Windowsの歴史 Windows 2.0とWindows/386編:PC/ATの登場

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-05-12 23:16:01
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 Windowsがオーバラップ型のウィンドウを持つようになったのはWindows 2.0からだ。この頃から日本でも使い始める人が増え、雑誌記事や書籍も増加していく。

 実際、Windows 2.0はどのようなOSだったのだろうか。

タイリング型からオーバラップ型へ

 「オーバラップ型のウィンドウは分かりにくい」というのは一面の真実ではあった。しかし、それがなければ見栄えのしないシステムであることに変わりはなかった。

 しかも、AppleのMacintoshは完全なオーバラップ型のウィンドウシステムを持っており、UNIXのウィンドウシステムもオーバラップ型だったのだ。

 Windows 1.0の発売は1985年だが、Macintoshの発売は1984年。UNIX上で動作するX Window Systemの原型が1984年に完成し、DEC VAXstation-II/GPXにバージョン10(X10)が採用されたのが1985年である(VAXstation-II/GPXは筆者も使ったことがある)。

 X10はDECのほか、HPやApollo Computer、Sun Microsystemsのワークステーションにも採用された(最終的にはApolloもDECもHPに買収される)。ちなみに、現在のUNIXやLinuxで広く使われているのは、1987年にリリースされたX Window Systemバージョン11(X11)をベースにしたものである。

 このように、1985年の時点で主なウィンドウシステムはオーバラップ型を採用しており、タイリング型のMicrosoft Windowsは不利だった。しかもIBM PC/ATベースのUNIXも登場し、その気になればIBM PC/ATおよびその互換機上でUNIXとXを利用することもできた。

 ちなみに、Microsoftは1984年までXENIXと呼ばれるPC用UNIXを販売していたが、1984年以降はSCO(The Santa Cruz Operation)が販売の権利を引き継いでいる。

 話を戻そう。こうした情勢下で生き残るために、Microsoftはどうしてもオーバラップ型のウィンドウシステムを発売する必要があった、というわけだ。

PC/ATの登場

 Windows 1.0のさまざまな制約は、Intel 8086のアーキテクチャに依る部分が大きいとされている。仮想メモリ機能を持たず、物理メモリ空間が1Mバイトしか使えないようでは、ウィンドウシステムを動かすのは困難。しかも、従来のMS-DOSとの互換性を維持するという大きな制約もあった。

 8086に対する批判に応える形で、Intelは8086の後継として1984年に80286を発売した。80286はセグメント機能を利用した仮想記憶機能を持ち、物理メモリ空間は16MB、仮想記憶空間は1GBであった。IBMは80286をすぐに採用しPC/ATを発表した。

 セグメントとは、可変長サイズのメモリ領域を割り当てる方式だ(図1)。メモリの利用効率が高い反面、フラグメント(断片化)が起きやすく、メモリ管理は面倒になる。80286にはセグメント管理を効率よく行うためのハードウェア機能が組み込まれていたため、それほど大きなオーバヘッドはなかった。

図1 セグメント方式 図1 セグメント方式

 80286は、そのままでも「高速な8086」として利用できたため市場に広く受け入れられた。Microsoftは、新しいWindowsを80286のみに対応させることを決定、1987年にWindows 2.0が発売された。

 この頃にはPC/ATおよびその互換機が一般的になっており、8086のことを考慮する必要はなかった。

 Windows 2.0の開発が始まった頃は8086ベースのPCも多かったはずだが、将来を見越して古いハードウェアは切り捨てられた。これは現在に至るまでのMicrosoftの基本的な戦略である。開発開始時に最先端の技術は、発売時になってもまだまだ少数派である。しかし、魅力的な機能を提供すれば買い換え需要が発生し、新技術がさらに普及する。Microsoftはもちろんのこと、PCベンダーも利益が得られる構造だ。

Windows 2.0と80286

  • コメント(1件)
#1 BAL9630   2009-05-14 11:16:10
当時の苦労は、懐かしさに替わっていました。
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