
Windowsの歴史 Windows 1.0前夜編:MacintoshとWindows 1.0
1985年11月にやっと発売されたWindows 1.0はタイリング方式と呼ばれる仕組みで、ウィンドウはオーバラップ(重ね合わせ)できなかった。
Windows 1.0はPC-9801シリーズの一部に採用されたらしいが、筆者は触った記憶がない。そのため、以下の記述には思い込みが入っている可能性があることをあらかじめお断りしておく。
Windows 1.0がタイリングを採用したのは、「Microsoftの技術力が低かったから」という説と「オーバラップ型ウィンドウの使い方を理解できない人が多いとMicrosoftが判断したから」という説がある。どちらが正解かは分からないが、両方が理由だったのだろうと想像する。
他のウィンドウで完全に覆われて裏に回ってしまったウィンドウを前面に出す操作――これは意外に思いつかない。正解は「表のウィンドウをアイコン化する」だが、マウス操作すら初めての人には難しいだろう(最近Windows 3.1を使ってみたが、タスクバーになれた筆者にとっても難しかった)。
Wikipediaに掲載されているWindows 1.0の画面を見てほしい。バージョン番号を示すダイアログボックスがオーバラップしていることが分かる。モーダルダイアログボックスは、オーバラップしても「操作が分からない」という問題が起きることはないと判断したのだろうか。(参考:Windows 1.0 - Wikipedia)
もし技術的な問題があったとしたら、Microsoftの、というより8086の限界が問題だったと思われる。ダイアログボックスの1つや2つならともかく、多くのウィンドウの重ね合わせを正しく描画するのは難しい。第1回「Windowsの歴史 MS-DOS編」で紹介したとおり、8086では64KBを超えるプログラムやデータを扱うことが困難である。さらに、メモリ空間は20ビット(1MB)が最大で仮想記憶も使えなかった。おまけにMS-DOSとの互換性を持たなければならないという足かせもあった。
最初のMacintoshが採用したMotorola 68000は、内部32ビット構造で24ビット(16MB)の連続メモリを利用できた。仮想記憶こそ使えなかったものの、16MB連続で使えるCPUと、64KBの細切れの合計が1MBのCPUの能力差は圧倒的であった。しかもMacintoshには守るべき資産がなかった。これだけのハンディがあればWindowsに勝ち目はない。
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