
iPhone 3Gを考える:iPhoneが提案するデザインとは
コミュニケーションに必要なこと
最近の携帯電話には様々な機能が実装されており、使う人によって重点を置く部分こそ違うが、根本的なことを言えばコミュニケーションデバイスだ。そのため、通話、インターネット、Eメール、SMSなど、人と人とを繋げるための方法や手段がいくつか揃っており、それを補助するための機能があったり、ストレスを感じさせないための工夫がなされているべきだ。
しかし、今の携帯電話キャリアをみると一概にそう言えないような気がする。
機能の数や精度の高いハードウェアが組み込まれていることが、優れた携帯電話を決める基準になって久しい。日本の携帯電話は今度発売されるiPhone 3Gよりも、機能の数が多く、機能ひとつひとつを比べてみても、遥かに優れたスペックを備えている。
もちろん、機能を軽視しているわけでもなければ、機能が少ないほうが良いというわけではない。重要になってくるのは、その実装されている機能はコミュニケーションデバイスとして必要なものなのか、そしてコミュニケーションをする上で邪魔にならない工夫が施されているのか、なのだ。邪魔にならない、手間をかけないようにするためには、個々の機能がシームレスにつながり、動作することも重要な点といえる。
今でも「Calamari」をはじめ、iPhone 1.0のCMをYouTubeで観覧することができる。
ジョブズ氏が考える「デザイン」とは?
iPhoneの最大の特徴は、自分のパーソナルデータとWeb上にあるデータをまるでひとつのアプリケーションで扱っているかのようにシームレスに利用できるところだ。
インターネットで見つけたイベントをワンクリックでカレンダーに追加する。位置情報からレストラン検索をしたら道順を教えてくれて、電話もすぐできる。「インターネット(フルブラウザ)」「カレンダー」「ナビゲーション」「地図」というキーワードをみると、それは日本の携帯電話でも既に実装されていて驚きはない。
ポイントはユーザー側に手間をかけさせることなく、それらの機能を繋ぎ合わせるかのようにデータを移動したり利用することができるソフトウェアとサービスがあるところだ。
今年のWWDCでも基調講演を行ったSteve Jobs氏は、デザインとは「how it works(どのように動作するかだ)」と語っている。
つまり、見た目や感覚的なところだけをデザインと指しているわけではなく、利用者が本当に実現したいことを単純に実現させることができるかどうかが「デザイン」だと説いているわけだ。利用者側で単純と思えることが、作っている側にとっても簡単なこととはいえない。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサービスプロバイダそれぞれのレイヤーで連携や協力があってこそはじめて実現できる「単純」さだ。
マルチタッチにしてもそうだ。技術だけみれば日本が最初に作れたのかもしれない。しかし、マルチタッチをコンシューマープロダクトに実装し、使いやすいインタフェースと操作性の実現、さらにマルチタッチをはじめiPhoneのデータや技術をAPIとして解放し、開発者とも可能性を共有する姿勢。
結果を見てしまえば簡単だが、これが実現できたのはAppleをはじめ携わった人々や企業が並々ならぬ努力をした結果だと思う。そしてそれもコミュニーションデバイスという携帯電話の根本的な部分を再度追求した結果であろうし、Jobs氏が考える「デザイン」を形にするためのプロセスだったのだろう。
デザインケータイのhow it worksに期待
iPhoneが日本の市場で受け入れられるかどうかは、発売してみないとわからない。しかし、iPhoneが提案しているコミュニーションデバイスとしての可能性や、シームレスにデータが行き渡るエコシステムは、成熟しているといわれている日本の携帯電話市場も注目に値する部分だ。
今のところ日本での「デザインケータイ」は装飾に拘る部分に留まっているが、iPhoneに負けない、もしくはそれとは違うアプローチの「how it works」が今後出てくることを期待している。
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