Windowsの歴史 パートナープログラム編:新OSの普及に必要な“製品以外”のこと

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-07-17 22:30:01
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 Windows NTの登場と同時に、Windows NTをプラットフォームとして採用するための仕組みが作られた。今回は、Windows NTをめぐるパートナープログラムについて振り返ってみよう。

新しいOSを普及させるために必要なこと

 Windows NTは、マイクロソフトが本格的にサーバ市場に参入した最初のOSである。Unixの一種である「XENIX」はマイクロソフトの主力製品ではなかったし、OS/2もIBMとの共同開発だ。しかしWindows NTは完全な自社開発で、今後のサーバプラットフォームとなる製品として位置付けられた。しかし、マイクロソフトがいくら自分だけで頑張っても、新しいOSを普及させることはできない。

 マイクロソフト初期の主力製品は「MS BASIC」を始めとする言語製品だ。言語製品を購入するのはエンドユーザーではなく、アプリケーション開発者である。マイクロソフトは早くからアプリケーション開発者に対してのサポートを続けてきた。現在のCEOであるSteve Ballmerも、ことあるごとに「ソフトウェア開発者こそマイクロソフトを支えてくれるパートナーである」と繰り返している。

 マイクロソフトがMS-DOSでOS分野に参入したときも発想は同じだ。エンドユーザーはOSが欲しいのではなく、多くの(あるいは特定の)アプリケーションを動作させるためのプラットフォームが欲しいだけだ。アプリケーションが増えれば増えるほど、そのアプリケーションが動作するOSの地位が高まる。ここでも重視されたのは開発者だ。

 Windows NTが登場したときも開発者に対するサポートが強化された。Windows 3.1と似ているとは言え、全く別のOSである。Windows on Win32(WOW)と呼ばれる仕組みを使った互換モードもあったが、それではWindows NTの新しい機能が使えない。本格的なビジネスを展開するにはWindows NT用にアプリケーションを移植する必要があった。

 開発者だけではない。サーバは複数のユーザーで共有される。共有物には管理者が必須である。管理者のいない共有地は荒れ果てるし、管理人のいないマンションは保守が行き届かない。Windows NTの管理者の育成も急務であった。

開発者と管理者の評価

 マイクロソフトでは、開発者と管理者を育成するために「マイクロソフト認定技術者(Microsoft Certified Professional:MCP)」資格制度を始めた。マイクロソフトが作成した試験問題は、プロメトリック社の試験プラットフォームを使って提供された。後に試験提供会社としてVUEが参入するが、現在では再びプロメトリックのみになっている。

 MCP試験は1993年に始まった。Windows NT 3.1の登場とほぼ同時期である。筆者のMCP試験履歴には1994年11月4日に、Windows NT 3.1とWindows NT Advanced Server 3.1の試験に合格した旨の記載があるから、その時点では既に日本の会場で日本語の試験が受験できたはずだ。

 MCPの取得においては「マイクロソフトが想定するサーバソリューション」を理解しているかどうかが問われる。マイクロソフトが想定した使い方を理解し、マイクロソフトが想定した使い方のシステムを構築していれば、将来のアップグレードでもトラブルが少ないというわけだ。

 MCPには開発者向けの試験もある。こちらも「マイクロソフトが想定するアプリケーション」についての知識を問う。マイクロソフトのガイドラインに従っていれば、将来製品の互換性がなくなるようなことがあっても移行パスが提供されるはずだ。

開発者と管理者の育成

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