN Managerクライアントだったが、その基盤となるOSはMS-DOSとWindows 3.1であり、信頼性やセキュリティに問題があった。そのため、当時はUnixをクライアントに採用すべきだという意見も強かった。クライアントにUnixを使うならサーバもUnixの方が便利だろう。

互換性不足

 LAN Managerは、競合製品であるNetWareと互換性がなかった上、認証システムも全く異なり、NetWareと共存するのが困難だった。

 Windows NT 3.1は、OS/2 1.xのプログラムを実行することもできたが、OS/2はサーバ分野で成功しているとは言い難かった。Windows 3.1やMS-DOSとの互換性はあったが、サーバ分野で大きな意味はなかった。

 Unixとの互換性を確保するためのPOSIXサブシステムは存在したが、既存のUnix上で動作するアプリケーションをそのまま実行できるわけではなかった。どちらかと言えば「米国政府調達基準を満たすための機能」という意味合いが強かったようだ。UnixからWindows NTへ移植されたアプリケーションもあるが、大半はPOSIXサブシステムを使わず、Windows NT固有のAPIを使っていた。

Windows NT 3.5での改良点

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