Windowsの歴史 Windows 95編:一般ユーザーが技術用語と向き合い始めたOS

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-06-05 18:41:01
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Windows 95の課題

 ただし、Windows 95には以下のような問題も残された。

マルチタスクの制限

 Windows 95でもWin16アプリケーション同士はノンプリエンプティブなマルチタスクで動作した。また、Win32アプリケーションであっても、OSの内部ルーチンはWin16との互換性を保つために性能が低下してしまう部分が数多く含まれた。特にマルチタスク性能には大きな問題があった。

 「Windows 95は32ビット化が十分ではなかった」と言う人もいるが、これは正確な表現ではない。Windows 95自身は完全な32ビットOSだが、Windows 3.1との互換性を保つために残された16ビットコード、およびそのコードを実行するための仕組みを含んでいたというべきだ。

メモリ利用の制限

 こちらもWin16との互換性を保つため、コンベンショナルメモリの問題は完全には解決されなかった。

プラグアンドプレイの制限

 Windows 95は接続するだけで使える「プラグアンドプレイ」を初めて実装した。ただし、実際にドライバがロードされて動作するまでに数分かかることも珍しくなかった。また、ドライバのロードに失敗することも多かった。

 これらの問題の完全な解決には、Windows 2000およびWindows XPまで待つ必要がある。

Windows 95の成果

 いくつかの問題はあったものの、Windows 95はWindows 3.1以上の成功を収めた。

 企業内のPCがかなり早いペースで置き換わっていった。また、中古PC市場ではWindows 95が動くかどうかが査定のポイントとなった。

 Windows 95の利点は数多くあるが、私見ではネットワーク機能が標準になったことが最も重要だと思う。コンベンショナルメモリを消費するのは主にデバイスドライバとアプリケーション間通信の機能である。仮にTCP/IPドライバがコンベンショナルメモリを消費しないとしたら、メモリ不足の問題はかなり緩和される。アプリケーションを1つか2つ起動するだけならメモリ不足が起きることも少ないだろう。

 Windows 95以降、OSにはネットワーク機能が必須となった。そして、ネットワーク機能が必要だということを消費者が意識するようになった。

 AppleのMacintoshは初期バージョンからネットワーク機能が内蔵され、Laser Writerへの印刷はLocalTalkを使ったネットワーク印刷と等価だったという。しかし、Macintoshユーザーはネットワークを使っていることを意識しなかった。技術を意識させないのはコンシューマ製品として正しい姿だが、PCのような発展途上の製品に対しては意識させないわけにはいかない。

 Windows 95のユーザーは、かなり高度な技術用語と向き合うことを強制された。ネットワークにしても仮想記憶にしても、正しく理解するのは大変である。おかげで大量の解説書が登場し、出版市場も潤った。

 決して望ましい状況ではないが、今日に至るまでこの構図は変わっていない。

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