iPhone 3Gを考える:iPhoneの変革を支える3つのインタフェース

川添歩(ソシオメディア)
2008-06-13 12:00:00
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iPhoneがもたらす新たなパラダイム

 「電話を再発明する」というSteve Jobs氏の言葉で登場したiPhoneが変えるのは、しかし、携帯電話の世界だけに留まることはないだろう。iPhone 3Gの発表でますますその感を強くしている。2万円程度と予測される価格だけでも充分に今の日本社会にとって「黒船」だが、たぶん、それどころではないのだ。

 たしかにiPhoneは、携帯電話やパソコンの技術を発展させたり融合させたりしたものであることに違いはない。しかし、そこから生まれつつあるのは質的に異なる新たなパラダイムだ。

 そのパラダイムを支えるのは、Appleが見事にブラッシュアップした3つのインタフェースだ。ユーザーインタフェース、ハードウェアインタフェース、そしてネットワークインタフェース。

 マルチタッチスクリーンによって実現したユーザーインタフェースは、ヒューマンインタフェースの基本原則をしっかり押さえ、ハードウェアとソフトウェアについて相互に手を抜くことなく組み上げられたものだ。

 指の動きとそれに追従する画面上のビジュアルレスポンスによって構築されたUIは、相当な見識と緻密な試行錯誤によって作られたものであることに間違いない(この点については、6月16日創刊の「DESIGN IT! magazine」の特集を参照)。

 加速度センサー、近接センサー、光センサー、カメラ、そして今回加わったGPSなどのハードウェアインタフェースは、iPhone自身とそのユーザーをとりまく状況をとらえる。これらはそれぞれが単なる個別の機能として存在しているのではなく、今ある環境をデジタルデータ化してUIやアプリケーションとの有機的な結びつきを生み出す。iPhoneはこれを最大限に活かすシステムの一部であり、常に持ち歩き、ユーザーとともにある機械としての存在理由を確固たるものにしているのだ。

 そしてネットワーク。既存の無線技術を最大限に活かすため、3G、2G、Wi-Fi、Bluetoothを備え、目的と状況にあわせて有効な方法が選択される。MobileMeとActiveSyncが「いつでも、どこでも」の環境を支える。

3つのインタフェースがもたらす体験

 これら3つのインタフェースは、ユーザーに新たな経験を提供するためのインフラである。個々の機能やサービスはそれぞれが巧妙に支え合い、スペック表の○×の数だけでは計り得ない力を発揮する。

 そしてこのインフラの上に載るのは、iPhone 3G発売時におそらく数百にのぼるであろう、ネイティブアプリケーションたちである。

 MacintoshとNeXTという、限りなく妥協をしないシステムの歴史が積み上げてきたのは、表に見えるUIばかりではない。もうひとつの最大の成果は、OSと、OSのための優れた開発環境、豊富なドキュメントである。iPhone 3Gは、新製品でありながら、長い年月と経験によって練りに練られた開発環境を持っている。

 しかも、開発したソフトウェアを宣伝し、販売する労力は、ごくごくわずかですむ。しょっぱなから世界を相手に販売できるしくみ――App Storeが開始される。そして開発から販売まで行うのに必要なのはたった$99だ。

 いまだかつてこれほどの「環境」をもつプラットフォームは存在しなかった。3つのインタフェースによって、手のひらから世界までを覆い、分かちがたく融合しているシステムとしてのiPhoneと、豊かな開発環境によって生み出され、世界中にむけて確実に販売されるiPhoneアプリケーション群は、ユーザーに経験したことのない世界を与えるだろう。

 Appleはこの30年で、パーソナルなコンピュータ環境(Apple II)、GUI環境(Macintosh)、新たなメディア環境(iPod+iTunesストア)を提供し、そのたびごとに大きな変革をこの世界に与えてきた。

 そして今、Appleは4度目の変革をこれまでにない規模で実現しようとしているのではないだろうか。

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