Windowsの歴史 パートナープログラム編:新OSの普及に必要な“製品以外”のこと

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-07-17 22:30:01
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開発者と管理者の育成

 資格試験だけを提供しても技術者は育たない。試験に合格するための勉強を独学で行うことは難しいからだ。マイクロソフトでは、公式教育コースを開発し、ラーニングパートナーを通して提供を始めた。これが現在のMSU(Microsoft University)である。こちらも1993年前後に開始された。なお、MSUという言葉は日本だけの用語で、世界的にはMOC(Microsoft Official Curriculum)と呼ばれる。

 新しい製品が出たら、その製品の技術者に必要なスキルセットが提示される。そのスキルセットを学習するためのカリキュラムが「MSU」で、スキルセットを判定するための試験が「MCP」である。

 「Tech・Ed」と呼ばれるイベントが始まったのもこの頃だ。米国では1993年、日本では1995年から開催されている。Tech・Edは、マイクロソフト最大の技術カンファレンスで、開発者と管理者に対して技術情報を提供する。日本では毎年8月終わりにパシフィコ横浜で開催される(ただし過去に1度だけ舞浜で行われたことがある)。今年(2009年)は8月26日から28日だ。

 その他、IT教育を提供しているベンダーからはオリジナルの教育コースが登場した。筆者は「Windows NT入門」というビデオ教材開発を担当した。当時は大阪勤務であったが、開発のために池袋(当時の勤務先)に近い椎名町のウイークリーマンションに仮住まいをした。隣は「ときわ荘」を彷彿させるような木造2階建てのアパートだった。おそらく風呂なしトイレ共同だろう。住人の多くは外国人だったらしい。ウイークリーマンションの風呂は狭いので、筆者も近所の銭湯によく行ったものだ。

 閑話休題。当時のWindows NT関連の教育コースは、Windows NTの内部構造を詳しく説明したものが多かった。ただし、演習は単純で個々の機能を学ぶには十分であったものの、現実の環境を反映していない場合が多かった。

 現在のMSUは内部構造についての説明は大幅に減った。その代わりに、複雑なIT環境でどの機能をどのように使うのかについて詳しく記されている。演習も複雑で、よく言えば高度、悪く言えば分かりにくい。そのため、(筆者の勤務先も含め)教育ベンダー各社は独自教材でMSUを補っている。

ソリューションパートナー

 MCPは個人の資格だが、会社として「マイクロソフトの技術を理解し、適切なソリューション提案ができる」ことを示すのが「マイクロソフト認定パートナー(Microsoft Certified Solution Provider:MCSP)」制度である。MCSPの取得には、MCP技術者の在籍やマイクロソフト製品の販売実績などが必要になる。こちらの制度も大規模に展開されたのは1993年頃だったと記憶している。

 MCSPになるには若干の費用がかかるが、多くの技術ドキュメントが提供されるほか、マイクロソフト主催セミナーへの無料参加など多くの特典がある。マイクロソフト製品でビジネスをするのであればぜひ認定を取得しておきたい。MCSPとして認定されている企業でも、その特典の全容を把握していない人が多い。もったいないので興味のある人はぜひ社内の担当者やマイクロソフトのウェブサイトで調べてみてほしい。

Windows発展の礎となった支援プログラム

 Windows NT 3.1の登場が1993年。それにあわせて多くの支援プログラムがスタートしたことがお分かりいただけただろうか。これらのプログラムのほとんどは現在でも継続している。名称の変更や特典の一部が変わっているものの、基本的な枠組みは変わっていない。Windows NT 3.1は商業的には成功したと言えないが、その後の発展の基盤を提供したOSだったことは確かである。

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