Windowsの歴史 ネットワークOS編:LAN ManagerとNetWare

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009-04-13 15:16:01
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ネットワークプロトコル体系

 LAN ManagerとNetWareの全盛期は、多くのネットワーププロトコルが乱立した時代でもある。既に紹介したLAN ManagerやNetWareも含め、他社のプロトコルと比べながらPCネットワークの特徴を見てみよう。

Microsoft LAN Manager

 LAN Managerでは複数のプロトコルを利用できるが、広く使われていたのは軽量でコンパクトなNetBEUIプロトコルである。NetBEUIは中継機能を持たないため、LAN内でのみ利用された。中継機能が必要な場合は、TCP/IPやIPX/SPXなど別のプロトコルを使う。

Novell NetWare

 NetWareは、通信プロトコルとしてIPX/SPXを使っていた(後にTCP/IPも使えるようになった)。IPX/SPXの考え方は、TCP/IPに似ている。しかし、TCP/IP(IPv4)と異なり、アドレスは自動設定され、管理者はネットワーク番号を指定するだけで良かった。これは現在のIPv6の考え方と似ている。

 IPX/SPXは、構成が簡単なためNetWare以外のシステムでも広く使われた。Windows NTも初期のバージョンではIPX/SPXが標準プロトコルとして位置付けられた。

IBM SNA

 IBMのネットワーク体系をSNA(Systems Network Architecture)と呼ぶ。SNAは基本的に中央集権的であり、ピアツーピア通信(クライアント同士の通信)は重視しない。

 IBMは、OS/2上で動作するLAN Serverを発売していた。LAN Serverは基本的にはLAN Managerと同じものである。

 当時のIBMはPCによるネットワークを補助的なものと考えていた。広く使われていたNetBEUIプロトコルは中継機能がないため、大規模環境には展開できない。しかし、中継は大型機の担当なので、問題とは認識されていなかったようだ。

DEC DECnet

 Digital Equipment Corporation(DEC)は、早くからネットワークに注目し、そのOS(VMS)のファイルシステムにネットワークを完全に統合していた(ちょうどUNCと同じような考え方である)。そのDECのネットワークプロトコル体系がDECnetである。日本ではあまり馴染みがないと思うが、米国では企業内ネットワークとして広く普及していた。

 SNAとは異なり、DECnetの本質はピアツーピア通信である。DECはPC用にDECnetプロトコルを実装し、自社のシステムのネットワーク体系に組み込んだ。

TCP/IP

 MS-DOSにとってTCP/IPの実装は少々重い。MS-DOS用のTCP/IPはいくつかの企業から提供されていたが、どれも相当なメモリを消費してしまうため、TCP/IPを使うと肝心のアプリケーションが動作しないという状況に陥りがちだった。

 Windows 3.1時代になってもこの状況はそれほど改善しなかった。問題が解決するのはWindows 95になってからだ。

 現在、PCのネットワークプロトコルにはTCP/IPのみが使われていると言ってよいだろう。では、最初からTCP/IPを使えば良かったのだろうか?筆者はそうは思わない。

 初期のPCにとってTCP/IPは複雑すぎた。最初からTCP/IPを採用していたら実用的なアプリケーションは登場せず、ネットワーク市場の登場が数年遅れただろう。また、メインフレームのベンダーからは「TCP/IPは実験室のプロトコルであり実用的ではない」という意見が公然と出されていたことも考慮する必要がある。

 そのような状況でもTCP/IPに絞ってビジネスを展開したUNIXベンダーには敬意を表するが、一般的にはかなり高いリスクと認識されていたのである。

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