
Windowsの歴史 MS-DOS編:メモリ管理、ファイルシステム、デバイスドライバ
デバイスドライバ
MS-DOSの最大の功績は、デバイスドライバをOSから分離したことだろう。これにより、サードパーティが周辺機器を販売しやすくなった。かな漢字変換機能もデバイスドライバの形で組み込まれ、アプリケーションごとにかな漢字変換機能を実装する必要がなくなった。
ドライバは、C:\CONFIG.SYSというテキストファイルに、起動するドライバを指定することで読み込んだ。この時、ドライバにさまざまなオプションを指定できた。
たとえば、日本語キーボード配列か英語キーボード配列かの指定はドライバオプションの代表例だろう。現在、Windows Vistaなどでキーボード配列を誤認識する問題が出ている。修正にはレジストリを変更する必要があるのだが、CONFIG.SYSの書き換えの方がよっぽど簡単であるように感じる。
CONFIG.SYSファイルは、Windows NT系列では使われていないが、ファイルだけは残っている。試しにCドライブのルートフォルダを見て欲しい。おそらく存在するはずだ。
ファイルシステム
MS-DOSが扱える外部記憶装置はフロッピーディスクだけであった。フロッピーディスクのファイルはFAT(ファイルアロケーションテーブル)と呼ばれる領域を使って管理されていたので、ファイルシステム(ファイル管理の方法)もFATと呼ぶ。
初期のFATは512バイトのセクター情報を12ビット長で管理していた。つまり、最大ファイルシステムのサイズは0.5KB×4096(12ビット)=2MBである(実際にはもう少し小さい)。現在でもフロッピーディスクのフォーマットはFAT12が使われているが、その後、ハードディスクが導入された時点で複数のセクターをまとめた「クラスタ」単位で管理する方法が考えられた。最大クラスタサイズは32KBなので、FAT12の最大ファイルシステムサイズは128MBとなる。
ハードディスクの容量増加に伴い、FATサイズは16ビットに拡張された。今でいう「FAT16」である。FAT16では最大ファイルシステムサイズが2GBとなった。現在は単にFATというとFAT16を指すことが多い。なお、Windows NT系列のOSはクラスタサイズとして64KBまで使えるのでFAT16で4GBまで扱える。
MS-DOS全盛期は、BIOSの制限により500MBを超えるディスクは扱えないPCが多かったので、FAT16でも十分だったのだ。
ビジネス領域でのMS-DOSの価値
MS-DOSは、というよりもMS-DOSとセットになったIBM PCは、PC市場を大きく拡大した。IBM PC以前は、Apple IIを筆頭にTandy Corporation(タンディ)のTSR-80、Commodore(コモドール)のPETなど、多くのPCが乱立していた。ただし、いずれもコンピュータメーカーとは認識されておらず、ビジネス分野への導入は限定的だった(もちろん表計算ソフトのVisiCalcやワードプロセッサのWordStarなど、ビジネスソフトがなかったわけではない)。
当時、世界一のIBMがPCに本格参入したというニュース、IBM PCには独自技術が少なかったため、互換ハードウェアを作りやすかったこと、MicrosoftがIBM PCに提供したDOSは単体販売が可能だったこと――など、こうした状況がPC市場を創出したと言える。
ただし、本格的にPCがビジネス分野で導入されるのは、MS-DOS 3.x時代にネットワークが導入されてからとなる。次回は、MS-DOSとともに広く用いられたネットワークOSについて紹介する。
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