Windowsの歴史 Windows NT編:今のWindowsの礎が築かれるまでの道程

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-07-09 17:43:01
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伝説のプログラマー

 マイクロソフトがWindows NTを開発するにあたって雇い入れたのがDavid Cutlerだった。Cutlerは元DECの伝説のエンジニアだ。David Cutlerの退職後、旧DECの社内ネットワーク上には「David Cutlerの栄光と伝説」のような電子掲示板が作成された。筆者が覚えているのはこういう話だ。

ソースコードライセンスを取得した顧客がDECの担当エンジニアに言った。

「御社では、ソースコード作成の責任者には個人名ではなくてグループ名を書くんですか?」

「いえ、個人名をコメントとして残していますが」

「おかしいなあ、ほとんどのソースコードに同じ名前がありますよ “David Cutler” って」

 David Cutlerと、そのチームの活躍は「闘うプログラマー(上・下巻)」(日経BP出版センター、1994年刊)に詳しい。実に面白い本だったが、現在では版元品切れである。こういう良質の書籍を維持できない日本の出版業界にはがっかりだ。

Windows NT 3.1

 市場に登場した最初のWindows NTは「Windows NT 3.1」と「Windows NT Advanced Server 3.1」だ。「3.1」の数字はクライアントOSであるWindows 3.1との互換性を意識していることを意味する(完全な互換性はない)。番号で互換性を意味するのはDavid Cutlerが前社で担当したVAX-11と同じ流儀だ(かつてDavid CutlerがOSを書いた32ビットCPU「VAX-11」は、ベストセラーとなった16ビットCPU「PDP-11」との互換性を意識して命名された)。

 筆者は、Windows NTの全バージョンを利用したが、Windows NT 3.1はサーバなのかクライアントなのかはっきりしない、実に中途半端な製品だった。価格や機能、そして性能からするとサーバのようだが、Windows 3.1からのアップグレードができた。果たして意味があったのだろうか。

 最近は「Windows NT 3.1」がクライアントで「Windows NT Advanced Server 3.1」がサーバだと思っている人もいるらしいが実際は違う。「Windows NT 3.1」がメンバーサーバまたはスタンドアロンサーバで「Windows NT Advanced Server 3.1」がドメインコントローラ専用サーバだったのだ。すべてのサーバの役割が統一されるのは、次のバージョンである「Windows NT 3.5」からだ。

 また、Windows NT 3.1にはMS-DOS用のLAN Managerクライアントが付属した。これをMS-DOSに組み込むことで、OS/2 LAN ManagerおよびWindows NTのクライアントとして動作する。もっとも、マイクロソフト製のTCP/IPプロトコルは消費メモリが多く、あまり実用的ではなかった。より軽いNetBEUIフレームプロトコルを使う方が多かったように思う。

 今回は、Windows NTの歴史的な経緯を中心に紹介した。次回は、Windows NTがIT業界に与えたインパクトについて紹介したい。

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